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<編集部からのコメント>
ここ最近、毎週のようにご案内しているのが、住宅ローンの金利タイプの中で、変動金利のシェアが低下し、固定金利のシェアが相対的に上昇している、というニュースですね。先日ご案内した住宅金融支援機構による2月の調査では以下のようなシェアとのことです。
・変動金利タイプ : 46.7%
・当初固定タイプ : 30.2%
・全期間固定タイプ : 23.1%
変動金利タイプのシェアは1月の調査では47.9%だったので、そこから1.2%シェアが低下したということですね。それでもまだ圧倒的なシェアではありますが・・・。
>>>住宅ローン変動金利タイプ、2月のシェア低下 上昇しているのは?
さて、この調査を実施した住宅金融支援機構が、今度は昨年11月から今年2月までの4ヶ月間の調査結果をまとめた「民間住宅ローン利用者の実態調査」を発表しています。毎月の調査は上記のような住宅ローン金利タイプのシェアの発表に留まる一方で、4ヶ月に一度のこの調査ではより深く掘り下げたアンケート結果が発表されますのでなかなか興味深いです。
最初に目をつくのが金融機関カテゴリー別の貸し出し金利シェアですね。前回=2012年7月〜10月の調査は以下の通りですが、メガバンクが変動金利タイプ(黄色のグラフ)を先導する一方で、地域金融機関や、相対的に規模の小さい金融機関ほど固定金利タイプのシェアが広がっていく、という構造でした。
地方に住む方ほど固定金利タイプを好む・・・なんてことはないでしょうから、ここに金融機関側の都合が見えて気になっておりました。
ところが、最新の調査結果ではこの構造が大きく変わっているのですね!
全体で見れば変動金利タイプのシェアが、やはり前回の調査と比較して53.6%から51.0%へと少し低下していますが、その内訳は大きく異なりますね。メガバンク、地方銀行、第2地銀で比べると、最も変動金利タイプのシェアが低いのがメガバンクで、次に地方銀行、そして最も変動金利タイプのシェアが大きいのは第2地銀と、完全に逆転しています。
第2地銀から借りた方の回答者数は67人なので「たまたま」という可能性はなきにしもあらずですが、しかしメガバンクや地方銀行の回答者数は必要十分ですから、やはり利用者の意識も、金融機関側の貸し出し方針も、この4ヶ月でかなり変わった可能性がありますね。興味深いです。
では、利用者側から見た場合、変動金利タイプを選ぶ人と固定金利タイプを選ぶ人とでどういった違いがあるのでしょうか?
上記調査では「年齢別」や「世帯年収別」での住宅ローン金利タイプのシェアを公表していますが、そこには大きな違いや差異が見られない一方で、クッキリと違いが分かれた調査結果が発表されていましたのでそれをご案内するとこれになります。
これは「今後1年間の住宅ローン金利見通し」を聞いた結果で、ピンク色が「金利が現状よりも上昇する」と答えたですが、その割合が、変動金利タイプ→当初固定タイプ→全期間固定タイプとなるにつれて、キレイに右肩上がりで上昇しているのが分かりますね!
つまり住宅ローン利用者がどの金利タイプを選ぶのか、というのは、「年収」でもなければ「年齢」でもなく、「金利観」によって最も影響を受けている、ということが示唆されています。
ある意味これは・・・健全な調査結果ですね!住宅ローン利用者が主体的に、自身の金利観に基づいて金利タイプを選んでいると示唆されるわけです。
そして全体で見ればこの、「1年後に住宅ローン金利が今よりも上昇する」と予想する人の割合が前回の20.8%から35.0%に上昇しているということですね。だとすると同じ様に金利タイプも、変動金利タイプのシェアが低下し、固定金利タイプのシェアが上昇した、というのもうなづけます。
とは言いつつ。
確かに上記調査結果は全体的にはポジティブに解釈することはできそうですが、一方で押さえておかないといけないのは「将来の金利を正確に予測できる人など誰もいない」ということですね。
景気の回復や物価上昇期待などを勘案すれば、金利上昇懸念が高まるのは理解できますし、記者自身も1年後には多少は金利が上昇するのではないかとは感じますが、とは言えそうなる保証はどこにもありません。
何か突発的な金融危機が起こり、また5年くらい超・低金利が続く可能性も十分あります。
利用者自身の金利観に基づき、主体的に金利タイプを選んだのであれば、思惑から外れたとしても納得できる、という利点はあるかもしれませんが、しかし自分の金利観を過信するのもどうかと思います。
思い通りにならないのが人生と金融相場でありまして(笑)、どんな時でも、金利が上昇する可能性も、逆に金利が低下する可能性も十分考慮した上で備えを進めていただければと思います。
・・・と言うと、あまりにも抽象的ですので、具体的な対策をご案内すると、その1つが「金利ミックスタイプ」を選択する、という方法ですね。たとえば固定金利と変動金利とで50%ずつ、半分半分で借りるという手です。これであれば、固定金利の安心感も、変動金利の低金利も半分ずつ享受することができます。
そういえば昨年退官した前財務次官(=財務省で一番エライ方)が住宅ローンを組んで都心のタワーマンションを購入されたことが話題になりましたが、確か報道によればその方も変動+固定のミックス金利で借りたとのことで、「金融のプロだけあってナルホドね」と思ったものでした。
もちろんそれだけが正解というわけではありませんが、ご自身の金利観から外れた場合のことも想定した上で金利タイプや住宅ローン選びを進めてもらえればと思います。
上記のように「金利先高観」が高まれば高まるほど、こうした冷静な感覚を持っておきたいものですね。これから住宅ローンの金利タイプ選びを始める方は参考になさってください。