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3月となり住宅市場も住宅ローン市場も需要期ですね。当サイトのアクセス数などを見ると今年もしっかり盛り上がっているように感じます。来年10月の消費税増税も徐々に意識されているのかもしれませんね。
一方、3月と言えば7年前に東日本大震災が起きた月でもあります。記者もリアルタイムで体験した1人ですが、人生観が大きく変わるような衝撃を受けました。
死者・行方不明者は約1万8千人ということですね。ご冥福をお祈りするとともに、被災者・被災地の1日も早い復興を祈りたいと思います。
ただ日々あくせく生きていく中で、残念ながら震災を意識する機会が減っているのも事実です。何と言っても東日本大震災は千年に一度の規模だったわけですから、やはり「非日常」の部類に入ってしまう出来事ですね。徐々に記憶が薄れていくのも自然なことなのかもしれません。
もちろん、首都直下型地震も南海トラフ地震も数十年以内に起きる可能性があるわけですから、全く他人事ではないのですけれど・・・。
そのように筆者も含めですが、みんなの地震への警戒心が薄れているなと最も肌で感じるのは、湾岸エリアの高層マンションの価格ですね。感覚的には震災直後に3割くらい下がって、そこから今は1.5倍くらいになっている気がします・・・とするとちょうど「行って来い」になってしまいますか。現状の価格はもう少し高い気がしますが、いずれにしてもそれに似た価格推移になっているのは間違いないと思います。
・・・というとあまりに感覚論ですので、個人サイトさんから湾岸エリアにある豊洲駅のマンション価格の推移を拝借するとこうなります。
震災直後に1割下がって、そこから2〜3割上がっているという感じになるでしょうか?当方の「震災直後に3割くらい下がって、そこから今は1.5倍くらいになっている」
という感覚からは程遠いですが、おそらくこちらのデータの方が正しいかと思います。スミマセン。
いずれにしてもここから浮かび上がってくることは、少なくとも住宅市場への震災の影響は1年から2年で消えたということですね。
ではもう少し具体的に調べてみるべく、住宅金融支援機構の「民間住宅ローン利用予定者編」 をチェックすると、震災直後の2012年時点での「住宅取得時に特に重視するもの」についてこのようになっています。
「震災後」に重視するベスト5はこうなっています。
1位:価格・費用 57.7%
2位:耐震性能 56.3%
3位:立地(災害安全性) 30.7%
4位:耐久性 25.6%
5位:省エネ性能 22.8%
耐震性能が「震災前」の19.5%から56.3%に一気に上昇し、2位に躍り出たわけですね。では直近の2017年10月調査の同データはと言うとこのようになっています。
ベスト5はこうですね。
1位:価格・費用 74.9%
2位:間取り 33.3%
3位:耐震性能 26.0%
4位:立地(災害安全性) 25.2%
5位:耐久性 16.7%
やはり「耐震性」は明確に下がってきています。ではちょっと意地悪かもしれませんが、この耐震性に対する意識がどのように変化しているのか時系列で並べてみるとこうなります。
・2010年:23.2%
・2011年:45.3%
・2012年:56.3%
・2013年:52.7%
・2014年:58.7%
・2015年:26.8%
・2016年:26.8%
・2017年:26.0%
「震災前」の数字はアンケートのたびに聞きなおしているようなので微妙に毎回変化しており、上記数字とも合いませんが、とりあえず書かれている数字を転記しました。この推移を見れば2015年を境に人々の耐震性に対する意識が大きく変わったことが分かります。一体何があったのでしょうか?
・・・恐らく何もないですね(苦笑)。
これは消費者の気持ちが変わったというより、アンケート回答者の母集団が変化したということなのではないかと思います。また、2014年以前も、2015年以降も、それぞれを見れば数字がほとんど変わっていないところを見ると・・・「それぞれ毎回回答者がほぼ同じ」だったことが示唆されています。つまり・・・この回答結果を時系列で見ても得られるものはなさそうです。住宅金融支援機構・・・。
では他に何かないか探してみたところ、ありました。全国宅地建物取引業協会連合会の「土地・住宅に関する消費者ウェブアンケート調査」ですね。最新の「物件選択における優先順位」はこのようになっています。
「住宅の耐震性能」は26.6%で 5位になっています。ではこの回答の推移を時系列で見るとこうなります。
・2012年:35.8%
・2013年:30.3%
・2015年:30.1%
・2016年:26.6%
・2017年:26.6%
この調査は2012年スタートであり、なぜか2014年はスキップしたようですが、ジワジワ下がってきたことが分かります。
ただ一方、2016年→2017年は同じ数字となっており、この調査が実態と合っているのであれば、住宅購入予定者の「震災意識」もこのあたりで下げ止まりそうであることが示唆されています。
繰り返しになりますが、東日本大震災のような「千年に一度」の規模の震災にどこまで備えるべきなのかは判断が分かれるところなのかもしれませんが、一方で数十年以内に起こる可能性が高い地震がいくつも指摘されているわけで、その点ではやはり地震に対する意識、そして備えというのは必要ですね。
また消費者がそうした機能を求めれば、どんどん良い技術が、どんどん安く提供されることとなります。自分だけでなく家族の命や資産を守るためにも、より安心できるマイホームを選びたいものですね。
あの厄災の記憶が末永く教訓となって残っていくことを期待したいと思います。自分に対する戒めでもありますが。
参考になさってください。
<日本住宅ローンプランニング編集部>