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税制優遇と不動産価格の理由は前年に引き続き上位1位、2位で同じだったが、前年3位だった住宅ローンが4位に後退した代わりに住宅エコポイントが3位に食い込んだ。
何度か書いておりますが、持ち家と賃貸とでのトータルコストの違いはほとんどありません。
あえて言えば持ち家の場合、30年以上住んだり、あるいは土地や住宅の値段が上昇すれば、その分トクする可能性はありますが、逆に言えば30年未満で売却したり、あるいは土地や住宅の値段が下落すれば、その分損する可能性があるわけで、経済的な観点から持ち家と賃貸とで優劣をつけるのは難しいですね。
経済的な観点から優劣をつけるのが難しいとすればあとは簡単で、「30年以上住み続けたい物件と思えるかどうか」「どうしても欲しいと思える物件かどうか」という主観で決めればいいわけです。
ただしもちろん、住宅ローンを返しきれるかどうか、という冷静な計算は必要ではありますが。
さてそんな「持ち家vs賃貸」論議ですが、全国宅地建物取引業協会連合会(全宅連)が面白いアンケート結果を公表していましたので取り上げたいと思います。まず、「持ち家派」か「賃貸派」か、という質問に対して、全国1万7千人の回答者はこのように答えています。
つまり、9割近い方が「持ち家派」ということになります。これは圧倒的ですね!!驚きです。さらに全体の7割は「一戸建て・持ち家派」ということですね。やはりマイホーム=一戸建てということで、一戸建て願望は根強いということでしょうか。
ちなみに詳細なアンケート結果を見る限り、回答者の分布は以下のようになっています。
・戸建て / 8,722人 (53%)
・マンション / 5,497人 (33%)
・その他 / 2,359人 (14%)
回答者の中で、特にマンション居住者が少ないということはありませんね。むしろ、日本全体の平均よりも高いくらいなのかもしれません。その中での一戸建て願望ということですから、やはりみなさん憧れるのは一戸建て、ということなのですかね。
記者はマンションにも戸建てにも住んだことがありますが、どちらもメリットがあり、なかなか優劣をつけるのは難しいですが・・・。
さて、面白いのは「持ち家派」に対してその理由を聞いておりまして、結果はこのようになっております。
1位は「家賃を支払い続ける事がムダに思えるから」ということですが、これは冒頭申し上げたとおり誤解ですね。持ち家の場合でも、建物価値の目減り分と住宅ローンの利息に消えていきます。
2位の「持ち家を資産と考えているから」という理由も微妙ですね。不動産価格が下落する可能性は十分ありますし、資産ではなく単なる重荷になってしまう場合も考えられます。
一方、3位の「落ち着きたいから」とか、4位の「マイホームを持つのが夢だから」という回答は、ある意味、家を購入する事に対して「正しい理由」の1つだと思います。繰り返しになりますが、経済的な観点から家を購入するのはあまり正しい理由とは言えません。
ちなみに少数派になってしまいますが、「賃貸派」の理由はこのようになっております。
こちらはどれも納得できる理由が並んでおりますね。全般的にはなかなか合理的です。
では結局のところ、「持ち家派」と「賃貸派」とで、満足度が高いのはどちらなのでしょうか?
意外にこういう調査結果はあまりないように思いますが、今回の調査ではしっかり聞いてくれておりまして、その結果はこのようになっております。
Q:現在のお住まいの満足度は何点ですか?(100点満点)
・「持ち家派」平均得点 73.2点
・「賃貸派」平均得点 66.2点
ということで、満足度の点数としては「持ち家派」の方が高い結果となっておりますね!これはなかなか興味深いです。点数の差はわずか7点ではありますが、66点と73点では印象がかなり違いますね。どちらかと言うとテストの点数よりは「偏差値」に近い感覚かもしれません。そう考えればこの7点の違いはかなり大きいですね。
もしかすると「家賃がムダになっている」という誤解が賃貸派の満足度を下げているかもしれませんし、あるいは持ち家の場合は当然、結婚と一緒で、それなりに惚れた物件を購入しているわけで、その点が満足度を押し上げているのかもしれません。
できれば後者と思いたいところですね。
また、この中で「注文住宅」の割合がどれくらいか分かりませんが、仮に注文住宅の割合が結構多いとすると、自分の思い通りの家が建てられるわけですから、満足度がより高いのもうなずけますね。
「賃貸vs持ち家」の論議は、経済合理性ではなく、あくまで主観で決めるべき、というのが記者の持論ですが、今回の「賃貸より持ち家の方が満足度が高い」という調査結果はなかなか考えさせられます。
(編集部)