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ここ最近の金利動向を振り返ると、大きな転機となったのが、昨年11月のアメリカ大統領選挙でトランプ氏が勝利したことですね。それに大きく反応したのがアメリカ債券市場で、実際にアメリカの長期金利の推移をチェックしてみるとこうなっています。
11月以降、急激に上昇したことが分かります。それにつられる形で日本の長期金利もまた上昇しました。世界の金融市場はつながっているということですね。
ただ一方でそのアメリカの長期金利も足元ではジワジワ低下しています。アメリカの中央銀行であるFRBが立て続けに利上げを決定しているにも関わらずアメリカの長期金利が下がるというのは違和感を感じなくもないですが、トランプ政権による財政悪化懸念やFRBによる極端な利上げ懸念が後退しているということなのでしょうね。
いずれにしてもアメリカの長期金利が下がるなら日本の長期金利が下がってもいいはずですが、実際には上記の通り日本の長期金利はジワジワ上昇しているように見えます。確かに株価は好調ですから、金利が上昇してもおかしくはないわけですが、ここに来ての日米金利の「乖離」は住宅ローン利用者としては残念な状況と言えそうです。
ただし。
今後仮に金利がこのまま上昇を続けたとしても、現在実施されている日銀の「金利操作付金融緩和」によって長期金利はおおむね「−0.1%〜0.1%」の範囲内でコントロールされることになっておりますので、「0.1%を上回る金利上昇」というのはなかなか無いと思います。
本日の「+0.055%」という水準もその「レンジ内」というわけです。
なお具体的な7月の住宅ローン金利予測については以下記事にて詳しく述べておりますので参考になさってください。
>>>[2017年7月の住宅ローン金利予想] 概ね据え置きも、需要期に向けての利下げに期待
結論としてはタイトル通り「概ね据え置きだが、住宅ローン需要期の到来を受け、積極的な銀行は金利を下げてくる可能性あり」としておりますが、果たしてどうなるでしょうか。
一方で。
本題の7月のフラット35住宅ローン金利を予測するのはずっと簡単です。
と言うのも、フラット35金利のベースとなる住宅金融支援機構の「機構債」の条件がすでに発表されているからですね!したがってここから長期金利がどう動こうとも、少なくとも7月のフラット35金利はほぼ確定です。
と言うわけでその「機構債」金利から、7月のフラット35住宅ローンの金利を予想してみたいと思います。
ちなみにフラット35住宅ローンの金利は概ね以下のような金利の積み上げで決定されているようです。
1.ベース金利=機構債金利
+
2.住宅金融支援機構のフラット35事業運営コスト
+
3.販売金融機関のマージン
残念ながら上記2や3の詳細な内訳は分かりませんが、しかしこれらがほとんど変動しないとすれば、上記1、つまり機構債の条件の変化がそのまま出来上がりのフラット35金利の変化となります。
では具体的に今月=6月発行の機構債の条件はと言うと、前月5月と比較してこのように変化しています。
◆前月と今月の住宅金融支援機構債の発行条件
・0.43% → 0.44% (+0.01%上昇)
1ヶ月前の長期金利が「+0.045%」であり、本日は「+0.055%」ですから、それに準ずる形でわずかに上昇したということですね。
フラット35の金利としては最低水準にある楽天銀行をベースにするとこのように変化することになります。
◆楽天銀行のフラット35金利と来月の金利予測(単純計算)
・フラット20金利 : 1.01% → 1.02% (+0.01%上昇)
・フラット35金利 : 1.09% → 1.10% (+0.01%上昇)
概ねこんなものだとは思いますが、念のためもう少し精度を高めるべく、過去6ヶ月の機構債の金利変動と、楽天銀行のフラット20、フラット35の金利変動をチェックするとこうなっています。
・2016年12月の機構債金利変動 : 0.41%→0.48%(+0.07%上昇)
1月のフラット20金利 : 1.03% → 1.02% (−0.01%低下)
1月のフラット35金利 : 1.10% → 1.12% (+0.02%上昇)
・2017年1月の機構債金利変動 : 0.48%→0.46%(−0.02%低下)
2月のフラット20金利 : 1.02% → 0.99% (−0.03%低下)
