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<編集部からのコメント>
7月となりました。金利高懸念や、地価・不動産価格の上昇懸念に加え、消費税増税が間近に迫っていることもあり、盛り上がってきた住宅ローン市場ですが、5月に比べると先月はやや落ち着いた感があります。
実際、当サイトへの訪問者の数も、5月に比べると6月は少し減りました。とにかく今までの盛り上がりが尋常ではなかったですからね。むしろ多少落ち着くくらいの方が健全と言えるのかもしれません。
消費者が冷静を失って良いことなど1つもありませんし・・・。
そういえば先日発表されていた日経新聞の2013年上半期のヒット商品番付では西の横綱に「住宅ローン」が選ばれていました。横綱に住宅ローンと言われても少しピンと来ませんが、第3者から見てもこの半年は住宅ローン市場が盛り上がっていた、ということなのでしょう。
そうした活況に沸いてきた住宅ローンに水を差しているのが何かといえば、最近の住宅ローン金利の上昇ですね。5月、6月と2ヶ月連続で住宅ローン金利は上昇してきました。
このように実際に住宅ローン金利が上昇すると、「さらに金利が上がる前に借りよう」と、ますます住宅ローン市場が過熱してくるのか、逆に「もう金利が上がってしまったのでまた下がるのを待とう」と待つ人・様子を見る人が増えるのかはわかりませんし、金利水準や上昇幅によっても変わってくるのではないかと思いますが、6月に住宅ローン市場が少し落ち着いた感じがしたことからすれば、一定の抑止力はありそうですね。
では住宅ローン金利と関係の深い、最近の長期金利=10年もの金利の推移をチェックするとこうなっています。
■長期金利グラフ(グラフ期間:1年)
なぜか5月中旬にドカンと上昇した長期金利ですが、その後上昇することも下落することもなく、今のところ0.8%台のレンジ相場を形成しています。気がつけばこのレンジ相場ももう2ヶ月近くとなっていますね!
不思議な、不気味な静けさと思えないでもないですが、とりあえず金利上昇が落ち着いたことは、住宅ローンユーザーとしては前向きにとらえて良さそうです。
[2013年7月の住宅ローン金利]
さて7月の住宅ローン金利ですが、上記の通り長期金利が落ち着いて推移してきたことから、先月末の段階で記者は、「7月の金利は概ね変動なし」とにらんでおりました。
加えて、一足早く7月の住宅ローン金利を発表したソニー銀行が全般的にわずかに金利を引き下げてきたため、「他行も追随して住宅ローン金利が低下する可能性もある」と期待しておりました。
蓋を開けてみると今月の住宅ローン金利は・・・大手銀行を中心にむしろ金利は引き上げとなってしまいましたね!アイタタタ・・・。これで3ヶ月連続の住宅ローン金利上昇となります。
上記のNHKニュース内でもコメントされているように、その背景としては「長期金利が上昇したから」と説明されている報道がほとんどですが、実際のところは上記グラフにある通り、5月中旬から長期金利は概ね0.8%台で推移しており、直線的に上昇している状況ではありません。
ではなぜ長期金利が落ち着いているのに住宅ローン金利が上昇したかと言うと、長期金利の平均金利が上昇したから、ということなのでしょうね。5月中旬に金利が大きく上昇したと言うことは、言い換えれば「5月の初旬は低金利だった」ということであり、5月全体の平均金利はそこまで高くなかった可能性が高いですね。
今後、翌月の住宅ローン金利を占う時には、そうした平均金利の推移を加味した上で予測していきたいと思います。反省です・・・。
そんなわけで今月は、メガバンクの固定金利タイプを中心に住宅ローン金利は少し上昇しました。
>>>今月の住宅ローン金利比較はこちら
フラット住宅ローンも、フラット20の金利は前月と変わらずだった一方で、主力のフラット35の金利は+0.02%と、やはり6月に比べわずかに上昇しています。
>>>最新のフラット35の金利はこちら(楽天銀行)
では一般的な住宅ローンはと言うと、いつものように当サイトで人気の住信SBIネット銀行と、日本最大のメガバンクである三菱UFJ銀行の、6月と7月の住宅ローン金利を比較するとこのようになっています。
◆住信SBIネット銀行
・変動金利 : 0.865% → 0.865%
・3年固定 : 0.810% → 0.590% (−0.22%)
・10年固定 : 1.530% → 1.430% (−0.10%)
・20年固定 : 2.290% → 2.350% (+0.06%)
・30年固定 : 2.420% → 2.470% (+0.05%)
>>>最新の金利はこちら
◆三菱UFJ銀行(実質金利)
・変動金利 : 1.275% → 1.275%
・10年固定 : 1.800% → 1.900% (+0.10%)
・20年固定 : 3.950% → 4.100% (+0.15%)
・30年固定 : 3.000% → 3.150% (+0.15%)
>>>最新の金利はこちら
やはり、軒並み上昇している・・・かと思いきや、住信SBIネット銀行は、各銀行が0.1%〜0.2%程度金利を引き上げる中で、人気の3年固定や10年固定タイプの金利をむしろ−0.1%〜−0.2%程度引き下げていますね!すばらしい。
これはやはり、全般的に住宅ローン金利が上昇する中であえて引き下げることで、積極的に顧客の獲得と規模の拡大を目指している、ということなのでしょうね。こうしたアグレッシブな姿勢を歓迎したいと思います。
なお、変動金利タイプについては長期金利の影響をほとんど受けないことから、今月も魅力的な水準が維持されています。こうやって変動金利タイプと固定金利タイプの「金利差」が広がってくると・・・再度、変動金利の人気が再燃してくるのですかね?
