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<編集部からのコメント>
先日も取り上げた、住宅金融支援機構の、昨年11月から今年2月までの4ヶ月間の調査結果をまとめた「民間住宅ローン利用者の実態調査」。現状の住宅ローン金利タイプの推移や、利用者の金利見通しが発表されていてなかなか興味深いです。
これらについてはこちらのコラムでまとめていますのでご興味があればご一読ください。
>>>変動金利を選ぶ人、固定金利を選ぶ人、違いは?
さて今回も同じ調査から、いくつか気になった調査結果を抜粋したいと思います。まず最初は、住宅ローンを決める際に影響が大きかったもの(媒体)ですね。
住宅ローンサイト運営に参画している記者からすれば、「インターネット」がそれなりの存在感があることを期待するわけですが、回答結果はこのようになっています。
実は、ということもないかもしれませんが、圧倒的に「住宅販売業者」なのですね!43%ということで2位以下を大きく引き離しての1位ということになります。
少なくとも新規借り入れの場合はこうなるのも自然なのかもしれませんね。購入者の意識は99%物件に向かっているでしょうし、初めての住宅ローンなら右も左も分からない場合も多く、それであればもう提携住宅ローンの中で、オススメかつ最も金利が低いものを選ぼうと思うのもよく分かります。
また物件を購入する段階になれば、その販売業者や営業マンに対してそれなりの信頼関係ができているでしょうから、より安心感が感じられるというのもあるかもしれません。
さらに言えば、金融機関の営業マンならいざ知らず、販売業者の営業マンであれば、より金利の低い住宅ローンの審査に通り、期限内に確実に融資してもらわなければいけない、という意味では、購入者と利害が一致します。つまり基本的には住宅ローンに対しては「購入者の味方」なのであって、信頼しやすい素地があるといえます。
・・・とは言いつつ。
そのように販売業者のアドバイスに素直に耳を傾けたからと言って、自分で情報収集したり、それ以外の第三者のアドバイスを聞いてはいけない、ということではありません。それこそ金融機関に話を聞きにいくことだってアリだと思います。
販売業者は不動産販売のプロではありますが、住宅ローンのプロではありませんからね。
加えて住宅ローンを長い年月をかけて返していくのは利用者本人であり、販売業者ではありません。とするとやはり他人のアドバイスを参考にするだけでなく、自発的に、能動的に、自律的に、納得いくまで住宅ローン選びをする姿勢も重要ですね。
では実際に販売業者以外ではどういったもの(媒体)が決め手になったかと言うと、2位に金融機関(17.5%)、3位にインターネット(13.1%)が続くものの、1位との差はやはり圧倒的ですね。
記者が残念に思うのはこのアンケートが「複数回答可」である点です。つまり、もし販売会社も金融機関のアドバイスも聞いたよ、という人が多ければ、両方が40%を超えることもあるわけですが、全体的に見れば、回答のシェアを全部足しあげても120%くらいにしかならないのではないでしょうか?
だとすると平均して1.2の媒体しか利用していないわけで、実際のところ、住宅ローン利用者の方々のほとんど自律的に情報収集していない実態が大きく浮き彫りになります。
確かになかなか金融機関に相談しにいく時間がないかもしれませんが、インターネットの情報であれば夜でも週末でもチェックできるわけですからね!もう少し利用する媒体が増えてくることを期待したいと思います。
一方、良い傾向としては前回調査から比較して、インターネットのシェアが少し増加した点と、4位に「ファイナンシャルアドバイザー、住宅ローンアドバイザー等の専門家」が順位アップしてきた点ですね。
インターネットのシェアについては、これがインターネット調査であることを踏まえればもっと高くてもいいような気がしますが、後者の「専門家」の存在感が増しつつある点については純粋に良いことですね。
これらの専門家は完全に、100%、相談者の味方ですから、頼りになるはずです。こうした第3者の専門家の存在感がもっともっと増えてくることにも期待したいところですね。
さて、そのようにやや他律的とも言えるプロセスで決定されている住宅ローンですが、気になるその「住宅ローンの満足度」はどうなっているかと言うとこうなっています。
総合評価は、6割を超える人が満足と答えており、満足度はかなり高いと言えそうです。内訳はこういうことですね。
・大いに満足 : 17.8%
・やや満足 : 45.8%
・普通 : 32.7%
・やや不満 : 8.7%
・大いに不満 : 2.9%
逆に言えば不満と答えた方は1割に留まるということです。住宅ローンには「審査」など、必ずしも利用者の意図には沿えない事柄もありますので、それを考えれば、かなりの高評価なのでしょうね。
かつ、これを点数化すると、前回調査の満足度が3.73なのに対して、今回の満足度が3.77ということで少し改善されています。
こうした点を踏まえると上記のような「人任せ」の住宅ローン決定システムもそれなりに機能しているようにも見えます。
しかし内訳を見てみると、満足度を向上させたのは「融資額」の項目であって、では肝心の「住宅・販売事業者の情報提供」について満足と答えた方は、上記指数の中では最も低い47.2%に留まっています。
また比べてみれば、「金融機関の商品説明や情報提供」の方がわずかに高そうですね。少なくとも「金融機関のアドバイスは利害が対立するから満足度が低い」というようなことはなさそうです。
そうしたわけで、今実際に住宅ローンを借りている人の満足度は決して低くはないものの、住宅ローンの決定において、住宅販売業者のアドバイスに依存しすぎている傾向が気になった次第です。
自分で情報収集して、住宅ローンの知識を増やしても、悪いことは1つもありません。
加えて、多くの人がその後、住宅ローンの借り換えを検討されるのだとすれば、そこで得た知識が大いに役立つことになりますね。残念ながら借り換えについては、住宅販売業者は一切アドバイスしてくれませんからね。
これから住宅ローン選びをされる方はぜひ参考になさってください。