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<編集部からのコメント>
住宅ローン減税(控除)が実施されてから久しいですね。かなりの方がこの制度の恩恵にあずかっているのではないでしょうか。時期によって減税・控除額は変動しましたが、10年間で最大200万円〜500万円という規模のメリットがあるわけですから利用しない手はありません。
さらにこの4月からは増税による反動減を回避する目的で、従来最大200万円だった減税額が最大400万円まで再拡大しています。特に住宅ローンの借入額が大きい方には大きなメリットとなりますね。これから借り入れを検討されている方はぜひ積極的にご活用いただければと思います。
ただし「床面積50平方メートル以上」等の制約がありますので、そうした細かなルールについてはあらかじめご確認ください。
>>>住宅ローン減税とは?確定申告の方法は?必要書類は?
一方で、すでに住宅ローン減税を利用してしまっている方にとって、ふと悩んでしまうのは
・繰上げ返済すると元本が減って住宅ローン減税メリットも減ってしまうけれど、繰上げ返済してしまうのか、繰上げ返済せずに元本を維持しなるべく住宅ローン減税メリットを維持するのか、どちらがいいのだろう?
という点かもしれません。
記者もいつかゆっくり考えようと思いながら、考えずに今日まで来てしまいましたが、上記取り上げたコラムでは親切にもシミュレーションをしてくれているようですのでちゃっかり引用させていただきたいと思います。まずモデルケースはこういうことですね。
モデルケース : 住宅ローン=3,700万円×2.25%×35年
「2.25%」だと試算しなくてもすでに勝敗がついているような気がしますが試算結果はこのようになるそうです。
・繰上返済がない場合 : 住宅ローン減税効果303万円
・3年目に200万円繰上返済した場合 : 住宅ローン減税効果292万円+利息軽減効果207万円=499万円
・11年目に200万円繰上返済した場合 : 住宅ローン減税効果303万円+利息軽減効果134万円=437万円
つまり、もったいぶらずに3年目に繰り上げ返済するケースがもっとも総合的なメリットが大きいということですね。
かつ注目すべきは、繰上げ返済する場合とそうでない場合とで、軽く100万円を大きく超えるメリットが出ている点です。そう考えれば「繰上げ返済>住宅ローン減税である」という図式が強く印象づけられます。
しかし。
これは繰り返しになりますが、住宅ローンの金利が2.25%だからですね。住宅ローン減税はご存知の通り、最大でも元本の1%分です。「1%のメリット」と「2.25%のデメリット」を比べればどんなタイミングであろうと、「2.25%のデメリットを相殺した方がいい」というのは自明です。
もっと分かりやすい例で言えば「金利1%の定期預金を維持するために、金利2.25%の住宅ローンを維持している」という状況です。1%しか入ってこないのに2.25%の出費がある状態ですから、すぐにでも定期預金を解約して住宅ローンを返済すべきですよね。
逆に言えば、焦点となってくるのが「住宅ローン金利が住宅ローン減税メリット=1%より低い場合」です。
以前であれば1%を下回る住宅ローンなどほとんどなかったばかりか、「金利1%の住宅ローンの登場」ですら、大きなニュース・話題となったわけですが、現在では変動金利タイプであれば多くの銀行が1%未満の住宅ローンを提供しています。実際、最も多い金利タイプは変動金利タイプですしね。
そうしたわけで仮に住宅ローン金利が実質0.9%だった場合の損得を試算してみたいと思います。
モデルケース : 住宅ローン=3,700万円×0.90%×35年
・繰上返済がない場合 : 住宅ローン減税効果303万円
・3年目に200万円繰上返済した場合 : 住宅ローン減税効果292万円+利息軽減効果66万円=358万円
・11年目に200万円繰上返済した場合 : 住宅ローン減税効果303万円+利息軽減効果48万円=351万円
この場合、2.25%と比べれば繰り上げ返済の優位性は大きく縮小していますが、それでも50万円近い差があり、やはり繰り上げ返済が有利と言えます。
もちろん、金利がさらに低いケースや、住宅ローン減税メリットの総額がもう少し多いケースもあるとは思いますが、現実的にはここらあたりが限界だとすると、仮に住宅ローン金利が住宅ローン減税メリット=1%より低い場合でもほとんどのケースで「繰上げ返済が勝つ」わけで、住宅ローン利用者からすれば、住宅ローン減税を気にせずにガンガン繰り上げ返済する方が正しい、というわけですね。
記者も長年の疑問がとけてようやくスッキリしました。
そもそも現実的にも、いちいち住宅ローン減税を気にして2年や10年といった長期間、資金を手につけずに置いておくというのは難しいですね。余裕資金ができたらどんどん繰り上げ返済していく方が弾みがつくわけですし精神衛生上もいいと思います。
そうしたわけで、ぜひ積極的に繰り上げ返済をご活用いただければと思います。
ただし一点だけ、繰上げ返済を躊躇すべきタイミングがあるとすれば12月かもしれません。
余裕資金ができるタイミングとしては一般的なサラリーマンにとっては、夏・冬のボーナスシーズンが最大のチャンスですが、もし12月に繰り上げ返済をするなら1月まで待つのも手ですね。というのも、住宅ローン減税は年末の住宅ローン残高を基準にしますので、1ヶ月待てば、繰上げ返済予定の元本に関わる減税分を1年分まるまる享受できるからですね。
仮に繰上げ返済予定の元本が200万円なら最大2万円の減税メリットを1年分得られる、ということです。
あまりに「待ち時間」が長いと住宅ローン利息がこうした減税メリットを上回ってしまいますが、1ヶ月くらいの待機であれば十分、ペイするものと思います。
繰上げ返済されている方や利用予定の方は参考になさってください。
もちろん、一番大切なポイントはそこではなく、「住宅ローン減税を気にせずにガンガン繰り上げ返済する方が正しい」という点ですが・・・。