さて当サイトで一番人気の新生銀行の7月の住宅ローン金利はと言うと以下の通りです。
◆新生銀行
・変動金利 : 0.980% → 0.980%
・10年固定 : 1.750% → 1.750%
・20年固定 : 2.200% → 2.200%
・30年固定 : 2.600% → 2.600%
>>>最新の金利はこちら
こちらは上記2行とは対照的に、全期間、金利据え置きとなっています。
他の銀行が住宅ローン金利を引き上げてくる中での「据え置き」は実質的には金利引下げと同じ価値があります。こちらもやや強気な金利設定と言えるのかもしれませんね。
加えて新生銀行は、「借り換えキャンペーン」を実施中であり、このキャンペーンを利用すれば変動金利タイプも含め、10年固定金利タイプなどの金利が0.1%優遇されます。これを加味すると新生銀行の今月の金利はこうなります。
◆新生銀行(借り換えキャンペーンを利用の場合)
・変動金利 : 0.980% → 0.880%
・10年固定 : 1.650% → 1.650%
住宅ローンの借り換えをご検討の方は参考になさってください。
なお、新生銀行は、金利だけでなく、万が一の時の保障や返済停止機能を組み合わせた「安心パック」を付加するなど、金利競争以外のサービス拡充にも注力していますね。住宅ローンの金利や手数料だけでなく、そうした付加価値についても比較検討されてはいかがでしょうか。
[今後の住宅ローン金利の動向]
気になるのが今後の住宅ローン金利の動向ですが、正直、あまり読めません。
4月に発表された「異次元の金融緩和策」が実力どおりの力を発揮すれば、市場金利は徐々に低下していくものと思われます。
一方で、景気と金利は基本的には連動しますので、今後、国内経済が順調に回復していけば金利上昇圧力となってきます。
加えて一足先に景気が回復してきているアメリカの金利上昇も気になるところです。今や世界の金融市場がつながっていますので、アメリカの金利が上昇すれば、日本の金利も上昇することになります。
そうした金利の低下要因と上昇要因のせめぎあいが結果として今の市場金利の奇妙な落ち着きを生み出しているのかも・・・しれませんね。
ここでいつものように長期金利の2000年からの推移を振り返ってみたいと思います。
■長期金利グラフ(グラフ期間:10年)
前回の景気回復が始まった2003年には、長期金利は0.435%の最低金利をつけた後に急速に上昇し、1.5%前後にまで、実に1%近く上がったことが分かります。
仮に今後、景気回復が順調に進むのであれば、金利についても同じ様に+1.0%程度上昇する可能性がある、ということを示唆しております。
今のところ、慌てたり、焦ったりする必要は全くありませんし、逆に、デフレ構造が染み付いた日本では金利が上昇したとしてもその程度、とも言えます。
とは言いつつ、住宅ローン金利が低いのに越したことはありません。住宅ローンをご検討の方はそうした長い目で見た場合の金利上昇リスクを、頭の片隅に入れて、相対的に金利が低い間に、着実にご検討を進めていただければと思います。
[今月の住宅ローン金利レンジ]
最後に、今月の具体的な住宅ローン金利のレンジをチェックするとこのようになっています。
■2013年7月の住宅ローン金利状況(実質金利)
・変動金利 :0.865%〜2.675%
・10年固定:1.250%〜4.20%
・20年固定:2.200%〜4.10%
>>>今月の住宅ローン金利比較はこちら
やはり先月の金利と比較すると今月は、10年固定金利と20年固定金利の最高金利の方が上昇していますね。参考になさってください。