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<編集部からのコメント>
3月も半ばを過ぎたわけですが、住宅ローン市場は概ね落ち着いてきたように感じます。
期末の3月は引越しシーズンとも重なり住宅市場・不動産市場が1年で最も盛り上がることに加え、今年は増税前の駆け込み需要もそれなりに合ったと考えられ、相応に活況を呈したのではないでしょうか?
ただしもちろん時期的にはもう3月中の借り入れに間に合わないタイミングとなってきますので、住宅ローン市場については一足早くハイシーズンの終息を迎えた、ということではないかと思います。
こちらのサイトでは何度もご案内している通り、標準的な世帯が標準的な住宅ローンを借りて、標準的なマイホームを購入する場合、住宅ローン減税の拡充やすまい給付金の創設を加味すれば、むしろ消費税8%の時の方がお得になる場合が多いという試算もあります。
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4月以降、住宅市場が再度盛り上がってくるのか、それとも一段落するのか・・・注目ですね。
さて、いつものようにまずは住宅ローン金利と関係の深い長期金利のこれまでの推移を振り返ると、上記グラフのとおりこの1年間は金利の変動がかなり激しかったことが分かります。
まず昨年の年始から4月にかけてアベノミクスによる景気回復や株価上昇、日銀による追加金融緩和への期待をベースとして長期金利は大きく低下しました。
金融緩和とは、金融市場に資金を大量に供給して経済を活性化させる政策ですね。金融市場では「金余り」となることから、一般的には金利が低くなる効果があるわけですが、実際、昨年4月に発表された新たな金融緩和策はまさに「異次元」とも呼べる大規模なものだったこともあり、発表当日と翌日には長期金利は0.3%台に低下するなど、史上空前の低金利を実現しました。
となるとそのまま超・超・低金利がずっと維持されるかと期待されたわけですが、そう素直に動かないのが金融市場・金融相場というもので、むしろその後、金利は急上昇し、一時は0.9%台に乗せるなど、金融緩和策により金利が上昇するという、常識とは「真逆」の動きとなりました。それだけ国債市場が異次元の金融緩和の影響を消化できず混乱してしまった、ということなのでしょうね。
ただそうした金利の混乱も徐々に沈静化し、昨年5月にピークアウトした長期金利は7月半ばから低下し始め、足元では0.6%前後まで低下しています。
昨年末に再度0.75%近くまでスルスル上昇する局面もありましたが、年明け以降、長期金利は再度低下傾向にあります。グラフ全体を眺めてもキレイな右肩下がりですね。
足元の長期金利は0.625%となっており、先月のこの時期の0.605%からはわずかに上昇していますが、上昇パワーは弱く、「小動き」の範囲内ですね。このまま金利が落ち着いたまま新年度を迎えることを期待したいと思います。
さて今後の金利動向を占う上で参考になってくるのが、日本の金利との相関が指摘されている日本の株価とアメリカの金利ですが、それぞれチェックするとこのようになっています。まず日本株はこう。
次にアメリカの金利はこう。
どちらも足元では少し下落しており、日本の金利の低位安定をサポートしていると考えられます。
これらの指標が足踏みしている要因はやはり新興国経済、特に中国の理財商品問題と、ウクライナ問題ですね。どちらも仮に最悪なシナリオを想定すれば、リーマンショックに匹敵する破壊力をもたらすことになります。
さすがにそうはならないとは思いますが、そうした世界経済や金融市場の緊張が高まれば、日本の金利は低下しやすくなる、ということですね。良いか悪いかは別ですが・・・。
ただし。
先月も述べましたが、今年はアメリカの金融緩和縮小に伴うさらなるアメリカ金利の上昇や円安ドル高の進展、そして日本株上昇の可能性があり、これらが日本の金利と相関しているのであれば、日本の金利は上昇圧力を受けることになります。
一方、イベントリスクである理財商品問題やウクライナ問題とは別に、構造的に金利低下圧力として厳然と存在するのが、日銀が実施している「異次元の金融緩和」です。さらに消費税増税後の景気の落ち込みを防ぐために、追加的な金融緩和の実施が期待されています。
「異次元」の上を行く金融緩和が一体どんなものなのか皆目検討がつきませんが、こうした動きがある限り、金利を引き下げる力もまたかなり強いということですね。
このように金利上昇圧力と金利低下圧力が金利を上下に引っ張り合う状況を俯瞰すると・・・結局のところ2014年の金利環境は、昨年2013年の環境とほとんど全く変わらないということになります。
2013年は上記の通り1年を通して金利の変動が激しく、落ち着かなかったわけですが、2014年もそうした状況が続く可能性が高い、ということですね。
今年は金利の変動に一喜一憂せず、大局観をもって住宅ローンの検討を進める姿勢が重要になってくると言えそうです。昨年も結局のところ全般的には低金利が維持されたわけですからね。
さてここで、いつものように2000年からの長期金利の推移を振り返るとこのようになっています。
