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<編集部からのコメント>
住宅ローンに関わる専門家のアドバイスについて、正直、素直に賛同できるものもあれば、そうでないものもありますが、中でも最も違和感を感じるものの1つが「住宅ローンの繰上げ返済しすぎに注意」という内容のものです。
繰り上げ返済については、住宅ローンユーザーであればよくご存知だとは思いますが、資金に余裕があった月に、決められた毎月の返済額以上に住宅ローンの返済を進めることですね。
たとえば、今月の住宅ローン返済額は8万円だけれど、もう2万円繰り上げ返済して10万円返済に回そう、といったケースです。
特に住宅ローンの借り入れ当初は子供がまだ小さいなど、比較的、資金面では余裕がある場合が多いと思いますので、なおさらこうした繰上げ返済は有効ですね。
こうした繰上げ返済のメリットは数多いですが、一番わかりやすいのはもちろん、返済期間の短縮と、支払い利息の軽減メリットです。たとえば「元本2,500万円×35年×2.5%」の住宅ローンを借りた場合の繰上げ返済メリットはいくらになるでしょうか?
通常の毎月返済額は約9万円ですので以下のようなケースを想定してみます。
・毎月もう1万円、繰上げ返済した場合
返済期間短縮期間 : −5年1ヶ月
支払い利息軽減額 : −207万円
毎月の返済額を9万円から10万円に増やすだけで、35年だった返済期間が5年も短くなるのですね!
また、もう少しがんばってもう3万円繰り上げ返済するとどうなるでしょうか?
・毎月もう3万円、繰上げ返済した場合
返済期間短縮期間 : −11年11ヶ月
支払い利息軽減額 : −463万円
こちらは支払い利息が463万円も減らせることに加え、返済期間も何と12年も短くなるということですから驚きです。35年の返済期間が23年になるわけですから、ほぼ3分の2になることになります。
>>>新生銀行の繰上げ返済シミュレーションはこちらから
>>>住信SBIネット銀行の繰上げ返済シミュレーションはこちらから
であれば、最初から返済期間を23年に設定して組めばよいのではないか、と思われる方もおられるかもしれませんが、「最初から23年で組む」のと、「最初は35年ローンだけれど、繰上げ返済して23年で完済する」というのは大きな違いがあります。
それは何かと言うと、後者の場合、ライフステージの変化により出費が増え、毎月の返済が苦しくなってくれば、いつでも繰り上げ返済を停止でき、仮にそうしたとしても誰にも怒られなければ、誰にも迷惑をかけないのですね。
もっと言ってしまえば、「当初の借り入れ条件はなるべく余裕があるものにしておいて、その余裕分は全部繰り上げ返済に回す」というのが最も、柔軟性を維持しつつ、全体の利息額・返済期間を減らせる方法と言えるかもしれません。
それにはもちろん、余裕資金を使わずしっかり繰り上げ返済に回せる、それなりに強い意志が必要なのは言うまでもありませんが・・・。
ちなみになぜこのように今、繰上げ返済が注目されているかと言うと、ここ数年で繰り上げ返済の利便性が大きく向上したからですね。以前の繰上げ返済と言えば主に
・1回あたり繰上げ返済額100万円以上
・店頭での手続き
・繰上げ返済費用5,000円〜3万円
と言った形で、「返済してくれるな」と言わんばかりの高いハードルがあったのです。
しかしながら、上記の新生銀行や住信SBIネット銀行のような新規参入銀行が
・1回あたり繰上げ返済額1円以上
・ネットで24時間手続き
・繰上げ返済費用無料
と言った画期的な内容で繰り上げ返済の利便性を劇的に改善させたために、こうした繰上げ返済サービスが有力な手法となったのですね。
ちなみにメガバンクなどの従来型銀行やフラット35はいまだに「1回あたり繰上げ返済額100万円以上」といった高いハードルを維持している場合が多くありますので、繰上げ返済にご興味がある方はご注意ください。
・・・と、繰上げ返済の説明だけでだいぶ紙面を割いてしまいましたが、冒頭ご案内したように、ではなぜ専門家は「住宅ローンの繰上げ返済しすぎに注意」といった警鐘を鳴らすのでしょうか?
その理由は要するに、ガンガン繰り上げ返済してしまって手元に余裕資金がほとんどなくなると、たとえば学費などのように将来的に資金が必要になった時に困ってしまうから、というものです。
専門家たるもの、記者のような素人には気づかないリスクを指摘してナンボということなのでしょうから、勢い、こうした資金繰りリスクを注意喚起しがちなのでしょうけれど、記者の感想としては半分正しいけれど半分間違っている、という感じでしょうか?
確かに1年後に500万円必要なのに、今の手元資金は全部返済に回してスッカラカンというのはよろしくない、というのはわかります。しかしながら、そんなこと言われなくたって、子供の学力や志望などを考慮すれば、だんだん必要な学費が見えてくるわけで、そこから準備していっても間にあうのではないかと思うのですがいかがでしょう?
また、仮に思いがけない出費が相次ぎ、工面できなかったとしても、教育ローンなどを含め最終手段はいくつも残っています。場合によっては銀行に説明すれば信用面で問題があるわけではないだけに柔軟に対応してくれる場合もありそうです。
実際のところ、「繰上げ返済しすぎて学費が足りなくなった」「繰上げ返済しすぎて家を手放さざるを得なくなった」といった笑えない話は聞いたことがありません。そんなこと言われなくたってみなさん、ちゃんと資金管理をされている証左なのではないですかね。
それよりも「手元にいくらか残しておかないとダメらしい」と漫然と預金を積み上げておくほうがよっぽど残念な状況ですし、結果的にそうした状況をアドバイスしているのだとすれば罪深いですね。
資金があるのにローンを借りて、高い利息を支払うことほど馬鹿馬鹿しいことはありません。
百歩譲って手元にいくらか資金を残すにしても具体的な数値を提示するのが最低限のマナーではないでしょうか。
で、上記引用したコラムでは、いつも的確な指摘が印象的な住宅ローンアドバイザー氏が、手元に残すべき金額として以下のように指摘しています。
1.万が一のためのお金 : サラリーマンであればおよそ生活費の6カ月分くらい
2.将来の支出への備え : 教育費、老後資金、介護費用、車の購入費用等。高額の支払いに充てるための資金を試算しておく。
これであれば具体的で検討しやすいですね。逆に言えば、これらの資金が相応に確保できていれば、それ以上の余裕資金はガンガン繰り上げ返済してよい、ということになります。
参考になさってください。
ちなみに。
上記でもご紹介した新生銀行の場合、「安心パック」というのを用意していて、これはどういうサービスかと言うと、そうやって積極的に繰り上げ返済した元本分については、もし将来的に資金が必要になった時に、その分だけ元本返済をストップできる内容となっています。
仮に元本300万円分の繰上げ返済をしていたとすると、300万円分までは好きなタイミングで元本返済をストップできるのですね。
こうしたサービスがあれば、より積極的に繰り上げ返済を進めることができそうです。
記者のような「繰上げ返済病」の患者にとっても最適なサービスと言えます(笑)。こちらも参考にしてみてください。