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<編集部からのコメント>
長らく一本調子で下落してきた市場金利ですが、昨年末から久しぶりに上昇しました。ちょっと急激なくらいの上昇幅でしたね。長期金利で言えば0.7%前後から0.84%前後まで一気に0.14%程度上昇したことになります。
その原因はと言えば大きく2つあり、1つ目は株価の上昇ですね。安倍総裁の大胆な金融緩和発言などをきっかけに為替相場が大きく円安に振れ、それに呼応するように株価も大きく上昇しました。
基本的に株価と金利の動きは相関していますので、株価が上昇すれば金利も上昇するのが常であり、今回もそれに倣ったことになります。
2つ目は国債の大幅な増刷による信用力の低下懸念ですね。信用力を失った国債の値段は低下し、結果的に利回りが上昇します。
自民党にとって重要なのは夏の参議院選挙で勝つことであり、それまでは財政出動の大盤振る舞いが予想されていました。もちろん日本の財政は火の車でありまして、入ってくるお金より出て行くお金の方が大きい完全な破綻状態です。政府が支出を増やせば増やすほど借金が増える構図になっているわけですね。
そんな中で積極的な財政出動をすれば借金がさらに積みあがるのは間違いなく、そうした国債の信用力に対する懸念も金利の上昇要因となったと思われます。
こうした金利上昇の動きに焦った、住宅ローン検討者の方は少なくないのではないかと感じますが、足元の長期金利をチェックすると・・・0.735%とすっかり元の値に戻っていますね。グラフを見ると一目瞭然で、年末にクっと上昇した長期金利が年明け、クっと下落していることが分かります。
0.735%というのは、先月のこの時期が0.725%ですから、「行って来い」でやはり元の状態に戻っているということですね。住宅ローン金利への影響を考えれば、とりあえず一安心、というところでしょうか。
ではなぜ金利が急低下したかと言うと、記者自身は正直、あまり腑に落ちておりません。というのも上記、金利上昇の背景として挙げた、株価は多少の調整をはさみながらも引き続き高水準で推移しているからですね。
一方で2つ目の「国債の大幅な増刷による信用力の低下懸念」が後退している、というのは感じます。実際、今年度の国債の発行額は民主党政権の時より結果的にやや下回る見込みとの報道もありましたね。
それが正しいとすれば、ばんばん国債を刷って、ばんばん公共投資につぎ込み、ばんばん借金が膨らむといった、ステレオタイプな自民党政治への回帰は今のところ表面化していない、ということですね。油断は禁物ですが。
さらに付け加えるとすれば、安倍総理の求める「大胆な金融緩和」にむけて、日銀も単なる資産購入だけでなく、準備金の金利を0にするなど、新たな金融緩和メニューを検討しているようです。こうした動きが具体的にマーケットに認知されるにつれ、より「金融緩和による金利低下」が意識されているのかもしれません。
本来、金融緩和をすれば、市場にお金があふれることから、金利が低下することになりますので、むしろ今が正しい反応と言えるのかもしれませんが。
いずれにしても、このように市場金利が超低金利でしばらく落ち着くのであれば、住宅ローンの借り入れや借り換えを検討されている方にとっては追い風となりそうです。
ちなみに過去10年間の長期金利の推移をチェックしておくと以下の通りです。
長期金利は、今が2003年に次ぐ歴史的な低金利にあることがよくわかりますね。
一方で。
毎回指摘させていただいている点ですが、2003年は長期金利が0.5%近い水準まで下がったのち、その後、1.5%近くまで跳ね上がっておりますね。当時、世界経済の見通しが大きく好転したことや、小泉政権への期待、りそな銀行への公的資金注入による金融不安の大幅な後退などが要因と思われますが、仮に「好景気の前が最も金利が低い」のだとすると、脅かすわけではありませんが、これから金利が上昇する可能性はゼロではありません。
足元では上記の通り金利はむしろ低下傾向にあり、その点では焦る必要は全くありませんし、仮に今後2003年並みに上昇するといってもたかが1%程度なわけですが・・・されど1%ともいえます。
そろそろどこかで、金利低下を待ちすぎず、エイヤっと決断することが重要になってくると言えそうです。
さて、2013年2月の住宅ローン金利ですが、いつものように、早めに来月の金利を発表しているソニー銀行の住宅ローン金利から動向を占ってみたいと思います。ソニー銀行の住宅ローン金利を、1月と2月で比較するとこういうことですね。
◆ソニー銀行住宅ローン金利
・変動金利 : 1.121% → 1.121% (変わらず)
・10年固定 : 1.439% → 1.499% (0.06%上昇)
・20年固定 : 2.229% → 2.346% (0.117%上昇)
・30年固定 : 2.371% → 2.511% (0.14%上昇)
変動金利タイプを除いて全般的に上昇しています。これはやはり1週間前までの金利上昇を織り込んでの金利水準なのではないでしょうか。早めに来月の金利を決定することが裏目に出たと言えるかもしれませんね。
逆に言えば、下旬に翌月の住宅ローン金利を決める金融機関では、今後の長期金利の動向次第ではありますが、2月の住宅ローン金利が1月と比べて据え置きになったり、あるいはむしろ引き下げるところが出てくる可能性もゼロではありません。
そういう意味では来月の住宅ローン金利は銀行によって対応が分かれるのかもしれませんね。興味深いです。
皆さまが最高の住宅ローンに出逢えることを祈っております!