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[10月の住宅ローン金利予想]
市場金利は引き続き低下傾向も、ソニー銀は意外な利上げ

このページでは、足元の金利動向から、来月の住宅ローン金利を予想します。
2013年9月17日

長期金利は0.7%台前半まで低下


■長期金利グラフ(グラフ期間:1年)



<編集部からのコメント>

上記グラフの通り、住宅ローン金利と関係の深い長期金利=10年もの国債金利は4月以降、大きく上昇してきました。特に上昇したのは5月ですが、そのキッカケとなったのは日銀による「異次元」の金融緩和策発表です。

金融緩和とは、金融市場に資金を大量に供給して経済を活性化させる政策ですね。金融市場では「金余り」となることから、一般的には金利が低くなる効果があるわけですが、緩和策発表後にむしろ金利が上昇したことから大きなサプライズとなりました。それだけ国債市場が混乱してしまった、ということなのでしょうね。

それにリンクするように、住宅ローン金利も5月・6月・7月と3ヶ月連続で上昇してきました。思わぬ金利上昇に慌てた方も多いのではないかと思います。

ただそうした金利の混乱もようやく沈静化しつつあるようで、7月半ばから長期金利は徐々に低下し始め、8月・9月と基本的には下落トレンドを維持しています。足元では0.725%前後まで低下してきました!ありがたいことですね。

実際、住宅ローン金利も8月に金利上昇が一服し、9月にはいよいよ全体的に引き下げとなりました。9月は住宅ローン市場が再度活性化してきているように感じておりますが、その主因はやはり金利の低下なのでしょうね。

折りしも来年4月までの間に、消費税増税前の駆け込み需要に伴う住宅ローン市場の過熱が噂されています。このまま順調に住宅ローン金利が低下することを期待したいと思います。

なお、このように金利がゆるやかに低下傾向にあるわけですが、あえて金利上昇要因を指摘するとすれば、先月も書きましたが、アメリカの金利上昇ですね。

アメリカでは景気回復が進む中で、金融緩和の「出口論」が議論されるなど、金融環境については日本より一歩も二歩も先を歩いている状態です。実際、9月17日・18日のFOMCでは金融緩和縮小が決定される、という見通しすらあります。

そうした金利環境を背景に、アメリカの長期金利=国債金利は上昇傾向にあるわけですね。異次元の金融緩和を推し進めている日本とは真逆の状態です。

しかしながら、当然、世界のマーケットはつながっていますので、アメリカの国債金利が上昇するなら日本の国債金利も連動して、多少は上昇することになります。

加えて、今のところ直接的な影響はないものの、2020年の東京オリンピック開催決定により、株価や日本の景気が大きく改善するようなことになれば、これまた金利も多少は上昇することになると考えられます。

今後住宅ローンの借入や借り換えをご検討の方は、念のため市場金利の動きにもご注意いただければと思います。

さてここで、いつものように2000年からの長期金利の推移を振り返るとこのようになっています。



長期金利は上記の通り5月に大きく上昇したとは言え、中長期的に見れば、今が引き続き「歴史的な低水準」にあることがよくわかります。

また、前回の景気回復局面である2003年〜2006年ごろの金利推移を見てみると、2003年には長期金利が0.5%前後という過去最低水準まで下がったのち、その後1.5%近くまで跳ね上がっていることが分かります。

たかが1.5%ではあるのですが、されど1.5%と言えます。今の長期金利の金利水準からすればちょうど2倍ですし、仮にそうなれば住宅ローン金利も当然、相応に上昇することになります。

2003年当時、世界経済の見通しが大きく好転したことや、小泉政権への期待、りそな銀行への公的資金注入により金融不安が大幅に後退したことに加え、「VaR」と呼ばれるリスク管理手法に起因する「VaRショック」と名づけられた「国債の投げ売り」が金利上昇を加速させたと言われてますが、そもそも金利のバイオリズムとして、「好景気の前が最も金利が低い」のだとすると、急かすわけではありませんが、中長期的に見れば、これから金利が上昇する可能性というのはそれなりにありそうです。

