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住宅金融支援機構から、最新の「フラット35利用者調査」が発表されておりますので取り上げてみたいと思います。
まずここ最近の住宅ローンの傾向として、「若年層の住宅ローンの借り入れが増えている」という点が挙げられると思います。先日のコラムでご案内したように、総務省が発表した「家計調査報告」では、年代別の負債保有世帯の割合は、2人以上の世帯では前年と比較してこのようになっていました。
・平均 : 38.1%→37.3%
・40歳未満 : 52.6%→57.7%
・40〜49歳 : 64.6%→62.8%
・50〜59歳 : 54.6%→52.9%
・60〜69歳 : 27.1%→27.1%
・70歳以上 : 12.4%→11.2%
全体では負債の保有割合が減る中で、「40歳未満」だけ顕著に増加したのですね。
また負債残高を10年前の2007年と比較するとこのように変化しています。
・平均 : 1,242万円→1,357万円 = +9.3%
・40歳未満 : 1,459万円→1,898万円 = +30.0%
・40〜49歳 : 1,539万円→1,669万円 = +8.4%
・50〜59歳 : 1,132万円→1,116万円 = −1.4%
・60歳以上 : 786万円→810万円 = +3.1%
やはりこちらも明確に「40歳未満」で増加していることが分かります。
>>>40歳未満の住宅ローン残高が急増中!最新の家計調査
そうした背景を理解した上で、この「フラット35利用者調査」をチェックしてみるとまず年齢はこのように推移しています。
意外にも2006年の平均値である「36.9歳」から、2016年は「39.8歳」とむしろ年齢が上昇していることが分かります。全体として40歳未満の住宅ローンの保有比率も保有残高も上昇しているはずですが、こちらでは40歳未満の存在感が低下しているのはなぜなのでしょうね?
気になるところですが、話を先に進めたいと思います。
次にこの10年であまり変わっていないものをチェックしてみると「総返済負担率」ですね。このようになっています。
10年前が「20.4%」で2016年が「21.1%」ということですから、住宅ローンの負担はそれほど変わっていないということですね。一時期、上昇した時期はありましたが、その後は安定して推移しています。20%前後という水準は「適正」かと思いますので、素晴らしいです。
一方、この10年で変化したものを見てみると「世帯年収」が挙げられます。こうですね。
10年前が「666万円」で2016年は「602万円」となっています。平均年齢が下がっているのであれば「若年化」で説明がつきますが、上記の通り平均年齢は上がっていますからね!とすると相対的に低所得者層がフラット35を選考している可能性がありそうです。
要するにフラット35の審査は易しく低所得者層の住宅ローンの受け皿になっている可能性があるということですね。さすがに平均年齢の「+3歳」と年収の「−60万円」という差からの結論としては飛躍しすぎかもしれませんが・・・。
しかし何より目を惹いたのはこの変化です。中古住宅の築年数ですね。まず「中古戸建て」はこうなっています。
10年前の平均「築12.1年」から、2016年には「築18.2年」と劇的に変化していることが分かります!
次に「中古マンション」はこうです。
こちらはもっと劇的で、10年前の平均「築9.8年」から、2016年は「築21.3年」と激増しています!築40年超のマンションってどんな感じなのでしょうか・・・。
もちろん住宅市場の活性化という観点からは、このように築古の物件が流通することはいいことなのでしょうけれど、とは言いつつこれが住宅ローン市場全体の動きと捉えるのはさすがに無理があります。
「平均年齢の上昇」や「築年数の上昇」を踏まえると、もしかするとフラット35の「新規借り入れ客」ではなく「既存借り入れ客」のデータかなとも思いましたが、そういうことでもないようですね。
「住宅ローン市場全体の動き」ではないとするとこれは「フラット35固有の変化」ということになりますが、上記変化をまとめて最近のフラット35は
・より年齢が高く
・より年収が低く
・より築古物件の案件が集まっている
とすると、やはり相対的に低所得者層の申し込みが増えているということなのでしょうか。
フラット35に関しては今後もいろいろな調査や統計が出てくるでしょうからその顧客属性については改めてチェックしてみたいと思います。
なお、すでにフラット35を利用されている方からすれば「低所得者」「低所得者」と強調されるのはあまり良い気持ちはしないと思いますし、当方の全くの誤解でれば先にお詫びしておきたいと思いますが、もし仮にこの理解が正しいのだとすれば審査が相対的に易しいということですから、他の金融機関の住宅ローン審査に落ちた方にとってはチャンスと言えます。
特に築年数が古い住宅を購入する場合は有力な選択肢となる可能性が高そうです。
該当しそうな方は参考にしてみてください。
<日本住宅ローンプランニング編集部>