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◆リスク<1> 収入が増えない
首都圏の男性ファイナンシャルプランナー(FP)のもとには、昨年から住宅ローン返済に関する相談が増えている。主に40〜50代のサラリーマン世帯からの「残業が減りボーナスもダウンし、月々の返済が苦しくなった」という内容だ。滞納が続き、借入先が競売の手続きに入りそうなケースもあるという。
不動産競売流通協会(東京都)によると、昨年11月〜今年1月の全国の戸建て競売件数は1万1923件で、前年同期の1・3倍。
同協会の吉村光司代表理事は「競売になる例でよく聞くのは、子どもが高校、大学で、住宅購入から10〜15年目のサラリーマン世帯だ」という。ローンを組んだ時は「10年後には昇進し、収入も増えている」と予想していたのにそうならず、増える教育費などが家計を圧迫している場合だ。
吉村さんが心配するのは、融資額が高すぎる時期に借りた人たちのことだ。「融資額は業界の常識として年収の4倍だった。しかし08年夏からの1年間は年収の6〜7倍を融資する金融機関が多く、年収500万〜600万円の人が、4000万〜5000万円を借りていた」という。
◆リスク<2> 「変動型」金利上昇
「住宅ローンはこうして借りなさい」(ダイヤモンド社)の著書があるFPの深田晶恵さんも「将来的に返済に行き詰まってしまうような借り方をする人が増えている」と懸念する。
深田さんが最も気を付けてほしいというのは、金利タイプの選び方。住宅ローンは主に、日銀の政策金利などに応じて半年ごとに金利を見直す「変動型」▽返済期間を通して金利を一定にする「全期間固定型」▽当初の一定期間の金利だけを固定して、その後は変動型になる「固定金利選択型」−−の3種類がある。変動型は全期間固定型よりスタート時の金利は低いが、将来は上昇する可能性がある。一方、全期間固定型は返済額が決まっているので返済計画が立てやすいというメリットもある。
深田さんは「変動型と、固定期間の短い固定金利選択型はリスクが大きい」と指摘、全期間を固定型にできない場合は、10年間の固定金利選択型を勧める。最初の10年で安定的に残高が減るからだ。
借り過ぎにも注意が必要だ。「年収600万〜700万円の人は、3000万円が限度だろう」といい、「最近は頭金ゼロや、変動型の金利の低さから4000万円も借りる人がいる」と不安視する。家計に余裕のない返済額にすると、金利が上昇すれば返済に行き詰まりかねない。
マンションの場合はローン返済以外に毎月、管理費や修繕積立金などの諸経費も必要になる。
◆リスク<3> 60代、年金頼れず
忘れてならないのが定年時の残額の確認だ。定年を65歳まで延長する会社は増えているが、給与は大幅にダウンするケースが多い。61年4月2日以降に生まれた男性サラリーマンの場合は厚生年金の支給開始時期が65歳で、繰り上げ受給もできるが額は減る。
退職一時金での返済を見込んでいても、企業が業績不振となれば、十分な金額が出ない可能性もある。老後の資金をためる必要もあり、定年までに完済する計画にしたほうがよさそうだ。
「しばらく低金利が続く」「当面は変動で借りて、金利が上がりそうになったら固定型に借り換えればいい」という不動産業者もあるが、深田さんは「将来の金利は分からないし、固定型への借り換えも簡単ではない」と、冷静に検討することを勧めている。
◇返済見直し、借入先に相談
住宅ローンの返済が苦しくなったら借入先の金融機関に相談したい。昨年12月施行の「中小企業金融円滑化法(返済猶予法)」で、金融機関は借り手から申し出があれば、できる限り貸し付け条件の変更に応じるよう求められている。
返済期間の延長などができる可能性がある。ただし元本は変わらず、期間を延ばせば総返済額は増える。大手銀行4グループへの条件変更の申し込みは、2月末までに1万884件(1885億円)。このうち条件変更が決まった(審査中をのぞく)のは、約2割の2162件(399億円)。拒否は114件にとどまる。
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◇深田さんが勧める、住宅ローン選びのポイント
○少なくとも10年間、金利が固定された商品を選ぶ
○ローンを返済しながら貯蓄ができる返済額にする
○60歳までに完済できる計画にする
○自己資金は物件価格(諸経費含む)の最低3割は用意する
住宅ローンのリスクと、借入時のポイントについて短く、分かりやすくまとめているコラムですね!これから住宅ローンを借りる方はぜひ参考になさってください。
書かれているリスクやポイントについて、方向性としてはほぼ間違いないと思います。ただ、全般的に「超」安全志向となっていますので、確かにこういう風に借りれば失敗しなくて済むと思いますが、「自分にはちょっと無理・・・」という人も多いかもしれませんね。
借入時のポイントで言うと「60歳までに完済」や「3割の頭金」は、通常の場合は相当ハードルが高いのではないでしょうか?
もちろん一度しかない人生で誰も失敗なんてしたくないでしょうから、「超」安全にいけるのであればいったほうがいいに決まっています。ただ、安全にだけ気を取られて、「念願のマイホームがついに手に入らなかった」と悔いを残してしまうというのも、これまた一度しかない人生であまり経験したくないものですよね。
家は必ず購入しなければいけないものではありませんし、経済的には賃貸も持ち家も総合的なコストはあまり変わりませんが、とはいえ多くの人がマイホームを手にしていることを考えれば、やはり「マイホームを手に入れたい」というのは自然な感覚なのでしょう。
そして本当に欲しいと思える物件との出逢いはそう滅多にありません。デザインやこだわりのポイントや間取りや値段が全て条件どおりというような物件に出逢えるのは数年に1回という感じでしょうか?こだわりの条件によってはもっと少ないかもしれませんね。
そういう物件に出逢えれば、やはり少々無理して購入してしまっても構わないのではないか、と思います。どちらにせよ住宅ローンの返済は決して軽いわけではないわけですから、どうせ苦労するなら、自分が惚れた物件で苦労したほうがいいに決まっていますね。
とは言いつつ。
いくら惚れた物件とはいえ、自己破産まっしぐらのような住宅ローン条件はよくありません。物件を結局、手放さざるをえなくなりますからね。
ではどうやって「どこまでなら無理して大丈夫か」を確認するかと言うと、1つの方法としては、銀行に直接聞いてみる、という手があります。銀行は貸し手として、ローンの焦げ付きを嫌いますから、リスクのある条件には貸し出しをしません。逆に銀行がすんなりOKと言うなら、かなりの確率で安全である可能性が高いですね。
しかしながら銀行経由の住宅ローンであっても焦げ付きが発生するわけで、その危険を少しでも軽減したいとすると、ポイントとして一番重要なのは、「金利タイプ」でも「ローン返済額」でも「頭金」でもなく、やはり「借入金額」だと思います。借入金額が少なければ、共働きしたり、「親ローン」などで何とかなる可能性が出てきますが、借入金額が多いとどうにもならなくなります。
文中にFP氏のコメントとして「年収600万〜700万円の人は、3000万円が限度だろう」と紹介されています。
借入金額によって住宅ローンのリスクは相対的に高まりますから、くれぐれも借りすぎにはご注意ください。
そしてこだわりの物件条件がどうも住宅ローン3,000万円ではまかなえないという場合はしっかり自己資金を準備しましょう。住宅ローンにしたっていつかは返済しなければいけないわけですから、今貯めることだってできるはずです。
みなさんが住宅ローンで失敗しないことを祈っております!