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全23戸がそれぞれ300万円ずつを請求。河野清孝裁判長は「故意に耐震強度の構造計算書を偽装し、住民に多大な精神的、財産的損害を与えた」と指摘し、各200万円を認容した。
住民側は2006年6月に提訴。川崎市や施工業者なども被告に含め、請求額は9億円余りに上ったが、姉歯元建築士以外とは和解している。
グランドステージ川崎大師は偽装判明後の05年11月に川崎市が使用禁止命令を出し、住民全員が退去。国と市が建設費の一部を助成し建て替えられた。
社会問題となった耐震偽装事件ですが、2005年に発覚してからもう5年も経つのですね・・・。あれ以来、「姉歯事件」を上回るような問題は発覚せず、事態としてはやや沈静化というか、もっと言うと風化しつつありますね。
風評被害であったり、過剰な反応を防ぐことを考えれば、少なくとも不動産業界においては事態が沈静化するのは良いことだとは思いますが、とはいえ、住宅購入者からすれば耐震偽装のリスクは決して忘れてはいけないですね。
事件による教訓の一つは、物件選びに際し第三者のアドバイスをもらうことですね。この事件を機会に、「内覧業者」など、専門家が住宅選びをサポートしてくれるサービスが広がったような気がします。費用は5万円〜50万円など、決して安いものではありませんが、とはいえ数千万円もする「一生の買い物」に際して、それくらいのチェック費用は高くないし、ケチるべきではないと思います。
とはいえ、さすがの専門家でも、図面のチェックはしてくれるかもしれませんが、たとえば図面通りに施工されているかどうか、鉄筋の数は図面通りかなど、コンクリートの中身や基礎の状況を出来上がった後で調べるのは困難です。
やはり二つ目の教訓としては、信用できる業者が建設した物件を選ぶべし、ということですね。
「姉歯事件」の問題の1つは、複数の物件の建築主がヒューザーという新興マンションデベロッパーであり、社内の管理体制だったりコストダウン圧力を考えれば、そもそも手抜き工事が起こりやすい状況だったのかもしれませんが、それだけでなく、建て替えなどの負担に耐え切れず破綻してしまった点にもありますね。
「姉歯」がらみの物件でも、経営がしっかりしていたところはすぐに自社の責任で建て替えました。
大手マンション業者であれば、そもそも設計士や建築士も社内で抱えているような気がしますし、仮に何らかの過失により瑕疵のある物件を販売した場合には、即座に補償しますよね。ここまで問題にならなかったような気がします。
事件が風化していったとしても、人為的なミスは必ず起こるものですから、住宅購入を検討されている方はこの2つをしっかり心に刻みたいものです。
ちなみに上記記事では姉歯被告に対して4,600万円の支払いを命じる判決が出た、ということですね。他にも耐震偽装物件があることも考えれば、その負担に姉歯氏が耐えられるのかどうかは甚だ疑問ではありますが、とりあえず1戸あたり300万円の請求に対して200万円の支払いが認められた、ということになります。
気になるのは住民一戸あたりの補償が全体でどれくらいになったか、という点ですよね。
上記記事では全ての訴訟相手に対する請求額は9億円ということで、全23戸なので、1戸あたり3,900万円ということになります。恐らくこれは建て替え費用と同じか、それを上回る額ではないかと思われます。で、姉歯氏以外とは和解したとのことですので、恐らくそのかなりの部分が住民に支払われたのではないでしょうか。
仮に姉歯氏が自己破産して、その200万円を取りはぐれたとしても、建て替え費用全体からすればおそらく一部分だと思いますので、そう考えれば住民の追加負担という観点からは、かなり軽減されたのであろうことが示唆されておりますね。
だとすれば不幸中の幸いですね・・・。
とはいえ、そもそもしっかりした物件であればそんな追加負担は必要なかったわけですし、その間の訴訟だったり、建て替えだったりといった精神的・肉体的な負担は多大なものだったと思います。
やはり訴訟なんてしなくても、しっかり対応してくれそうな業者の物件を選びたいものです。特にマンションの場合は問題が大規模になるだけになおさらですね。
(編集部)