2月のフラット35金利 : 1.12% → 1.10% (−0.02%低下)
・2017年2月の機構債金利変動 : 0.46%→0.47%(+0.01%上昇)
3月のフラット20金利 : 0.99% → 1.01% (+0.02%上昇)
3月のフラット35金利 : 1.10% → 1.12% (+0.02%上昇)
・2017年3月の機構債金利変動 : 0.47%→0.46%(−0.01%低下)
4月のフラット20金利 : 1.01% → 1.01% (変わらず)
4月のフラット35金利 : 1.12% → 1.12% (変わらず)
・2017年4月の機構債金利変動 : 0.46%→0.40%(−0.06%低下)
5月のフラット20金利 : 1.01% → 0.98% (−0.03%低下)
5月のフラット35金利 : 1.12% → 1.06% (−0.06%低下)
・2017年5月の機構債金利変動 : 0.40%→0.43%(+0.03%上昇)
6月のフラット20金利 : 0.98% → 1.01% (+0.03%上昇)
6月のフラット35金利 : 1.06% → 1.09% (+0.03%上昇)
こうしてみると、フラット35の金利はこの機構債の金利に概ね連動していることが分かります。
一方でなかなか法則性が見えないのがフラット20の金利ですね!ということで前回条件決定日である5月19日の市場金利を本日の金利と比較してみたいと思います。
・ 5年もの金利 : −0.111% → −0.080% (+0.031%上昇)
・10年もの金利 : 0.047% → 0.050% (+0.003%上昇)
・15年もの金利 : 0.316% → 0.288% (−0.028%低下)
・20年もの金利 : 0.603% → 0.557% (−0.046%低下)
・30年もの金利 : 0.832% → 0.791% (−0.041%低下)
今回の機構債の「+0.01%」という変化に最も近いのは「10年もの金利」ですが、であるならフラット20の平均残存期間はもう少し短いでしょうから「5年もの金利」と一定の相関があるのかもしれません。さすがに5年は「短すぎる」というご指摘をいただくかもしれませんが・・・。
その「5年もの金利」は上記の通り過去1ヶ月で「+0.03%」上昇しているわけですから、当サイトの7月のフラット35金利予測は最終的にこう結論づけたいと思います。
◆楽天銀行のフラット35金利と来月の金利予測(最終結論)
・フラット20金利 : 1.01% → 1.04% (+0.03%上昇)
・フラット35金利 : 1.09% → 1.10% (+0.01%上昇)
フラット20金利については仮説に仮説を重ねておりますのでその確度は不明ですが、果たしてどうなるでしょうか?スッキリ当たることを期待していますが、仮に外れたとしても大きくズレることはないと思います。
なおこの予測に楽天銀行の金利を利用しているのは、楽天銀行のフラット35は、金利+手数料のトータルコストが最低水準だからですが、これはあくまで「表面金利」であり、取扱い手数料や、団体信用保険のコストなどを加味すると「実質金利」は概ねこのようになります。
◆楽天銀行のフラット35金利と来月の金利予測(最終結論:実質金利)
・フラット20金利 : 1.45% → 1.48% (+0.03%上昇)
・フラット35金利 : 1.53% → 1.54% (+0.01%上昇)
表面金利からすれば魅力は低下してしまいますが、それでも「全期間固定金利」という点を踏まえれば、かなり魅力的と言えます。
ただし上記金利はあくまで「予測」ですので、実際の金利は来月1日以降に正式発表されてからご確認いただければと思います。
>>>フラット35の最新金利について詳しくはこちら
ちなみにこのフラット35、フラット20、そして機構債の金利推移をグラフにするとこのような感じになります。
過去5年間の平均値を見る限り、フラット35・フラット20の金利変動と、機構債の金利変動との間に大きな差はありません。つまり概ね連動してきたということですね。
と言うわけで繰り返しになりますが今月=6月の機構債の金利はわずかに上昇しましたので、恐らく7月のフラット35住宅ローン金利もわずかに上昇することになりそうです。フラット35の人気はどう変化するでしょうか?
参考になさってください。
みなさんが来月も最高の住宅ローンに出逢えることを祈っております。
<日本住宅ローンプランニング編集部>