※当サイトには広告リンクが含まれています。
<編集部からのコメント>
最近、何度も書いていて恐縮ですが、年明けから住宅ローンが盛り上がってきている背景としては、折からの低金利に加え、最も住宅市場が盛り上がる3月が近づきつつあること、消費税増税前の駆け込み需要、ようやく新しい住宅ローン減税(控除)の枠組みが決まったことなど、数え上げれば切りがないほど多くありますが、その中の1つに「住宅価格の上昇懸念」があるかもしれません。
不動産価格と言えば長い目で見ればバブル崩壊以降、ずっと下がり続けており、住宅価格が上昇と言われてもピンと来ない方も多いかもしれません。
確かに全国的に見ればそうした低下傾向はまだまだ根強いですし、特に人口減少が続くような地域では今後も不動産価格が上昇する可能性は高くないと言えそうです。
一方で都心部など、人口流入が続いているエリアでは住宅価格は堅調に推移しています。需要が増えているわけですから値段が底堅く推移するのも当然かもしれませんが、日本全体の不動産価格の「平均値」で見てしまうとこうした「下落しているところもあれば上昇しているところもある」という二極化の流れを見逃しかねないので要注意です。
ちなみに「都心部で地価が上昇」と言うと、東京都の港区や中央区がイメージされるかもしれませんが、実際にはむしろ神奈川県や愛知県、関西、福岡など、東京23区以外の政令指定都市レベルで地価の上昇傾向が顕著ですね。遠いどこかの話ではありませんのでご留意ください。
この話題に関してはこちらのコラムでも紹介していますのでご興味がある方は参考になさってください。
>>>気になる地価動向 主要都市は上昇へ
ではなぜ主要都市を中心に地価が堅調に推移しているのかと言えば、上記の通り、都心部に人口が流入する都心回帰の流れに加え、リーマンショックや東日本大震災によって大きく下がった不動産価格がようやく回復し始めたのも一因だと思われます。
実態としては地価は上昇しているのではなく、回復しつつあるのだと言われれば、なるほどそうかもと思える面はありますが、言い方はどうあれ結果的には値段が上昇することには変わりありません。
さらに上記の通り消費税増税前の駆け込み需要に加え(土地に消費税はかかりませんが、建物にかかるのでやはり影響を受けます)、安倍政権が目指す「インフレ経済」も、住宅購入者の心理に多少影響している面はあるかもしれませんね。
インフレとはお金の価値が下がり、モノの値段が上がることですから、本当にインフレ経済が実現されればモノの代表格である不動産の値段も当然に上昇することになります。
もはやバブルを知る人はどんどん少なくなっているのかもしれませんが、1980年代のバブル時は土地の値段が上がりすぎて、庶民が都心部で住宅を所有するのは夢のまた夢という状況でした。東京であれば通勤時間が90分を超えてようやく、一般的なサラリーマン世帯で検討可能な住宅が出てくる、という感じだったのではないですかね?
あの頃の長者番付はそのほとんどが土地持ちで、土地売買にからむものだったと記憶しています。
さすがにそこまで土地の値段が高騰することはもう二度とないと思いますが、こうしたモノの値段というのは、みんなが「これから上昇する」と思えば本当に上昇するという性質を持っています。
これから住宅購入を検討されている方からすればもちろん住宅価格が低い方がよいわけでこうした動きには注意が必要です。
では具体的に住宅ユーザーの方々が今後の住宅価格についてどう考えているかと言うと、野村不動産アーバンネットが1月中旬に実施したアンケートによれば、半年前に実施された前回アンケートと比較して以下のような回答結果になったということですね。
・不動産価格は上がると思う : 13.1% → 29.2%
・横ばいで推移する : 47.2% → 36.8%
・不動産価格は下がると思う : 27.8% → 15.5%
どちらも合わせて100%にならないのは「その他」などがあったのかもしれませんが、それはともかくとして、確かに不動産価格が上昇すると予想するユーザーの方が大きく増えていることがわかります。前回のアンケート結果と比較すれば「真逆」と言えるかもしれません。
不動産価格が下がると思うユーザーは数字の上では少数派になっていますね。
記者自身は正直言って本当にインフレ経済が来るのかどうかと聞かれるとかなり懐疑的だと思っていますが、繰り返しになりますがモノの値段というのは、みんなが上昇すると思えば上昇する性格のものでして、とすると住宅価格が本格的に上昇する可能性も・・・ゼロではないかもしれませんね。
もちろん上昇するといってもいきなり倍になるなんてことはなく、仮に地価が上昇したとしても年に数%のレベルでしょうから焦る必要はありませんが、「待っていれば値段は下がるもの」といったデフレ時代の常識が通用しなくなる可能性は頭の片隅に入れておいたほうが良さそうです。実際、上記の通り、すでに地価が上昇し始めているエリアもあるわけですからね。
これから住宅購入を検討されている方は参考になさってください。