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全国で約6千棟のマンションを手掛ける大京は「築十数年であれば通常は修繕工事で済むので、こうした建て替えは過去に例がない。あってはならないことで反省している。住民の不安解消のため、誠心誠意対応している」としている。
大京の説明や川崎市に提出された建て替えの事業計画書類によると、同マンションは川崎区京町2丁目に9年3月完成。施工は東亜建設工業(東京)だったが、実際は都内の別の建設業者に工事を一括外注した。
20年ごろから一部の部屋で雨漏りするようになり、21年に住民の管理組合が業者に依頼して補修工事や調査をした結果、ベランダの柱と梁(はり)の結合部分などに発泡スチロールや木材の混入と空洞が確認された。柱の鉄筋が設計図より不足しているなど、構造上の欠陥も複数見つかった。その後、大京が委託した第三者機関の審査でも、強度の基準を満たさない恐れのある階があると指摘された。
管理組合は「修繕工事では補強は不可能」として建て替えを要望。大京と東亜建設工業が建て替え費用約16億6千万円と引っ越し代などを払うことで今年3月に合意した。今後解体し、来年夏に着工、25年完了の予定。
東亜建設工業は「元請けとして建て替えには真摯(しんし)に対応したい。工事の外注先は大京から紹介された業者で、その後会社を分割して別会社になっており、施工不良の原因は問い合わせたが分からなかった」と説明している。
<編集部からのコメント>
姉歯建築士による耐震偽装問題、いわゆる「姉歯問題」は先日も裁判の一つが終わり、社会的には終結しつつあります。他にも耐震偽装物件があるのではないかと騒がれましたが、結局はそれ以外の問題がクローズアップされることはなかったですね。
今回の地震でも、東北地方などを中心に多くのマンションが被災しましたが、ほとんどのマンションはほぼ無傷で、結果的に高い耐震性が証明されたことになります。液状化した地域でも傾いたのは戸建てで、水道などのインフラが破損しても、マンションは大丈夫でした。マンション業者からすれば「不幸中の幸い」だったと言えるかもしれません。
そうした中ではありますが、新たな構造欠陥問題が報道されております。上記ニュースによれば、マンション販売最大手の一社である大京が平成8年に販売したマンションで、柱への発泡スチロールなどの異物混入や鉄筋不足など構造上の欠陥が判明した、ということですね。
経緯を引用すると、平成20年ごろから一部の部屋で雨漏りするようになり、21年に住民の管理組合が業者に依頼して補修工事や調査をした結果、ベランダの柱と梁(はり)の結合部分などに発泡スチロールや木材の混入と空洞が確認され、また、柱の鉄筋が設計図より不足しているなど、構造上の欠陥も複数見つかった、とのことであります。
たまたま「雨漏り」という事象が発生したのでよかったですが、そうでないと更に発見が遅れたかもしれませんね。日ごろからの、住民と管理組合の主体的な問題意識が大切であります・・・。
また記事を読むと、施工は東亜建設工業だったが、実際は都内の別の建設業者に工事を一括外注した、ということになっていて、品質管理は一体どうなっていたのかまったくもって疑問ですね。しかもその外注先も「大京から紹介された業者」ということで、責任が極めてあいまいです。
こういう元請け→中請け→下請けという、責任も品質管理も曖昧な発注実態は、いつかメスを入れないといけないのかもしれません。監督者も大切ですが、購入者からすれば、「実際に誰が建てたのか」の方が重要ですね。
ただこの事件も「不幸中の幸い」だったのが、販売業者も元請け業者もしっかりしていたため、建て替え費用16億6千万円と引越し代を全額負担し、居住者の経済的な負担なく建て替えが決まりました。
居住者からすれば腹立たしい面はあると思いますが、無料で新築の物件が手に入るわけですから、経済的には十分な補償になっていると思います。
ここでの教訓は・・・特にマンションは問題が発生すると規模が大きくなりがちなために、大手が施工・販売した物件の方が安心だということですね・・・。
ちなみに主旨から少しそれますが、建て替え費用が16億6千万円で、72戸の物件ということは一戸あたり2,300万円の費用ということになります。これから出てくるであろう建て替え問題の参考になる数字ですね。