長期金利は上記の通り昨年5月に大きく上昇したとは言え、中長期的に見れば、今が引き続き「歴史的な低水準」にあることがよくわかります。仮に今後、長期金利が0.1%や0.2%上昇したとしても、史上最低水準であるのは間違いありません。長期金利が1%を下回る時期というのは実はそれほどないのですね。
一方で。
前回の景気回復局面である2003年〜2006年ごろの金利推移を見てみると、2003年には長期金利が0.5%前後という過去最低水準まで下がったのち、その後1.5%近くまで跳ね上がっていることが分かります。
たかが1.5%ではあるのですが、されど1.5%と言えます。今の長期金利の金利水準からすれば2倍以上ですし、仮にそうなれば住宅ローン金利も当然、相応に上昇することになります。
2003年当時、世界経済の見通しが大きく好転したことや、小泉政権への期待、りそな銀行への公的資金注入により金融不安が大幅に後退したことに加え、「VaR」と呼ばれるリスク管理手法に起因する「VaRショック」と名づけられた「国債の投げ売り」が金利上昇を加速させたと言われてますが、そもそも金利のバイオリズムとして、「好景気の前が最も金利が低い」のだとすると、長期的に見れば、これから金利が上昇する可能性というのはそれなりにありそうです。
あくまで「長期的に見れば」ということであり、上記の通り異次元緩和が実施されている間は、金利が極めて上がりにくい状況にあること自体は変わりませんが、それでも今の「歴史的な低水準」からすれば、「これ以上は下がりにくい」という点で上昇する余地は相応にあります。
いずれにしても、今が住宅ローンの借入・借り換えの絶好の機会であることは間違いありません。
焦る必要は全くありませんが、多少の金利変動に左右されることなく、ぜひこの好機を上手に活用してもらいたいと思います。
さて前置きが長くなりましたが、2014年4月の住宅ローン金利を占う上で、いつものように、早めに来月の金利を発表しているソニー銀行の住宅ローン金利をチェックしたいと思います。
◆ソニー銀行住宅ローン金利
・変動金利 : 0.899% → 0.899% (変わらず)
・10年固定 : 1.506% → 1.522% (+0.016%上昇)
・20年固定 : 2.249% → 2.274% (+0.025%上昇)
・30年固定 : 2.405% → 2.430% (+0.025%上昇)
わずかではありますが、4月の金利はやや引き上げるということですね!これは上記の通り足元では長期金利が少し上昇傾向にあることに加え、住宅市場のハイシーズンが終了したこととも関係するのではないかと思いますが、気になる動きと言えます。
ただし金利上昇幅は0.02%前後と極めてわずかです。「小動き」 もしくは「概ね据え置き」と捉えた方が実態に近いのではないかと思います。まだまだ慌てる必要はありませんね。
これまたいつものように、今月の国債の平均金利と、先月のこの時期の国債の平均金利の差をチェックするとこのようになります。
◆3月18日現在の今月の国債の平均金利と、先月中旬までの国債の平均金利
・1年 : 0.08% → 0.07% (−0.01%低下)
・10年 : 0.61% → 0.61% (変わらず)
・20年 : 1.47% → 1.48% (+0.01%上昇)
・30年 : 1.63% → 1.67% (+0.04%上昇)
こうしてみると10年もの金利は意外に変わらない一方で1年ものは多少低下するなど、必ずしも全般的に上昇しているわけではないということですね。興味深いです。
このままこうした金利水準が維持されるのであれば、3月の住宅ローン「固定」金利は全般的に据え置きか、若干引き上げとなる可能性が高い、と言えそうです。それが正しいとすれば多少上昇したとしても全体的には現状の低金利が維持されるわけですから、やはり歓迎したいと思います。
最後に住宅ローン「変動」金利について。
これまた毎回ご案内しているように、人気の住宅ローン変動金利タイプのベースとなる「短期金利」については、日銀が完全にコントロールしているために、上がることも下がることもなく引き続き、「超・低金利」を維持しています。
実際、3月18日現在の代表的な短期金利である「無担保コール翌日物」金利は「0.074%」と上記の国債金利と比較しても文字通りケタ違いの低金利=ゼロ金利となっています。1ヶ月前の金利は「0.075%」でしたから、わずかに下落したことになりますが、引き続きゼロ金利が維持されている、ということですね。
日銀のこうした短期金利の引き下げ政策=ゼロ金利政策は、日銀自身が明言しているように十分なインフレ=おそらく年2%=となるまで続けられますので、短期金利はまだまだ低金利が続き、それはつまり、住宅ローン変動金利タイプもまだまだ低金利が続くことを意味します。
そもそも少子高齢化が進む日本で十分なインフレなど永遠に起こらないかもしれませんしね。
住宅ローン金利が上昇した、低下した、と言ってもそれはあくまで10年固定や20年固定といった「固定金利タイプ」の話であり、「変動金利タイプ」は基本的にはゼロ金利政策が復活した2008年12月以降の5年以上全く上昇していません。
つまり変動金利タイプをご検討の方は、長期金利の変動に一喜一憂する必要は全くない、ということですね。こちらも参考になさってください。
みなさんが来月も最高の住宅ローンに出逢えることを祈っております。