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<編集部からのコメント>
個人的には結構、衝撃を受けたのがこちらのニュースです。鹿島建設が施工し、三菱地所レジデンスが販売していた港区の超高級マンション「ザ・パークハウス グラン南青山高樹町」で重大な欠陥が発覚した、という事件ですね。
このマンションは、超一等地ということで最高価格3億5,000万円、最多価格帯が1億4,000万円台という、これぞ億ションという物件ですね。外観はこのような感じです。
派手さはありませんが、落ち着いた佇まいとなっています。
そしてこの写真からも分かる通り、ほぼ完成しています。引渡し予定が3月だったので当然ですが、しかしながら欠陥が見つかってしまったのですね。欠陥の内容はと言うと、「スリーブ」といわれる配管設備のための穴が開いていなかった、ということです。
具体的には全部で6,000ないといけないスリーブのうち、600の穴がなかったり位置が間違っていたりしたのですね。また、後から配管を通そうと開けた穴が鉄筋を切ってしまった箇所もあるようです。
1割の穴がないと言われてもミスとしてどれくらい深刻なのかピンと来ませんし、事後的にリカバリーできるのかできないのかもわかりませんが、とはいえ配管自体は1本たりとも割愛できないわけで、やはり重大な欠陥・ミスであったのは間違いないでしょう。
しかしこの事件の最大の問題点は、発覚したのが施工会社・販売会社からの顧客あての説明ではなく、ネットでの書き込みによって、という点ですね。報道では「カキコミを見た契約者が問い質したことで事実確認が始まった」とのことです。もしそうした書き込み・告発がなければそのまま販売・引渡しされていた可能性も十分あるのではないかと思います。
で、どのような書き込みがあったかと言うと掲示板の情報に基づけばこういう感じのようです。
「画像、確認したんですが、私が誰かが特定されかねないんですよね。UPにするなりして近日中にはお出しします。ちなみに部屋内は躯体打ち込み時に衛生などの縦の配管用のスリーブ入れ忘れによるコア抜き多数。地下はダクトや配管のルートなしにより、壁がほとんどなくなった様な所さえあります。全て、関電工。強度なんてあったもんじゃありません。コア抜きは犯罪ですんで。」
情報が正しいとすれば、ポロっとつぶやいた、というようなことではなく、がっつり内部告発者がいた、ということですね。
また契約者も、あるいは掲示板の他のユーザーも、当初は荒らし・営業妨害・愉快犯として認識していたようですが、内部告発者の提供情報にリアリティがあったため、三菱地所に問い合わせがあり、最終的に発覚・販売中止に至った模様です。
つまり。
やはり、内部告発がなければ、何とか体裁を取り繕って販売・引渡しされていた可能性が高いということですね。少なくとも、ギリギリのタイミングまで何も言わずに引き渡す努力が続けられていたことになります。
発覚したのは内容から考えればおそらくかなり前である一方で、外観からはほぼ完成しているわけですからね。
そんなわけで、悪質さを踏まえれば、もっと騒ぎになってもよさそうなものですが、予想に反しあまり報道に広がりが見られないのは、三菱地所側が全面的に非を認め、手付金+迷惑料として、手付金の3倍を返金する条件で合意解約をお願いした、という対応があるからなのでしょう。
記憶に新しい姉歯事件でも、会社負担でさっくりマンションを建て替えた業者はほとんど批判されなかった一方で、責任を争ったり、経営力からそれができなかった業者は厳しい批判にさらされました。
やはりこうした事件では、素早く非を認め、少なくとも経済的な負担については必要十分に補填・補償する姿勢が重要ということですね。
加えてもしかすれば、購入者は当然お金持ちばかりでテレビには映りたがらないでしょうし、視聴者の共感を得にくいというメディア側の事情があるのかもしれませんが・・・。
ちなみに、今回の出来事は決してほめられたものではありませんが、一方で、三菱地所の経営内容は万全で今期の決算にこの事件の影響はほとんど全くないとのことですから、その点では購入者にとっては不幸中の幸いだったと言えそうです。
もし仮に中小デベロッパーであれば、体力的に対処しきれなかった可能性も十分あります。
また、こうした欠陥工事は後で明らかになることも少なくありませんが、その点でも三菱地所なら充分なアフターケアが期待できますね。
記者自身は判官びいきといいますか、一般論から言えばあまり業界大手は好きではなく、新興勢力を応援したくなりますが、こと住宅に関して言えば金額が大きいだけに、やはり多少割高でも大手の物件の方が「もしも」のリスクを考えると安心ですね。
健全な競争、業界の新陳代謝という観点からは残念ながら逆行してしまうのですが・・・。
参考になさってください。