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2009年12月23日
<アサヒコム>
鳩山内閣は18日、住宅取得資金向けの生前贈与にかかる贈与税の非課税枠を現行の500万円から1500万円に拡大する方向で最終調整に入った。景気対策として、冷え込みが続く住宅市場へのてこ入れが必要と判断した。
贈与を受ける世帯に年2千万円までの所得制限を設けるなどして、対象者を絞り込む方向。「金持ち優遇」との批判をかわす狙いだ。
現行の非課税枠は、麻生政権が今年4月に決めた経済危機対策に盛り込まれた。しかし、住宅着工戸数は最近も大幅な前年割れが続いている。
このため国土交通省は非課税枠を2千万円に広げるよう要求。前原誠司国交相は今月上旬、朝日新聞の取材に対し「7千億円の内需効果が見込める」と述べていた。鳩山内閣が今月まとめた緊急経済対策には「来年度税制改正で住宅投資促進に資する贈与税の措置を講じる」との項目が盛り込まれた。
ただ、親から子に資産を渡す際の課税が少なくなれば格差の固定化につながる、といった異論も強く出ている。
日本の世帯ごとの保有金融資産は、完全に年齢に比例しています。つまり世帯の年齢が高ければ高いほど保有金融資産が増えていきます。言い換えれば「年寄りほど金持ち」というのが、日本の金融資産の分布ですね。
一方で、最もお金が必要でありお金を使う世代というのは、住宅購入や教育費が重なる割には給料はそれほど余裕のない30代−40代でしょうから、この60代以上のシニア世帯から、30−40代の壮年世帯に対してどのようにお金を流せるかが、今後の日本の国内需要を維持する上で重要な施策の1つであることは間違いありません。
その方法論の1つがこの住宅取得資金の贈与税を非課税にする、という話ですね。現状の500万円から1,500万円に一気に拡大するというもの。「1,500万円」といえば、鳩山兄弟が母親からもらっていた毎月の小遣いと奇しくも同じなのが笑えますが、果たしてどれくらいのシニア世帯がこの非課税枠を利用するのでしょうね?
そもそも相続税も贈与税も大幅な非課税枠がありますので、多くの場合は相続税・贈与税ともに0円になります。財務省のHPで調べたら、死亡者の中で相続税が課税されるケースは全体の4.2%ということのようです。約96%のシニア世帯では相続税も贈与税も考えなくていいわけなので、この非課税枠のメリットは受けません(すでに非課税なので)。
となるとその4.2%の「金持ち」の人をターゲットにした対策ということになりますが、金持ちの場合、「非課税だから1,500万円まであげとこう」となるのですかね?・・・まぁ、なるのかもしれませんね。
ちなみに前原大臣は内需効果が7,000億円とおっしゃっているそうですが、計算根拠はよく分かりませんが、1軒5,000万円とすると、14,000軒分。1年間の新築の持ち家・分譲住宅の着工件数は現状60万軒くらいのようですので、その中の14,000軒は2.3%。・・・まぁ、そんなものですかね。
というわけで、この対策自体はそんな変な施策ではなさそうですが、ただしほとんどの人にとっては無関係な施策であるのも事実ですね。上述の「60代以上のシニア世帯から、30−40代の壮年世帯に対してどのようにお金を流せるか」という点においては残念ながら効果は限定的そうです。更なる対策を期待したいところです。
(編集部)