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計画停電の発表に合わせ、住宅各社には太陽光発電住宅の居住者から問い合わせが相次いだという。停電時に太陽光だけで一部の電力を賄う「自立運転機能」の使い方が十分に浸透していなかったためだ。
自立運転モードの発電量は、太陽光が通常発電する量の約3分の1の1.5キロワット。日照時に停電した場合、テレビを見たり携帯電話の充電は可能で、冷蔵庫も機種の大半は使える。夏場の場合、エアコンの一部も使えるとみられる。
「今後は『光熱費がどうなる』といった側面に加え、『バックアップ』『自己防衛』という観点から太陽光住宅商戦がさらに盛り上がる可能性が高い」と指摘するのは、積水化学工業住宅カンパニーの技術部環境・快適住宅推進Gの塩将一主席技術員だ。同社は太陽光発電住宅の納入実績でトップの実績を持つ。
太陽光住宅の特徴は、停電時のバックアップ機能だけではない。同住宅の大半はオール電化だが、割安の深夜電力を利用する給湯器も活用できる。400リットル程度の給湯器にお湯を貯蔵すれば、断水時に大きな武器となるという。
積水化学の場合、新築住宅販売に占める太陽光発電の搭載比率は08年度に52%だったが、09年度は77%に拡大。10年度も第3四半期(10〜12月期)までに76%と高水準で推移している。東日本大震災を機にこの比率が高まる可能性もある。
ただ、停電に対する本格的なバックアップ機能を求めるには課題もある。太陽光が弱い時間帯や曇りや雨のときは十分に発電能力を発揮できないため、晴天時に発電した電気をためる蓄電技術が必要となる。
こうした実情を踏まえ、積水化学はNECと提携し、家庭のエネルギー消費量を把握できる装置を実用化したうえで、将来的には蓄電システムとの連携を目指す。
太陽光発電システムの価格は1棟当たり200万円強。量産効果などでコスト低下が続くとはいえ、依然、手が出にくい水準だ。ただ、計画停電などによって一般の節電意識が高まれば、需要増によってコスト低下が早まる効果も期待されている。
東日本大震災を経て、その必要性を改めて痛感させられたのが太陽光発電かもしれません。電気も水道もガスもなくなってしまった被災地ですが、水やガスは物理的に運搬可能だとしても、電気を運び込むのはなかなか困難ですね。
また災害時に最も必要なのの1つが、外部への連絡手段・通信手段ですが、やはりこれも電気を必要とします。
発電機を回す方法もありますが、今回のように油が極端に品薄となってしまった状況では、それもなかなかままなりません。「屋根に太陽光発電がついていれば・・・」と思った被災者の方は多いのではないでしょうか。
加えて直接被災しなくても、関東に住む方々にとって頭の痛い問題が、電力不足です。東電が供給できる電力の上積みが進み、予想どおりコトが進めば、計画停電や大幅な電力カットは避けられそうな機運となってきておりますが、とは言いながら昨年並みの猛暑がくればやはり電力が足りません。
そんな状況をやきもきしながら見守っている方々や、この春に実際に計画停電の憂き目にあったご家庭の方々の中では、いっそ太陽光発電を取り付けようとされている方も少なくないのではないでしょうか。
ただやはりネックはコストです。上記記事が指摘するとおり、太陽光発電システムの価格は標準で200万円程度。決して安いとはいえません。
さらに本格的に停電に備えようと思えば蓄電池が必要ですが、これがまた高い。家庭で使う電気を3、4時間賄える蓄電池は恐らく200万円近くなってしまうのではないでしょうか。つまり太陽光発電+蓄電池の組み合わせだと400万円近くになる可能性がある、ということですね。
・・・高級車が買える値段です。
もっとスマートに太陽光発電システムを構築しようというアイデアはあり、その1つが、まさにその車を使う方法です。太陽光発電と電気自動車とを、蓄電池代わりに組み合わせる方法ですね。電気自動車は「電池の固まり」ですから、十分な容量があります。これはなかなかいいアイデアですね。
太陽光でどれだけ充電できるか分かりませんが、自動車も充電できるなら、災害時の足としても期待できます。・・・実際には電動バイクくらいの方がいいのかもしれませんが。
とまぁ、机上では夢は膨らんでいくわけですが、実際にどこまで商用化されているかと言うと、まだまだ実証実験段階です。そう、結局のところ、太陽光発電はコスト面でも実用面でも大きく改善の余地があり、普及期には遠い状態なのですね・・・残念です。
仮に今回の震災が5年後・10年後に起こっていれば、普及の起爆剤になっていたかもしれませんが、残念ながらまだ時期尚早であります。
しかし液晶テレビの値段があっさり1/10くらいになったのに、同じような構造である太陽光パネルはなぜ値段が大幅に下がらないのでしょうか?
そうは言いながら、上記記事にあるとおり積水化学の場合、高価格帯の注文住宅である点を割り引いても、太陽光発電の搭載比率が76%になっている点は大変心強いですね。
技術革新や値段の低下が一朝一夕で進むものではないとは思いますが、需要は確実に広がっているでしょうから、この震災を教訓に、着実に実用化が進むことを期待したいと思います。