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<編集部からのコメント>
さて前回のこちらのコラムでは、野村不動産が運営する不動産ポータルサイトであるノムコムの意識調査アンケートをご紹介しました。
このアンケートは7月2日〜8日に、ノムコム会員の中の住宅購入検討者1,831人が回答しているもので、回答者数はもちろん申し分ありませんが、出来立てホヤホヤの調査結果という点でも有用と言えそうです。
前回はその中でも「住宅ローン金利」に関わる回答結果を抜粋しご紹介しました。
>>>住宅ローン金利は上がる?選ぶならどの金利タイプ?
ノムコム調査
ただし記者が最も驚いたアンケート結果は、実は今回ご紹介する、住宅購入に関する回答結果の方でして、「今、不動産は買い時だと思いますか?」という問いには以下のような結果となっています。
住宅ローン金利や不動産価格の上昇懸念、消費税増税などを背景に、住宅市場には強い追い風が吹いておりまして、こうした調査では軒並み、「前回のアンケートから、買い時だと思っている人が○割も増えた」というのがパターンとなりつつあるのですが、上記回答結果では、2013年1月の前回調査から、「不動産は買い時だと思う」と答えた方が0.7%減少しているのですね!
興味深いですねー。
もちろん、それでもシェアで見れば「買い時だと思う」と答えた方は6割を超えており、さらに「分からない」と答えた方も2割と多く、「買い時とは思わない」という否定的な考え方の方はわずか15%に留まります。
そう考えると、住宅購入に強気な人のシェアが、これ以上は上昇しづらいところまで高まってしまった、という考え方はあるのかもしれません。つまり減少したというよりは強気な人が「飽和状態」になった、ということですね。
実際、減少したと言ってもその割合はわずか0.7%であり、もともと64.0%の0.7%ですから、誤差の範囲という考え方もできます。
また、ありそうな理由としては、この回答者が一般市民ではなくノムコム会員の中でも「住宅購入検討者」であり、つまりまさに今、前のめりになって検討されている方々なのだとすれば、この半年間の強い追い風の中で、買い時だと思う人はどんどんマイホームを購入してアンケート回答者から外れていき、結果的に「買い時だと思わない」という方が残り、そういう方のシェアが拡大しやすい状況にあるとも言えるのかもしれません。
ただ一方で、このわずかな減少から、消費者の購入意欲の「潮目の変化」を感じ取る方もいるかもしれませんね。
この半年の「マイホームブーム」の原動力の1つとなったのは間違いなく来年4月からの消費税増税ですが、新築物件だとそろそろ増税に間に合わないタイミングになりつつあります(ちなみに中古物件はほとんどのケースで消費税がかかりません)。
加えて、アンケート実施前の6月下旬には住宅購入給付金=いわゆる「すまい給付金」の概要が発表され、年収に応じて住宅購入時に給付金がもらえる仕組みとなったことから、「むしろ増税後に購入した方がいいのでは?」と思った人が増えたのかもしれません。
もちろん繰り返しになりますが、減少したと言ってもわずか0.7%であり、6割を超える人が「今が住宅の買い時だ」と考えている現状はもちろん、総論としては住宅市場がかなり盛り上がっているのは間違いありませんが、気になる結果ではありますね。
今のところ、最近発表されている他社のアンケートでは引き続き「前回のアンケートから、買い時だと思っている人が○割も増えた」という結果が続いているようですが、今後のユーザー動向の変化に注目したいと思います。
さて、このノムコムのアンケート結果の続きで、「買い時だと思う理由は何ですか?(3つまで)」という問いには以下のような回答となっています。
回答結果としては、上記の通り、「今後、住宅ローンの金利が上がると思われる」、「今後、消費税の引き上げが予定されている」、「住宅ローンの金利が低水準」がトップ3ですが、他社のアンケート結果に比べると、「今後、住宅ローンの金利が上がると思われる」のシェアがやや低く、残り2つのシェアがやや高い気がします。
いずれにしても住宅ローン金利の動向と消費税が、住宅購入検討者を強く後押ししている様子が伺えます。
次に不動産価格の見通しとしてはこういうことですね。
こちらは前回調査から一気に増加し、なんと半分近い方が「上昇する」と思う一方で、「下がると思う」という方は1割未満に減少しています。劇的な展開ですね!
しかしこれだけ多くの方が不動産価格の上昇を予想しながら、この前の質問では買い時だと思う理由として「今後、物件価格が上がると思われる」からと答えた方が37%に留まるのはどうしてですかね?
物件価格の動向よりも住宅ローン金利や、消費税の方が関心が高いということでしょうか・・・。
そして最後にその消費税に関して、増税が実施されると住宅購入計画に影響を受けるか、という問いに対しては以下のような回答となっています。
「影響を受ける」と答えた方が63.5%と圧倒的なのは当然として、驚きなのは・・・何とこちらも前回調査から5.4%減少しているのですね!
しかも一番最初の質問結果のように0.7%ではなく、5.4%ですから、かなり有意な差となっています。
繰り返しになりますが、以下の要因が考えられそうです。
1.消費税増税で大きな影響を受ける人は購入が進んでいる。
2.新築物件だとそろそろ増税に間に合わないタイミングになりつつあり、すでに増税を織り込み始めた人が増えてきている。
3.住宅購入給付金=「すまい給付金」の概要が発表され、増税の影響が大きく軽減されたり、むしろ増税後に購入した方がいいと考えている人が増えてきている。
仮に3=すまい給付金の影響だとすれば、喜ばしいことだと言えるかもしれませんが、実際のところはどうなのでしょうね?
今後こうした潮目の変化が全体に広がっていくのか、あくまでこのノムコムの1回の調査の「誤差」に過ぎないのかは分かりませんが、引き続き注意深く、こうした動向をチェックしていきたいと思います。
なお、今回は全体として「前回調査からの減少」にフォーカスしましたが、そうは言いつつ全体的にはアンケート回答者の圧倒的多数は、
・住宅ローン金利上昇懸念や、消費税増税から、今が不動産を買い時だと思っており、
・今後、不動産価格が上昇すると予測しており、
・消費税増税に頭を悩ませている
という点は誤解のないようになさってください。
今後、住宅市場がさらに盛り上がるのか、それとも一旦落ち着くのか、注目ですね。
もちろん、どちらに転んでも、住宅購入者にとっては良い面も悪い面もあることは申し添えておきます。