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<編集部からのコメント>
もう2013年も師走となったわけですが、この1年、金利はかなり激動しましたね。上記グラフの通り、住宅ローン金利と関係の深い長期金利=10年もの国債金利は、アベノミクスや日銀による追加金融緩和への期待をベースとして、年明けから4月まで大きく低下しました。
金融緩和とは、金融市場に資金を大量に供給して経済を活性化させる政策ですね。金融市場では「金余り」となることから、一般的には金利が低くなる効果があるわけですが、実際、4月に発表された新たな金融緩和策はまさに「異次元」とも呼べる大規模なものだったこともあり、発表当日と翌日には長期金利は0.3%台に低下するなど、史上空前の低金利を実現しました。
正直、記者はこのまま未来永劫、超・超・低金利が続くものと予想したわけですが、そう素直に動かないのが金融市場・金融相場というもので、むしろその後、金利は急上昇し、一時は0.9%台に乗せるなど、金融緩和策により金利が上昇するという、常識とは「真逆」の動きとなりました。
これには記者だけでなく多くの方が驚き、慌てたのではないかと思いますが、それだけ国債市場が異次元の金融緩和により混乱してしまった、ということなのでしょうね。
ただそうした金利の混乱も徐々に沈静化し、5月にピークアウトした長期金利は7月半ばから低下し始め、8月、9月、10月、そして11月と4ヶ月連続で基本的には下落トレンドを維持してきました。
住宅ローンの金利もこうした動きに歩調を合わせるように、5月から7月まで3ヶ月連続で上昇したものの、8月は概ね据え置きとなり、その後9月から11月まで3ヶ月連続低下したのですね。
要するに市場金利も住宅ローン金利も、4月以降の金利上昇がほぼ「なかったこと」になる水準まで低下したことになります。もちろん住宅ローン利用者からすれば金利が元に戻ったこと自体はありがたいのですが、今回の金利上昇で振り回されてしまった方は「一体何だったんだ」という感想かもしれませんね。記者も同感です。一体、何だったんでしょうね、本当に。
加えて、この初夏の金利上昇時に、「これから住宅ローン金利が上がる!」と煽ったメディアの方は十分、反省していただければと思います。読者を煽らないと利益にならないのはメディアの宿命ではあるのですが。
ただし。
そのように一旦は以前の史上最低水準まで低下してきた市場金利ですが、足元では再び上昇してきている点には注意が必要ですね。具体的には長期金利は、先月のこの時期の0.635%から、0.685%まで上昇しています。
「わずか0.05%」と言えばその通りで、実際の影響は軽微ではあるものの、夏場以降、長期金利は順調に低下してきているだけに、正直、「嫌な感じ」ですね。
今回の金利上昇が嫌な感じなのは、せっかく下がった金利がまた上がるのか、というのもありますが、もう1つ、「金利が上昇する理由がよくわからない」というのもあります。
たとえば金利上昇要因として今まで指摘してきた日本株の上昇ですが、グラフを見ればむしろ最近は足踏みしており、上記長期金利のグラフと見比べてみても実はあまり連動した動きになっていないことが分かります。
また、よく新聞などで指摘されているのが、アメリカの金利上昇の影響ですが、たしかに最近は再度金利が上昇し始めているものの、一歩引いてグラフを眺めれば、こちらもやはり日本の金利とあまり相関しているようには見えません。
なぜ日本の長期金利が急に上昇したのか・・・謎ですねぇ。
ただ、今までの記者の短〜い相場経験に基づけば、よく分からない金利の動きというのは、よく分かる金利の動きに吸収されていくことが多いと思います。そして今の日本の「よく分かる金利の動き」というのは
・異次元の金融緩和実施 → 金利低下
という構図ですね。つまり今回の金利上昇はあくまで短期的なもので、早晩、再度低下していくように思うのですがいかがでしょう?実際、市場では来春のさらなる金融緩和が確実視されているわけですしね。
>>>どこよりも早い2014年の住宅ローン金利予測
残念ながら当面は、住宅ローン金利は少し上昇傾向になるのではないかと思いますが、折りしも来年3月までの間に、消費税増税前の駆け込み需要に伴う住宅ローン市場の過熱が噂されています。
それが本当かどうかは分かりませんが、早晩、市場金利が落ち着き、住宅ローン金利も再度低下することを期待したいと思います。
さてここで、いつものように2000年からの長期金利の推移を振り返るとこのようになっています。
長期金利は上記の通り5月に大きく上昇したとは言え、中長期的に見れば、今が引き続き「歴史的な低水準」にあることがよくわかります。仮に今後、長期金利が0.1%や0.2%上昇したとしても、史上最低水準であるのは間違いありません。
一方で。
