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<編集部からのコメント>
いよいよ2013年も年末ですね!当サイトでの記事更新も、年末に予定している金利更新を除けば今回が年内最後となりました。今年も当サイトをご愛読・ご活用いただきましてありがとうございました。
さて今年1年間の住宅ローン市場を振り返ると、いつもご案内していることではありますが、
・アベノミクスによる景気回復期待
・金利上昇懸念
・地価、不動産価格上昇懸念
・消費税増税による駆け込み需要懸念
といった強い追い風がいくつも重なり、大変活況だった1年だったと言えます。特に年前半は「住宅ローン」が「2013年上期ヒット商品番付」で横綱に選ばれるなど、大きな関心を集めたわけですね。
ではそうした追い風が正しかったかと言えば、景気が着実に回復し、地価も不動産価格も全国的に上昇傾向が鮮明となり、消費増税も確定した、という意味では概ね「正解」だったと言えます。
まぁ、みんなが「景気は回復する」、「地価は上昇する」と強く信じれば、実際に景気も地価も上昇する面がありますので、どちらが卵かどちらが鶏か、という議論はあるのかもしれませんが、いずれにしても杞憂ではなかった、ということですね。
一方、残る2つ目の「金利上昇懸念」については正解だったかどうかと言われるとかなり微妙ですね。下記グラフは住宅ローン金利と関係の深い長期金利=10年もの国債金利の推移です。
こちらをご覧いただければ分かるように、確かに5月に長期金利はデジタルに急上昇しましたが、そこでピークアウトし、その後はゆるやかに低下したのですね。
1年間の中でかなり上がったり下がったりと変動が激しかったわけですが、結果的には2013年年始の長期金利が0.75%程度だったのに対して、この年末は0.70%程度となっており、年末年始の金利水準を見る限りにおいては、金利上昇懸念は「杞憂だった」と言えます。
ではなぜ景気が回復し、不動産価格が上昇しつつある中で、同時に上昇してもよさそうな金利が低下したかと言えば、それは日銀の大規模な金融緩和のおかげにほかなりません。
金融緩和が実施されれば、中央銀行によって国債が積極的に購入されますので、国債価格の上昇にともない、金利が低下することになります。そして今回の日銀の追加金融緩和は規模が極めて大きく「異次元緩和」と称されるものでしたから、金利が低下するのは当然と言えるのかもしれません。
しかしながら記者にとって、そしておそらく多くの住宅ローン関係者にとっても、今年1年の金利を振り返り最も驚きだったのは、4月にその「異次元緩和」策が発表されると、上記の通り繰り返しになりますが、その直後から金利が大きく上昇した点ですね!金融政策の常識から言えば、金融緩和により金利が上昇するというのは完全に真逆の動きです。
もちろん、金融緩和の規模が市場の期待より小さい場合は、失望から金利が上昇するというのは考えられますが、今回は市場の期待を大きく上回る規模だったわけですから、なおさら「金利上昇」という市場のリアクションは驚きでした。
とは言いつつ、やはり金融緩和によって金利が上昇する、というロジックは無理があるわけで、記者自身は強い違和感を感じていたわけですが、結果的にはほどなくして金利上昇が収まり、その後は低下に至る、という流れはすでにご案内したとおりです。
つまりは今回の金利上昇の理由は、「緩和の規模が大きすぎて市場がビックリして誤作動を起こした」というような説明に帰結するのではないでしょうか。
年後半の金利低下傾向にホッと胸をなでおろした住宅ローン利用者の方も多いのではないかと思います。
ただし。
少し気になるのはその順調に低下してきた長期金利も11月の0.6%前後を底にジリジリ上昇してきているのですね!この背景としては「アメリカの金利上昇」や「国内株式相場の好調」が指摘されています。
これらの動きと国内金利、そして住宅ローン金利との相関関係が果たしてどこまであるのかは分かりませんが、気になるところですね。
では専門家は2014年の住宅ローン金利についてどう予想しているのでしょうか?
