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<編集部からのコメント>
2014年の住宅ローン金利予測。「かなり気が早いですが・・・」と書き出そうかと思いましたが、よく考えればもう10月下旬で全然、気が早くないですね!そんなわけで、気合を入れなおして(?)、来る2014年の住宅ローン金利について考えてみたいと思います。
と、その前に世間一般では今後の住宅ローン金利についてどう考えておられるかというと、いろいろなアンケート結果を取り上げてきましたが、一番有名そうな住宅金融支援機構の2013年8月発表のデータではこうなっています。
・現状よりも上昇する 45.1%
・ほとんど変わらない 40.4%
・現状よりも低下する 4.3%
・見当が付かない 10.2%
回答者数は1,048名ということで、この種のアンケートとしては必要十分です。
回答結果としては「現状よりも上昇する」と考える人と「ほとんど変わらない」と考える人とで拮抗していますね。調査結果の解釈としては「半数近い人が金利上昇を予測している」とも、「半数近い人が金利はほとんど変わらないと考えている」とも取れ、どちらを取るかによってニュアンスは随分変わってきます。
しかし間違いなく言えることは、来年の住宅ローン金利が今より低下すると考える人はほとんどいないということですね。わずか4.3%です。
確かに、ようやく回復してきた景気の動向や、安倍政権・アベノミクスへの期待、インフレ懸念、さらには東京オリンピックに向けて日本経済が盛り上がってくるとすれば(調査時にはもちろん五輪開催は決まっていませんが)、今後、金利が上昇すると考えるのは自然かもしれません。
金利というのは経済の体温のようなものですから、景気が過熱すれば上昇し、景気が低迷すれば低下することになります。
実際、2013年の金利は、経済・金融政策面では最大のハイライトともいえる4月の日銀による「異次元の金融緩和策」発表以降、7月にかけて大きく上昇しました。
とするとこのまま順調に上昇していきそうなものですが、最も一般的な金利指標であり、住宅ローン金利と関係の深い長期金利=10年もの国債金利はこのように推移しています。
つまり・・・8月以降、低下傾向が顕著なのですね!異次元緩和策発表以降の金利上昇が「なかったこと」になるほどに金利低下が進んでいます。こうした動きへの解釈はいくつかあると思いますが、やはり4月以降の金利上昇は景気回復を期待したものではなく、あまりに大規模な金融緩和だったために市場が混乱したことから起きた、ということでしょうね。
あるいはそうした混乱に乗じて、投機的な動きが起きて、変動幅が広がったのかもしれません。そうした混乱や投機的な動きが落ち着くにつれ、夏場から金利が徐々に低下してきた、ということではないでしょうか。
そもそも、金融緩和=金融市場に大量に資金を投入し、金利を引き下げる政策ですから、金利が上昇したこと自体がおかしいわけで、金利が低下するのは当然ともいえます。しかも今回は「異次元」なわけですからね。「異次元の低金利」となることもありえるということです。
ちなみに理論上は「マイナス金利」もありえます。つまり国債を購入したり、預金に預けると、元本が徐々に減っていく、という状態です。そうなってくると本当に異次元ですね。
それはともかくとして、そうした市場金利の低下を背景に、住宅ローン金利も9月・10月と2ヶ月連続で低下し、11月もさらに低下するのは間違いない状況となっています。夏場までの状況とは一変しているわけですね。
そんなわけで、今後の住宅ローン金利、特に2014年の住宅ローン金利を占う上でカギとなってくるのは、景気でも、アベノミクスでも、東京オリンピックでもなく、一重に「日銀の金融緩和策がいつまで続くのか」という点にかかってきます。
そこで紹介するのが上記記事なわけですが、日銀ウォッチャーと呼ばれる金融政策専門の民間エコノミストはまず、「日銀・黒田総裁の次の一手は?」という質問に回答しているように、金融緩和策が終了するどころか、「今後、さらなる金融緩和が行われる」という前提にすでに立っているということですね。
「異次元の金融緩和」をさらに拡大するという話なので、ちょっと想像を超えてきますが、いずれにしても追加的な金融緩和が行われるということは、金利にさらなる低下圧力が加わるわけで、「金利がさらに低下する可能性が高い」ということですね。
景気回復→金利上昇、というイメージはもちろん間違いではないものの、その時期については、われわれが思っている以上に先のこと・・・なのかもしれませんね。
上記記事に戻ると5人の専門家は追加的な金融緩和の時期と内容について以下のように回答しています。
・予測1 : 来年4月/大規模緩和の延長を表明
・予測2 : 来年4月/国債買入増額
・予測3 : 来年4月/ETFの買い増し
・予測4 : 来年1〜3月/ETF・REITの買い増し
・予測5 : 今年12月/財投機関債を購入対象に
中でも金利にダイレクトに影響がありそうなのが、1と2ですね。大規模緩和の延長が表明されれば、事実上、それまでは低金利が続くことになります。また、国債買入が増額されれば、国債価格が上昇し、金利が低下します。
3〜5は直接金利に影響があるかは分かりませんが(5はありそうですが)、少なくとも追加的な金融緩和に踏み切れば、「日銀はまだまだ金融緩和を続ける気だ」という、かなり強いメッセージとなりますので、間接的に低金利をサポートすることになります。
そんなわけで、われわれ一般市民の予想に反して、2014年は日銀の追加的な金融緩和を背景に市場金利も住宅ローン金利も、さらに低下する可能性が十分ありますね。
もちろん、未来の金利は誰も正確には予想できませんので、何かの要因で上昇する可能性もゼロではありませんが、いずれにせよ、何となくこれから金利が上昇する「イメージ」で住宅ローン選びを進めるのではなく、金利がさらに低下する可能性も、逆に上昇する可能性も、しっかり視野に入れて計画を練っていただければと思います。
いつも書いていることですが、オススメは、変動金利と長期固定金利を半分ずつ借りるミックス金利ですね。これであれば変動金利の低金利メリットも、長期固定金利の安心も半分ずつ得られることになります。参考になさってください。
さて、最後に2点ほど。
1つ目は、ではこの金融緩和がいつ終了するかというと、上記記事にも触れられているようにポイントとなるのはインフレ率2%達成ですね。インフレを計るモノサシとしては消費者物価指数(CPI)が最も有名ですが、これは現在0.8%増に留まっています。
目標にはまだまだ遠い状況ですが、これが1%を超え、1.5%を超え、ということになるといよいよ金融緩和の縮小が視野に入ってきます。個人的にはそれは当分先になるのではないかとは思いますが(少子高齢化が進む日本では永遠に来ないかもしれません)。
2つ目は、確かに長期金利についてはさらなる低下余地があるものの、短期金利やそれに連動する住宅ローン変動金利はもう下がらない、ということですね。
というのも短期金利はすでに「ゼロ金利政策」により「ゼロ金利」となっていて、もうこれ以上下がりません。とすると、住宅ローン変動金利も、もうこれ以上下がらないわけですね。
2014年に住宅ローン金利が低下する可能性があると言っても、それは10年固定金利や、超長期固定金利、フラット35などの話であって、変動金利については、もう「限界まで下がりきっている」という点はご注意ください。
以上、どこよりも早い(?)、2014年の住宅ローン金利予測でした。参考になれば幸いです。