※当サイトには広告リンクが含まれています。
サブプライムローン問題発生後から低迷を続けていたマンション販売など住宅事業が底打ち、各社とも11年3月期は業績の下支え要因になる見通しだ。ただ、賃貸事業については不透明感が残っているため、全体としての回復ペースは緩やかになると想定されている。
大手不動産3社の2011年3月期連結営業利益は、三菱地所が1560億円(前年比4.7%増)と2期連続の増益予想、三井不動産が1210億円(同0.3%増)、住友不動産が1350億円(同0.8%増)といずれも3期ぶりの増益に転換する見通し。その背景にあるのが住宅事業部門の改善で、セグメント別の営業利益予想では各社とも増益に転じ、全体の業績に貢献する。
マンション販売は05年をピークに業界全体で縮小し始め、リーマンショック以降は景気悪化や市況低迷によって大きく落ち込み、09年の全国発売戸数は約8万戸と05年の半分以下の水準まで減少した。しかし、今年に入り供給戸数、契約戸数、契約率が前年対比で上昇傾向を示しはじめ「足元で顧客の買う勢いが、マンションブームだった4年前と同水準以上になっている」(住友不動産の竹村信昭取締役)との声も出ている。
とりわけ好立地物件の成約戸数増加が目立ち、全体をリードしている。野村不動産が東京都豊島区で分譲中の大規模マンション「プラウドシティ池袋本町」では、都心駅前(JR埼京線板橋駅徒歩2分)の立地や環境共生型のコンセプトが評価され、第1期325戸が即日完売した。竣工は11年3月の予定。
販売が上向いてきたのは、価格下落によって値ごろ感が生じている上に、景気回復なども理由として考えられているものの、見逃せないのが住宅金融の拡充や、住宅版エコポイント、住宅購入時の贈与税に関する非課税枠拡大といった政府の住宅取得促進策だ。たとえば「プラウドシティ池袋本町」の契約者属性は、4分の3が年収1000万円以下だったのに対し、自己資本1000万円以上が契約者の6割を占めたという。住宅取得金の贈与税非課税枠は、これまでの500万円から1500万円(10年中)、1000万円(11年中)に拡大されるため、この政策が「マンション販売に好影響を及ぼしている可能性がある」(バークレイズ・キャピタル証券、住宅・不動産担当アナリストの橋本隆氏)という。
ただ、マンション販売は好調なものの「前回のピーク時に高値で仕入れた用地が残っており、それが一巡するまで不安が多少残る。各社とも減損処理を進めてきたが、まだ採算面で万全な状態とは言えない」(国内系証券・不動産担当アナリスト)との指摘もある。三井不動産の蔵本誠三常務は「住宅市場の販売状況は改善している。今期は(これまでの先行投資分の)回収の促進を図りたい」と話すなど、過去に取得した用地物件をいかにさばいていくかがポイントになりそうだ。
今回、取り上げるのは大手不動産3社の業績に関するニュースです。その3社とは三井不動産、三菱地所、住友不動産で、バッチリ財閥系ですね。GHQによる財閥解体指示はどこへやら・・というのはどうでもいいことですが、山と谷の落差が激しい不動産業界のこと、そういう業界を長らく生き残っていくためには、しっかりとした財務基盤と、安定した収益源、規律正しいリスク管理が必要で、どの面からもやはりこういう「財閥系」というのは有利なのでしょうね。
その大手不動産3社ですが、今期の業績としては営業利益で仲良く1,200億円台〜1,500億円台の増益を予想しているようですね。最終利益がいくらくらになるのかは知りませんが、いやはや景気のいい話です。
その業績好調を後押ししているのが足元の堅調なマンション販売、というわけですね。住友不動産の取締役氏曰く「足元で顧客の買う勢いが、マンションブームだった4年前と同水準以上になっている」ということです。
全体から見れば、この不景気の中、4年前のマンションブームと同じ勢いというのはさすがにちょっと言いすぎではないかと思います。恐らく、まだ供給量が少ない中、今の時期に供給できる体力のある大手不動産の物件に人気が集中しているということではないでしょうか。
今、新規に販売されているマンションの用地は、リーマンショック直前に仕入れたものか、リーマンショック後に仕入れたものだと思いますので、どちらにせよそういう仕入れができて、販売できるのはやはり大手不動産に限られてきます。まだ、損失覚悟の物件も残っているのかもしれませんが、全般的にはやはり大手にとっては追い風ですね。
実際、このコラムで何度か取り上げている、これまた大手不動産である野村不動産の手がける「プラウドシティ池袋本町」は第一期325戸が即日完売したようです。すごいですね。もちろんアウトレットマンションなどではなく、高級マンションさまですので、その点からもマンション市況の復調を感じます。
さてこの記事の中で特に興味が惹かれたのが「プラウドシティ池袋本町の契約者属性は、4分の3が年収1000万円以下だったのに対し、自己資本1000万円以上が契約者の6割を占めた」というくだりですね。
年収1000万円以下の中でも、上の方なのかそうでないのかで余裕だったり貯蓄ペースが大きく異なるのだとは思いますが、とはいえ「何もしなくても勝手にお金が貯まっていく」という状態からは程遠いでしょうから、契約者の6割が自己資本が1,000万円以上というのはなかなかすごいですね。
では一般的には頭金はどれくらい用意するものなのでしょうか?
住宅金融支援機構の平成20年度の調査によれば、以下の通りです。
・新築戸建て: 17%
・新築マンション: 22%
・中古戸建て: 15%
・中古マンション: 18%
何と結構、みなさん頭金を用意しているのですね!知りませんでした・・・。平均としては概ね2割近く、新築マンションに至っては平均が22%ということで、みなさん頭金を2割以上用意しているのですね。
もちろんあくまで平均ですし、こちらのデータはフラット35利用者のもの、ということになりますので物件も優良物件が多いでしょうから、借り手もそれなりに余裕のある人が多いのかもしれませんが、「結構、みんな用意しているなー」というのが実感です。
で、この「プラウドシティ池袋本町」の最多価格帯としては70平方メートル台で5,000万円台ということのようですから、仮に5,500万円として、頭金が2割なら1,100万円となり、確かに「自己資本1000万円以上」ということになりますね。
なのでそういう観点では、自己資本1,000万円以上というのは、マンションの値段からすれば取り立てて特別なことではないのかもしれませんが、しかしみなさん堅実なのですねぇ。
頭金の平均は概ね2割である、という事実は頭の片隅に入れておいたほうが良さそうですね。