日本では金利が極めて上がりにくい経済状況にあること自体は変わりませんが、それでも今の「歴史的な低水準」からすれば上昇する余地は十分ありますね。

いずれにしても、今後、住宅ローン金利が低下した場合は当然として、仮に住宅ローン金利が多少上昇したとしても、今が住宅ローンの借入・借り換えの絶好の機会であることに変わりはありません。

焦る必要は全くありませんが、上記のような中長期的な金利上昇の可能性を頭に入れ、多少の金利変動に左右されることなく、ぜひこの好機を上手に活用してもらいたいと思います。

さて前置きが長くなりましたが、2013年9月の住宅ローン金利を占う上で、いつものように、早めに来月の金利を発表しているソニー銀行の住宅ローン金利を調べてみるとこうなっています。

◆ソニー銀行住宅ローン金利

・変動金利 : 0.999% → 0.999% (変わらず)
・10年固定 : 1.579% → 1.599% (+0.020%上昇
・20年固定 : 2.392% → 2.405% (+0.013%上昇
・30年固定 : 2.537% → 2.552% (+0.015%上昇

じぇじぇじぇ!と書くのもなんですが、そう言いたくなるくらい、意外にも全般的に金利引き上げとなっていますね!確かに9月第1週は少し長期金利が上昇する局面はありましたが、その後は再度下落しており、意外感というか違和感のある金利設定となっています。

あくまでソニー銀行独自の動きであれば良いのですが・・・他の銀行がどう判断するのか気になるところですね。

ちなみに今月の国債の平均金利と、先月のこの時期の国債の平均金利の差をチェックするとこのようになります。

◆9月17日現在の今月の国債の平均金利と、8月17日時点の先月の国債の平均金利

・1年  : 0.10% → 0.10% (変わらず)
・10年 : 0.77% → 0.75% (−0.02%低下
・20年 : 1.69% → 1.68% (−0.01%低下
・30年 : 1.82% → 1.81% (−0.01%低下

うーん、やはり全般的にわずかに低下していますね。少なくとも上昇はしていません。

とすると上記の通りソニー銀行の10月の金利は・・・理解に苦しみますねぇ。勢い余って下げすぎてしまったので少し軌道修正したのでしょうか?あるいは「8月は勝負の月」で、それが終わったので元に戻しつつあるのでしょうか?

基本的には、もう少し機械的な住宅ローン金利決定プロセスの違いだとは思いますが・・・気になるところです。

それはともかくとして、上記国債の金利はあくまで「月半ばのその月の平均金利」を算出したものですので、これがすなわち来月の住宅ローン金利にそのまま反映されるわけではありませんが、このままの金利水準で推移すれば、10月の住宅ローン金利据え置きか、さらなる金利低下が期待できそうです。

10月の住宅ローン金利が、こうした期待通りの金利となるかどうかは現時点では分かりませんが、繰り返しになりますが、今が住宅ローンの借入や借換のベストなタイミングであるのは間違いなく、多少の金利変動に左右されることなく、ぜひこの好機を十分に活用していただければと思います。

ちなみに。

これまた毎回ご案内しているように、人気の住宅ローン「変動金利タイプ」のベースとなる「短期金利」については、日銀が完全にコントロールしているために、上がることも下がることもなく引き続き、「超・低金利」を維持しています。

実際、9月17日現在の代表的な短期金利である「無担保コール翌日物」金利は「0.070%」とケタ違いの低金利=ゼロ金利となっています。1ヶ月前の金利は「0.072%」でしたから、やはりほとんど変化はありません。

日銀のこうした短期金利の引き下げ政策=ゼロ金利政策は、日銀自身が明言しているように十分なインフレ=おそらく年2%=となるまで続けられますので、短期金利はまだまだ低金利が続き、それはつまり、住宅ローン変動金利タイプもまだまだ低金利が続くことを意味します。

住宅ローン金利が上昇した、低下した、と言ってもそれはあくまで10年固定や20年固定といった「固定金利タイプ」の話であり、「変動金利タイプ」は基本的にはゼロ金利政策が復活した2008年12月以降、4年半以上、金利は上昇していません。

つまり変動金利タイプをご検討の方は、長期金利の変動に一喜一憂する必要は全くない、ということですね。参考になさってください。

みなさんが最高の住宅ローンに出逢えることを祈っております。

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