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<編集部からのコメント>
住宅ローンの返済計画を立てる上で最も不透明なものの1つに、「将来の金利動向」に加えて「将来の収入」が挙げられるのではないでしょうか。つまり住宅ローンを借りてから20年、30年といった長い期間の間に一体どれくらいの収入が得られて、どれくらい住宅ローンの返済に回せるのか、見当がつかないということです。
従来であれば多くのサラリーマンの方は退職まで勤め上げることがメインストリームでしたし、そうした中でどれくらいの収入が得られるのかおおよそ予想がつきました。
しかし今では年功序列が徐々に崩れ、年収は会社の業績に連動するようになり、転職も当たり前の時代です。さらに高い経済成長が続く時代は終わりをつげ、経済のグローバル化が進む中で会社の倒産も珍しくなくなっています。
また、家を購入する方は結婚されている場合が多いと思いますが、配偶者が働くのか働かないのかで生涯収入でみれば数千万円から数億円の違いが出てきます。
とすると将来の収入の予測には大きなブレ幅を見込んでおく必要があります。そしてもちろん住宅ローンを組む際にはその「下限」、つまり収入が相対的にかなり厳しくなった時にでも返しきれる余裕を持たせておくことが重要ですね。
何も家を買うことだけが人生の目的ではありませんので、実際に収入に余裕があればその分生活の質を上げていいですし、逆にどんどん繰り上げ返済を進めて、借金の重荷から1日でも早く解放されるというのも選択肢の1つですね。
現実的にも、そのようにかなり余裕を持った資金計画を立てた多くのケースで、「想定していたより収入が多い」ということになっているのではないかと思います。
つまりは平均的な住宅ローンの借入期間を30年としても、結果的に25年など当初より短く返済し終えている人がかなりいらっしゃるのではないかと思うのですが、本当のところはどうなのでしょうか?
そうした疑問に答える調査をアットホーム社が実施しておりますのでご紹介したいと思います。首都圏在住で住宅ローンを組んで完済した、子どものいる男性サラリーマン320名を対象にした調査、ということですがその結果はこのようになっています。
結論を言えば、当初の住宅ローン期間が25年なのに対して、完済までの期間は13.7年。つまり11.2年も短縮して約14年で住宅ローンを返済し終えているということですね!
驚異的な返済ペースと言えます。
ちなみに購入物件別に言えばこういう形となりますが、いずれにせよ繰り上げ返済を進め、あっと言う間に完済しているのは間違いありません。
・新築一戸建て : 23.4年 → 13.9年
・中古一戸建て : 19.5年 → 11.3年
・新築マンション : 28.0年 → 14.2年
・中古マンション : 22.3年 → 12.8年
すばらしいですね!住宅ローンの重荷から10年そこそこで開放されるならこれに勝るものはありません。仮に50才前後で完済できるなら、教育費の支出にも余裕が出ますし、老後資金を貯め始めるのにも十分な期間が残されることになります。
またこの調査で勇気づけられるのは住宅ローンの存在が節約や仕事のモチベーションになっているという事実ですね。
だとすれば、マイホームも手に入り、節約習慣も身に付き、仕事も頑張れたということですから「一石三鳥」ですね!仕事への影響はちょっと微妙な数値かもしれませんが・・・。
さてこの調査結果から得られる、住宅ローン選びに関する示唆は何があるでしょうか?いろいろあると思いますが、記者が感じたのは2つです。
1つ目は「住宅ローンの金利タイプは固定期間が短めで良い」ということです。専門家がよく「固定期間が短すぎる」と指摘する「10年固定金利」でも、実際の完済期間がここまで短いのであればその期間のほとんどをカバーできるわけですね。
逆に言えば、20年や30年、35年固定金利というのは「無駄に長い」ということになります。
それこそ変動金利タイプで十分という判断もあり得ます。
2つ目はやはり「繰り上げ返済の手数料としやすさが重要」ということです。ほとんどの方が繰り上げ返済サービスを利用して完済期間を短縮していったのだと思いますが、仮に繰り上げ返済のたびに手数料が取られたり、店頭での手続きが必要だったり、あるいは最低金額が100万円だったりすると大きな障害になったのではないかと思います。
繰り上げ返済については具体的には
・手数料が無料
・1円から返済できる
・ネットから手続きできる
といった利便性が大切だと言えます。
そんなわけで、この調査はこれから住宅ローンを借りようとされる方に大きな後押しとなる前向きな結果がちりばめられているわけですが・・・。
そもそもの疑念で恐縮ですが、住宅ローンの完済期間は本当にこんなに短いのですかね?
ということで以前もご紹介しましたが住宅金融支援機構が実施した民間住宅ローンの貸出動向調査ではこのようになっています。
つまり、新規貸し出し時点の住宅ローン返済期間は平均25.2年である一方、実際の完済期間は平均13.7年ということで・・・アットホームの調査と小数点第1位まで一致しますね!
2つの異なる調査が奇しくも平均完済期間を「13.7年」と示しているわけで、疑う理由はないのですが・・・ただちょっと「短すぎる」と思うのは記者だけでしょうか?数字がピッタリ一致する点も正直、気持ち悪いです。
17年や18年といった「10年後半〜20年弱」だとまだ腑に落ちる気がするのですが、いかがでしょうか?
これについては引き続き類似の調査結果が出てくれば検証していきたいと思いますが、ただ多少調査結果がブレたとしても上記ご案内したように
・住宅ローンの金利タイプは固定期間が短めで良い
・繰り上げ返済の手数料としやすさが重要
という点は揺るぎませんね。
参考になさってください。