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<編集部からのコメント>
今回は、記者が大好きな「持ち家と賃貸、どっちが得か?」という命題ですね。
問題意識としては、住宅販売の際の常套句である、「賃貸よりお得ですよ」への反発もありますし、住宅購入者がよく言う、「賃料が勿体ないから」というセリフへの失望もあります。
もちろん、意気揚々と住宅を購入し、新しい生活に対して夢を膨らませている方々に水を差すようなことはいたしませんが・・・。
とは言いつつ最近は、極端に安い住宅ローン返済額を提示して、「今の賃料と比べてください!」「賃料と同程度の住宅ローンで憧れのマイホームが購入できます!」と言ったチラシをあまり見かけなくなった気がします。多少の自主規制がなされるようになったのでしょうか?それでも年に数回は目にしますが・・・。
さてでは、この「持ち家と賃貸、どっちが得か?」という疑問に対する当サイトの見解はと言うと、「どちらも変わらない」という結論になっております。計算の根拠としてはこちらのコラムで解説していますので、ご興味がある方はご覧ください。
>>>賃貸と持ち家(購入)。どっちがお得?
3年以上前の記事ですが・・・内容的には今でも特に加筆修正する必要はなさそうですね。賃貸の場合は、自己資金が賃料に消えていく一方で、持ち家の場合は、自己資金が支払い利息と建物価値の目減り=減価償却に消えていく、という違いがあるものの、どちらも自己資金が消えていくことに違いはありません。
そしてそれぞれの30年間のコストは、あくまで計算の一例ではありますが、持ち家が4,700万円に対し、賃貸は4,697万円とほぼ同額になっております。ケースバイケースだとは思いますが、少なくとも「持ち家の方が絶対トク」とは言えない実態はお分かりいただけるのではないかと思います。
とするとあとは、「引っ越さなくてもいい」というのをメリットに考えるのか、「いつでも引っ越せる」というのをメリットに考えるのかの違い、くらいですかね。つまり、持ち家と賃貸のどちらがいいのか、というのは経済合理性で選べるものではなく、あくまで好み、主観、ライフスタイルで選ぶべき、ということになります。
ただし明らかに持ち家の方が有利になるシーンというのが2つあります。
1つ目は、持ち家に30年以上住むケースです。持ち家は30年目以降は基本的に住居コストが大きく減っていくからですね。修繕コストは頭の片隅に入れておく必要がありますが、賃料ほどではないでしょう。
2つ目は、築20年以上の中古物件を購入するケースです。この場合はすでに購入時に建物の減価償却がおおむね終わっていると考えられますので、持ち家のネックである「建物価値の目減り」をかなり回避できます。
・・・これらの点も実は当サイトの上記コラムでカバーされていますね。ということで、それなりにまとまった内容になっているのではないかと思います。参考になさってください。手前味噌ではありますが・・・スミマセン。
前フリがかなり長くなってしまいましたが、では上記取り上げたYahooニュースの記事ではどういう結論になっているかと言うと、「賃貸と持ち家の合計額にそれほど大きな差はつきませんでした」ということになっています。
良識ある結論なのではないでしょうか。計算結果はこのように図示されています。
ちなみにこちらの試算結果は、どちらも7,000万円を超える金額となっていますが、これは30歳から80歳まで、実に50年間の試算になっているからですね。
と言うことは、細かい検算は今回はしませんが、上記の通り当サイトでは「持ち家に30年以上住むケースでは持ち家の方が有利になる」と考えている点とは若干矛盾します。ただし、賃料が月1万円違うだけで、50年間では600万円の差が出てきますので、あまり細かく根拠の違いを深堀しても仕方なさそうではありますが。
ただこちらの記事で指摘しておきたいのは、続きがあって、この持ち家と賃貸との違いの中で注目すべきは「支出時期の違い」であると注意を促している点ですね。
持ち家の場合は、住宅ローン返済が終わる65歳前後で住居費が低くなる一方、賃貸の場合は65歳を超えても一定の住居費負担が続いていきます。
しかしながらトータルのコストが同じということは、持ち家の場合は「初めは苦しく、後に楽になる」一方で、賃貸は65歳以上になると収入が激減することを考えれば「初めは楽で、後で苦しくなる」と言えそうですね。どちらかといえば、ですが。
そしてもちろん、精神衛生上も、リスクコントロールという観点からも、「初めは楽で、後で苦しくなる」よりも「初めは苦しく、後に楽になる」方が健康的であるのは間違いありません。
一生、賃貸でいこうと思われている方は、若いうちから入念なライフプラン・マネープランを立て、着実に貯金を増やし、資産形成していくことが重要であり、逆にそうした先々のことを考えるのはどうも苦手、という方は「持ち家向き」と言えるのかもしれませんね。
とは言いながら、もちろん持ち家にも相応にリスクがあります。
繰り返しになりますが、「賃料が勿体ない」などと言った根拠のない理由で住宅購入を決断するのではなく、冷静に持ち家のメリット・デメリット、リスクとリターンを把握した上でご判断いただければと思います。
そうしておけば、何が起きても動じずに済むかもしれませんしね。これから住宅購入を検討されている方は参考になさってください。