・・・と思って検索してみましたが・・・2013年12月末現在では、あまり参考になるようなマトモな記事は引っかからないですね・・・。年明けには各新聞やメディアがこうした1年の金利見通しを掲載してくると思いますので、順次取り上げたいと思います。
そうした「時期尚早」な中、数すくない、キチンとした分析と展望を記載していたのが上記コラムとなります。
まずこうした住宅ローンの金利展望を述べるときに、住宅ローンの「変動金利タイプ」と「固定金利タイプ」とで分けて説明しているかどうか、というのが大きなポイントとなってくるわけですが、上記コラムではもちろん分けて説明しています。
なぜなら、「変動金利タイプ」は市場金利というよりも政策金利に連動する一方で、「固定金利タイプ」は取引が自由に大規模に行われている国債市場=長期金利の影響を強く受けるわけで、金利決定のメカニズムが大きく異なるからですね。
では上記コラムでは「変動金利タイプ」についてどのように予測しているかと言うと、
・平成26年(2014年)も横ばい
・平成27年度(2015年度)までは、少なくとも日銀のゼロ金利政策が継続しそうで、現在の変動金利の水準は長期化する
ということですね。記者も全くの同感です。
いつまでたっても2%の物価上昇目標が達成できず、ゼロ金利政策は永遠に続く=変動金利タイプの超低金利も永遠に続く可能性すら考えてしまいます。
一方で「固定金利タイプ」についてどのように予測しているかと言うと、
・米が金融緩和縮小を進めれば、米の長期金利が上昇することから、日本の長期金利も上昇しやすくなりますが、その影響は限定的
・日米金利差の拡大から円安が進行し、これが株高につながったとしても、日銀が国債を買い続ける限りは、この影響も限定的
・消費税増税の影響によっては、株安の原因となり、長期金利の低下要因
ということで、アメリカの金利上昇や日本の株高が金利上昇要因となるものの、「異次元緩和」が続いている限りはその影響は限定的であり、さらに消費税増税によって経済が想像以上に減速すればむしろ金利が低下する可能性もある、ということですね。
これについても記者は概ね同感です。つまりは金利上昇要因がないわけではありませんが、「異次元緩和」が金利に大きなフタをしている状況であり、そうした中では金利が上昇しても限定的です。
加えて、消費税増税による景気の腰折れを防ぐ目的で、日銀が更なる追加金融緩和を実施する可能性も相応にあり、もしそうなれば、長期金利にはさらなる低下圧力がかかり、引いては住宅ローン金利にも低下圧力となりますね。
当サイトのこちらの記事ではよりアグレッシブに「金利はさらに低下へ」と表現しましたが、少なくとも2014年1年を通じて、短期金利も長期金利も、そして住宅ローンの変動金利タイプも固定金利タイプも、引き続き強い低下圧力を受けることは間違いないと思います。
>>>どこよりも早い2014年の住宅ローン金利予測 金利はさらに低下へ
ネット上の記事を見ると、単純に「来年は景気がさらに回復しそうだから住宅ローン金利も上昇しそう」という安直な発想のものも目立ちますが、実際には今の大規模な金融緩和が続く限り、金利が本格的に上昇することはないと思います。
ご注意ください。
とは言いつつ・・・。
上記コラムでも、長期金利のレンジを「0.5〜1.0%程度」と予想しているように、それくらいの金利幅であれば変動する可能性があります。たかが0.5%ですが、されど0.5%でもあるわけで、そうした予測が正しいかどうかは別として、それくらいは動く可能性を視野に入れて、能動的に、積極的に、住宅ローンの低金利メリットを取りにいくのは悪くないと思います。
つまり、大きく金利が上昇する可能性は少ないにしても、多少は上昇する可能性があるわけで、であればなるべく低いうちに借り入れ・借り換えを済ましておいたほうがよい、ということですね。
また、住宅ローンの変動金利については、すでに政策金利がゼロとなっている以上、いくら待ってもこれ以上下がる可能性は低いです。であれば「借りたいときに借りる」というのが一番よい、ということになります。
こうした点も、実際の住宅ローン借り入れ・借り換え時には参考にしていただければと思います。
2014年も、みなさまが最良の住宅ローンに出会えることを祈っております!