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<編集部からのコメント>
これまで何度もご案内してきているように、今年4月の消費税増税に伴う駆け込み需要やその反動減を抑えるために、政府はきちんとした対策を採ってきましたが、その主な柱は以下2つですね。
・すまい給付金の創設
・住宅ローン減税の拡充
この2つの仕組みによって一般的な住宅購入のケースでは増税前より増税後の方が減税メリットが大きいというほどの「大盤振る舞い」となりました。
そうしたわけで減税効果だけを考えれば4月以降に購入する方が経済合理性があるわけですが(もちろん、そうならないケースもありますが)、実際には駆け込み需要はキッチリ起こり、その反動減もしっかり起きています。つまり足元では住宅需要は低いまま、ということですね。
思惑が外れた要因としては
1.昨年の住宅市場の活況は、増税だけでなく「住宅ローン金利の上昇懸念」「住宅価格の上昇懸念」という追い風があった。
2.住宅ローン減税の拡充やすまい給付金の発表タイミングが遅く、十分に周知されなかった。
3.住宅販売の現場で、駆け込み需要を促すセールストークが展開された。
といった感じでしょうか。一部は記者の憶測ですが、ただ少なくとも「住宅価格の上昇」は徐々に現実のものとなっていますね。土地の価格は徐々に上昇傾向にありますし、建設費も人手不足により上昇圧力がかかっています。こうした動きが4月以降の反動減を逆に後押ししている面もあるのかもしれません。
ただし。
今後の先行きを考えれば、忘れてはいけないのは2015年10月に予定されている消費税の10%への増税ですね。今のところ予定通り増税される確率は五分五分といったところですが、もし引き上げになれば再度、駆け込み需要が起こることになります。
駆け込み需要=売り手市場=買い手には不利なタイミングということですから、今後、住宅購入を検討されている方は避けたほうが無難です。
では実際に消費者の住宅に対する買い時感はどのようになっているのでしょうか?最新の調査結果をチェックしてみたいと思います。
まず上記記事の通り、リクルート住まいカンパニーの「住まいの買い時感調査」によると、「今が住まいの買い時」と感じている人の割合は16.4%で、5四半期ぶり=1年3ヶ月ぶりに上昇した、ということですね!
本当にこれが世の趨勢を概ね正確に表しており、そうした中で買い時感が上昇しているのであれば注目すべきニュースですが、ただ前回=2014年3月と比べての上昇幅はわずかに0.6%であり・・・「誤差の範囲内」という可能性も高そうです。
さらによく考えれば、「買い時」と考えている人が16.4%ということは「買い時とは思わない」人が8割以上もいるということですね。というわけでその内訳を見てみるとこうなっています。
・今は住宅を買うタイミング、建築・リフォームするタイミングだと感じている : 16.4%
・今は住宅を買うタイミング、建築・リフォームするタイミングだと感じていない : 83.6%
やはり8割を超える方が「今は住宅を買うタイミングだと感じていない」ということですね。
ただこの設問は、「一般的な買い時感」を聞いているのか、「個人的な買い時感」を聞いているのか判然としません。もちろん現実的には一般的な買い時感と個人的な買い時感がミックスされて購入を検討すると思いますので、聞き方として間違っているとは思いませんが、しかしこういう設問だと、「個人的には住宅購入を考えていない」という方のほとんどが排除されることになります。
さらに、このアンケートは、住宅購入や住み替えを検討している人・していない人を問わず、広く一般生活者を対象に実施されたようですので、「自分は今のところ検討していないよ」という方が回答の大部分を占めるのも当然といえますね。
ということでこれをもって世の中の買い時感が上昇してきたと考えるのはやや早計そうです。
ちなみに「買い時」と感じている方の検討行動の割合はこうなっています。
44.8%の人が検討行動を起こしたということでかなり高い割合ですね!裏返せば、この16.4%の「買い時」だと考えている人は相当本気だということになります。
なお検討行動とはこういう選択肢ですね。
・具体的に物件を検索した。
・建築・リフォーム会社の情報収集をした。
・資料請求をした。
・モデルルームや住宅展示場、モデルハウスを見学した。
・購入する物件や、建築・リフォームの依頼先と契約した。
物件購入に向けてしっかりした第一歩を踏み出していることになります。やはり「本気」ですね。
ただ検討行動の割合としては今年3月の48.0%を下回っています。それでも昨年の40%前後という状況からは相応に高いわけで、「まだ購入検討者の熱は冷めていない」と言えるのかもしれませんが、少なくとも増税の「反動減」がここにも現れていることになります。
一方、別の調査結果としては、ハイアス・アンド・カンパニー社が同社運営サイトで6月に募集した「住宅購入に関するアンケート」では、「“一般的に”住宅の買い時だと思うか」という質問に対して以下のような回答となったようです。
・2013年 : 54.5%
・2014年 : 35.9%
つまり昨年比、18.6%も減少しているわけですね!ちなみにこの35.9%という水準は、東日本大震災後だった2011年の調査結果=39.0%をも下回っているということで、こちらもまた「反動減」が鮮明となっています。
ちなみに「“一般的に”買い時だと思わない」理由としてはこれらの点が挙げられています。
1位 : 消費税が10%となる可能性があるから 25.2%
2位 : 物件価格(不動産価格)が上昇傾向にあるため 24.3%
3位 : 消費税が10%になる際、もっと有利な住宅ローン減税などの税制が出来ることを期待しているから 23.7%
これはなかなか興味深いですね!
いずれも3割未満ということでマジョリティではないものの、1位は、10%への増税見通しが後押しになるだけでなく、抑止力になっている状態が示唆されています。そう考えることもできるわけですか・・・。
そして3位は、もっと有利な増税緩和措置を期待している「ちゃっかり派」のご意見ですね。
確かにこれだけの反動減が明らかになると、仮に10%への増税が決まれば、さらなる大規模な住宅購入支援策が出ると期待しても不思議ではありません。なるほど・・・面白いですね!
ただし、「“一般的に”買い時だと思う」理由の1位は「消費税が10%となる可能性があるから」で、56.8%となっており、増税見通しが住宅購入を「後押し」する力も健在です。
ちなみに2位は、「住宅ローンの金利が低いため」ですね。つまりはいつもの顔ぶれが並んでいる、ということになります。
というわけで、これらのアンケートからは「買い時感が上昇」というよりも「反動減が引き続き鮮明」という状況が読み取れます。
実際、より需要実態を表す中古マンション市場などでは、成約件数が減少傾向にあり、住宅市場が低迷しているのは間違いありません。
もちろんそれは買い手市場=買い手に有利なタイミングであることが示唆されているわけですから、あえてこのチャンスを積極的に取り込んでみるというのも1つの手だと思います。
上記の「“一般的に”買い時だと思う」理由の3位は「駆け込み需要が一段落し、住宅会社の丁寧な対応が期待できるため」(28.7%)とのことですので、これまた「ちゃっかり派」のご意見ですね!
参考になさってください。