前回の景気回復局面である2003年〜2006年ごろの金利推移を見てみると、2003年には長期金利が0.5%前後という過去最低水準まで下がったのち、その後1.5%近くまで跳ね上がっていることが分かります。
たかが1.5%ではあるのですが、されど1.5%と言えます。今の長期金利の金利水準からすれば2倍以上ですし、仮にそうなれば住宅ローン金利も当然、相応に上昇することになります。
2003年当時、世界経済の見通しが大きく好転したことや、小泉政権への期待、りそな銀行への公的資金注入により金融不安が大幅に後退したことに加え、「VaR」と呼ばれるリスク管理手法に起因する「VaRショック」と名づけられた「国債の投げ売り」が金利上昇を加速させたと言われてますが、そもそも金利のバイオリズムとして、「好景気の前が最も金利が低い」のだとすると、急かすわけではありませんが、中長期的に見れば、これから金利が上昇する可能性というのはそれなりにありそうです。
日本では金利が極めて上がりにくい経済状況にあること自体は変わりませんが、それでも今の「歴史的な低水準」からすれば上昇する余地は十分ありますね。
いずれにしても今後、仮に住宅ローン金利が多少上昇したとしても「歴史的な低水準」にあることには変わりはなく、こうした中長期的な金利上昇の可能性を念頭に入れれば、今が住宅ローンの借入・借り換えの絶好の機会であることは間違いありません。
焦る必要は全くありませんが、多少の金利変動に左右されることなく、ぜひこの好機を上手に活用してもらいたいと思います。
さて前置きが長くなりましたが、2014年1月の住宅ローン金利を占う上で、いつものように、早めに来月の金利を発表しているソニー銀行の住宅ローン金利をチェックしたいと思います。
◆ソニー銀行住宅ローン金利
・変動金利 : 0.899% → 0.899% (変わらず)
・10年固定 : 1.481% → 1.569% (+0.088%上昇)
・20年固定 : 2.240% → 2.323% (+0.083%上昇)
・30年固定 : 2.388% → 2.475% (+0.087%上昇)
やはり、上記のような市場金利の上昇を受けて、変動金利を除き、全ての主要な期間の金利が0.08%〜0.09%程度上昇しています・・・1月の住宅ローン金利は他行も全般的に上昇、ということになりそうですね。
加えて、いつものように今月の国債の平均金利と、先月のこの時期の国債の平均金利の差をチェックするとこのようになります。
◆12月17日現在の今月の国債の平均金利と、11月17日時点の先月の国債の平均金利
・1年 : 0.09% → 0.08% (−0.01%低下)
・10年 : 0.61% → 0.65% (+0.04%上昇)
・20年 : 1.51% → 1.54% (+0.03%上昇)
・30年 : 1.65% → 1.70% (+0.05%上昇)
1年もの国債金利はわずかに低下しているものの、それ以外の金利は0.03%〜0.05%程度上昇している、ということですね。国債の平均金利からも、金利の上昇傾向が裏付けられたことになります。しばらく市場金利の動きには注意が必要ですね。
上記国債の金利はあくまで「月半ばのその月の平均金利」を算出したものですので、これがすなわち来月の住宅ローン金利にそのまま反映されるわけではないものの、今の金利動向が維持されるのであれば、1月の住宅ローン金利はある程度上昇するのは間違いなさそうです。
ただ仮にそうなったとしても繰り返しになりますが、今が住宅ローンの借入や借換のベストなタイミングであるのは間違いなく、多少の金利変動に左右されることなく、ぜひこの好機を十分に活用していただければと思います。
最後に住宅ローン「変動金利」タイプについて。
これまた毎回ご案内しているように、人気の住宅ローン変動金利タイプのベースとなる「短期金利」については、日銀が完全にコントロールしているために、上がることも下がることもなく引き続き、「超・低金利」を維持しています。
実際、12月17日現在の代表的な短期金利である「無担保コール翌日物」金利は「0.074%」とケタ違いの低金利=ゼロ金利となっています。1ヶ月前の金利は「0.073%」でしたから、ほぼ変わらずということですね。
日銀のこうした短期金利の引き下げ政策=ゼロ金利政策は、日銀自身が明言しているように十分なインフレ=おそらく年2%=となるまで続けられますので、短期金利はまだまだ低金利が続き、それはつまり、住宅ローン変動金利タイプもまだまだ低金利が続くことを意味します。
住宅ローン金利が上昇した、低下した、と言ってもそれはあくまで10年固定や20年固定といった「固定金利タイプ」の話であり、「変動金利タイプ」は基本的にはゼロ金利政策が復活した2008年12月以降の5年近く上昇していません。
つまり変動金利タイプをご検討の方は、長期金利の変動に一喜一憂する必要は全くない、ということですね。こちらも参考になさってください。
みなさんが最高の住宅ローンに出逢えることを祈っております。