※当サイトには広告リンクが含まれています。
<解説・異論・反論>
住宅ローンに関して数多くの統計や調査がありますが、そうした中でも特に影響力が大きい一方で、極めて結果がいい加減な調査の1つが何度もご案内してきているように住宅金融支援機構の住宅ローン金利タイプに関する調査です。
各種調査からの結果から推測すると、住宅金融支援機構自身が認めるように金利タイプのシェアはおおむねこのような感じかと思います。
・変動金利タイプ : 60%
・当初固定金利 : 20%
・全期間固定金利 : 20%
この根拠についてはこちらのコラムでまとめておりますのでご興味がある方はご覧ください。
>>>しつこいようですが・・・住宅ローン変動金利の割合はやっぱり6割!
それでは9月に発表されたその住宅金融支援機構の最新の調査結果はと言うとこうなっています。
何とこういうシェアだと言うのですね。
・変動金利タイプ : 36%
・当初固定金利 : 26%
・全期間固定金利 : 38%
つまり全期間固定金利がトップシェアだと言うことですね(苦笑)。文字通り苦笑いするしかない結果ですが、もちろん正確なはずがありません。住宅金融支援機構がすでに発表している最新の貸出シェアはのようになっています。
1−3月期の住宅ローン新規貸出額の数字となりますが、この時点でもフラット35のシェアは1割もありません。ところが上記調査ではフラット35のシェアは19.5%〜23.3%ということで・・・「2倍以上にかさ上げ」されているわけです。
ちなみになぜ前者の調査結果がおかしなことになっているかと言うと直接的な原因は明らかで、金融機関別の金利シェアはこのようになっています。
何と都銀・信託銀行における金利シェアで、「全期間固定型」が49%とほぼ半分になっているのですね!もちろんそんな話は聞いたことがありませんし、地方銀行や第2地方銀行など、他の銀行のシェアと比較すれば明らかに不自然です。実態としてはやはり、全期間固定金利のシェアはどう贔屓目に見ても20%程度でしょうね。だとすると全体の全期間固定金利シェアは2割を切ることになります。
住宅金融支援機構が、素人目に見ても明らかにおかしな調査結果を発表し続けるというのは残念ですが、動機としてはもちろん住宅金融支援機構がフラット35の販売を拡大したいという点があるのは当然として、気になるのはその仕組みです。そうは言いつつ直接的にデタラメな数値を発表しているわけではないとすれば、やはり毎月300人前後の回答者の中身ということでしょうね。
要するに実質的な回答者は毎回ほぼ同じであり、これにより実態にそぐわないいい加減な結果になっている可能性があるということです。インターネット調査では厳格な本人確認は行われませんからね。
今回、それを実感したのがこの調査結果です。「利用した住宅ローンを知るきっかけとして影響が大きかったものは?」という回答に対して、前回=2015年5月発表の結果はこうなっています。
住宅販売業者が41%と圧倒的なシェアをしめていたわけですね。その前も44%だったわけですから、ナンバーワンの「住宅ローン媒体」ということになります。
賛同するかどうかは別にして、納得できる数字ではありますが、では今回の調査結果はと言うとこうですね。
何とその住宅販売業者のシェアが41%から22%へ大幅に減少しているのですね!では2位以下の媒体シェアに大きな変動があるかと言われれば・・・ほとんど全くありません。
この4ヶ月の間に住宅販売業者やデベロッパーなどの営業マンが住宅ローンの案内を一切しなくなった、というなら話は別ですが、もちろんそんなはずはありません。今でも、営業目的で、あるいは住宅の円滑な販売のために積極的に住宅ローンの案内をしているはずです。
なぜ今回このように結果がぶれてしまったのか、そのロジックや動機、背景は外部からは知る由がありませんが、間違いないのは・・・やはりこの調査結果はテキトーだと言うことですね。
住宅金融支援機構のコメントも以下の通り、今回の「激減」を完全にスルーして論評している点も作為的なものであるとの疑いを深めます。
住宅ローンビジネスはかなり大きい上に全体の貸出額が減少するなど競争が激化している状況では、このように恣意的な調査結果やデータが混ざってしまうのは致し方ないことなのかもしれませんが、住宅ローン利用者としては、1つのデータを鵜呑みにするのではなく、なるべく複数の調査主体が発表している複数の情報から多角的に事実を検証する姿勢を身に付けることが重要だと言えるのかもしれません。
何十年もかけて返済を続けないといけないのは住宅ローン利用者自身ですからね。 それくらいの慎重さと覚悟が必要ということなのでしょう。
参考になさってください。