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<編集部からのコメント>
少し前の報道となりますが、上記ニュースの通り総務省が発表した「平成25年住宅・土地統計調査(速報集計)」では、総住宅数6,063万戸に対して空家数は820万戸に上るようですね!
つまりは全住戸の実に13.5%が空き家ということになります。10軒に1軒以上が空き家なわけですから、なかなかの水準です。
さらにこの13.5%というのは、前回調査から0.4%増加し過去最高ということですね!少子高齢化によって住宅需要が徐々に減少していくイメージが明確に浮かびます。
そしてそこから直線的に連想されるのが
・これからは空き家がますます増えるので焦って家を購入する必要はない。
・持ち家に資産価値が得られにくくなり、むしろ家は所有しないほうがいい。
・当然、投資用物件の購入などもってのほかであり、賃貸ビジネスは徐々に成り立たなくなっていく。
というネガティブな考え方です。どれも全くもっともらしい結論のように響きますが、実際にはどうなのでしょうか?
それを判断するためにはデータの正確な理解が必要なわけで、総務省の元データをチェックしてみると、空家率はこのように推移していることが分かります。
確かに空家率は右肩上がりに上昇しており、13.5%というのが過去最高であることは疑う余地がありませんが、一方で20年前の平成5年と比較すればその上昇幅は3.7%です。
さらに15年前の平成10年と比較すれば上昇幅はわずか2.0%にまで縮まりますし、直近の5年間の上昇幅はたった0.4%です。もしこのペース(+0.4%/5年)で空室率が上昇していくと仮定すると単純計算では10年刻みでこのように変化していくことになります。
2013年 : 13.5% ※実績値
2023年 : 14.3%
2033年 : 15.1%
2043年 : 15.9%
2053年 : 16.7%
2063年 : 17.5%
つまりは50年経ってもまだ空家率は10%台半ばを維持しているわけで・・・もちろんこうした変化が不動産市場に多少は影響するとは思いますが、現時点でも13.5%もあることを勘案すれば、その影響は極めて限定的と言えそうです。
さらにこれは全国の平均値であって、人口集積地である東京の空家率はこのようになっています。
つまり、 5年で0.1%しか上昇していないのですね!そこから予想される東京の空家率の推移はこのようになります。
2013年 : 10.9% ※実績値
2023年 : 11.1%
2033年 : 11.3%
2043年 : 11.5%
2053年 : 11.7%
2063年 : 11.9%
こうなってくるともう50年経っても誤差の範囲内です。
もちろん単純計算ですのでかなり荒っぽいものであるのは間違いありませんし、人口動態の変化など全く考慮していませんので確度は低いですが、それでも「これからは空き家がますます増えるので焦って家を購入する必要はない。」という安直な推論とは大きく異なる可能性があることが示唆されているわけですね。
つまり、今住宅購入を検討している方が考えるべき期間(30年〜50年)において、「空き家率の上昇が住宅価格や住宅の需給にほとんど全く影響しない」可能性も十分にあるわけです。
だとすれば、あまりこうした数値に神経質になる必要はない、ということになりますね。
そう考えると、「これから空き家がどんどん増えるので住宅購入は慎重に」という専門家がいて、記者もそうなのかと鵜呑みにしておりましたが、その根拠は意外に薄弱なのかもしれません。
いずれにしても、この13.5%という刺激的な水準である空家率ですが、高いと捉えることも、低いと捉えることもできるわけで、さらに上記表の通り、首都圏や愛知県などの都心部では相対的に空室率が低くなっていることもあり、実態としてはやはり、そこまで心配する必要はなさそうです。
ちなみにこの「住宅・土地統計調査」では、持ち家率も公表されていてこのようになっています。
61.9%ということで・・・意外に低いですね!別の調査では8割くらいはあったような気がしますが、これは母集団が異なることに加えて、空き家は持ち家ではなく借家の方に集中しているのかもしれませんね。
だとすると空家率の当初の印象の中でも3つ目の
・投資用物件の購入などもってのほかであり、賃貸ビジネスは徐々に成り立たなくなっていく。
という考え方はまんざら間違いではないのかもしれません。
参考になさってください。