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<編集部からのコメント>
3月となりました。いよいよこの春の住宅シーズン・住宅ローンシーズンも佳境ですね。
もちろんそれなりに盛り上がっているとは思いますが、個人的に気になるのは、来月の消費税増税を控えた駆け込み需要が本当に起こるのかどうか、という点ですね。
まず物理的には、新築マンションや注文住宅は基本的には間に合いませんし、ほとんどの中古物件にはそもそも消費税がかかりません。となると、どうしても今から増税前に住宅購入しようと思うと、完成済みの新築物件が選択肢となります。
ただ完成済みということは、この3月に完成するものでなければ、概ね「売れ残り」を意味します。売れ残るには色々な事情があるとは思いますが、果たして「3%の差」だけでそうした在庫物件に飛びつく方がいるのでしょうか?
そもそも何度もご案内しているように、4月からの住宅ローン減税拡充や新規に導入される「すまい給付金」を加味すれば、むしろ消費税増税後の方が減税メリットが大きいというウソみたいなホントの話もあります。
>>>「住宅ローン減税+すまい給付金」vs「消費税増税」
どっちが得?
もちろんケースバイケースだとは思いますが、全体から見れば3%の金額の差というのは誤差の範囲内ですし、そうした増税負担の緩和措置によって、ほとんど気にしなくて言いレベルまで消費税増税による影響は極小化されたと言ってよいと思います。
今、マイホーム探しをされている方がおられるとすれば、たまたまこの3月に理想的な物件に出会えたのであれば何の問題もありませんが、基本的には消費税増税を気にせず、増税があってもなくても絶対手に入れたい物件を見つけることに集中いただければと思います。
そうした住宅購入シーズンの佳境のタイミングで気になるのが3月の住宅ローン金利動向、ということになりますが、上記記事の通りメガバンクは金利をほんの少し引き下げる、ということですね。
これから住宅ローンを借りようとされている方にとっても、すでに住宅ローンを借りている方にとっても歓迎すべき動きと言えますが、いつものように住宅ローン金利と関係の深い、最近の長期金利=10年もの金利の推移をチェックするとこうなっています。
■長期金利グラフ(グラフ期間:1年)
ここ最近の動きとしては、昨年7月以降、順調に低下してきた長期金利ですが、昨年11月を底にスルスルっと年末にかけて0.75%近くまで上昇しました。
これは株価の急速な上昇に加え、アメリカの金融緩和縮小決定にともなう金利の上昇に引っ張られた面があると思いますが、年明けから一変して株価も、アメリカの金利も、そして日本の金利も足踏み状態ですね。
特に長期金利については、ハッキリと下落基調になっています。足元では0.580%まで下がってきました。先月のこの時期より約0.035%下落したことになります。
そしてついに0.5%台に再突入している、というわけですね。もちろん歴史的な低水準にあるのは間違いありません。少なくとも住宅ローン金利の面では、引き続き住宅市場に空前の追い風が吹いていることになります。
[2014年3月の住宅ローン金利]
すでにご案内しているように、3月の住宅ローン金利は2月の金利から「概ね少し引き下げ」となっています。
今までの住宅ローン金利の推移を振り返ると、昨年9月から11月まで3ヶ月連続で続いていた住宅ローン金利低下が12月は小休止し、1月はついに上昇に転じたわけですが、2月は低下の兆しが出始め、今月=3月にはついに下がり始めたということですね。
ありがたいことです。住宅ローン市場はますます盛り上がりそうですね。
>>>今月の住宅ローン金利比較はこちら
ここで具体的な金利をチェックしていくと、フラット住宅ローンについては、主力のフラット35の金利は2月と比較して−0.05%、そしてそれより期間の短いフラット20の金利も−0.05%と、くしくも同じ幅で低下しています。
>>>最新のフラット35の金利はこちら(楽天銀行)
つぎに民間の住宅ローンをチェックすると、いつものように当サイトで人気の住信SBIネット銀行と、日本最大のメガバンクである三菱UFJ銀行の、2月と3月の住宅ローン金利の推移はこのようになっています。
◆住信SBIネット銀行(Mr.住宅ローン)
・変動金利 : 0.650% → 0.650% (変わらず)
・10年固定 : 1.270% → 1.200% (−0.070%)
・20年固定 : 2.150% → 2.080% (−0.070%)
・30年固定 : 2.300% → 2.230% (−0.070%)
>>>最新の金利はこちら
◆三菱UFJ銀行(保証料を加えた実質金利)
・変動金利 : 1.275% → 1.275% (変わらず)
・10年固定 : 1.650% → 1.550% (−0.100%)
・20年固定 : 3.700% → 3.650% (−0.050%)
・30年固定 : 2.550% → 2.450% (−0.100%)
>>>最新の金利はこちら
どちらもやはり金利を引き下げてきていますね。金利の引下げ幅は−0.050%〜−0.100%となっています。
中でも注目なのはもちろん住信SBIネット銀行です。住信SBIネット銀行は新しい商品である「Mr.住宅ローン」の提供を昨年11月から開始しました。住宅ローン金利が低いだけでなく、従来の全疾病保障無料にプラスして、傷害補償や地震補償も無料で付加されます。
そうした「大盤振る舞い」のサービス内容でありながら、変動金利を0.650%と極めて低水準に維持しています。
ちなみにこうした変動金利タイプのベースとなっているのは、「1日もの金利」などの超・短期の市場金利ですが、すでにゼロ金利となっている短期金利がさらに低下しているわけはありませんので、こうした住宅ローンを従来の金利から引き下げて新発売するというのは完全に「戦略的なもの」ではないかと思います。
つまり自社の利益を削って金利を引き下げた、ということではないでしょうか?需要期に入り、さらに積極的になっているということではないかと思いますが、ありがたいことです。
さて当サイトで一番人気の新生銀行の3月の住宅ローン金利はと言うと以下の通りです。
◆新生銀行
・変動金利 : 0.980% → 0.980%
・10年固定 : 1.650% → 1.650%
・20年固定 : 2.100% → 2.100%
・30年固定 : 2.600% → 2.600%
>>>最新の金利はこちら
こちらはいずれの金利も据え置きということですが、加えて、ほぼ恒例となりつつある、条件を満たせば金利が0.1%引きとなるキャンペーンを実施中です。それを加味すれば実質金利はこのようになります。
・変動金利 : 0.980% → 0.880% (−0.10%)
・10年固定 : 1.650% → 1.550% (−0.10%)
新生銀行の住宅ローンは、ただでさえ実質コストが低いわけですが、このキャンペーンによってさらに実質コストが低下する、ということですね。この機会にこちらも比較・検討されてはいかがでしょうか。
>>>新生銀行の金利優遇キャンペーン詳細はこちらから
なお、新生銀行は、万が一の時の保障や返済停止機能を組み合わせた「安心パック」を付加するなど、金利競争以外のサービス拡充にも注力しています。住宅ローンの金利や手数料だけでなく、そうした付加価値についても目を向けてみると、また違った住宅ローン選びができるかもしれませんね。
[2014年4月以降の住宅ローン金利の動向]
気になる今後の住宅ローン金利の動向ですが、上記の通り、長期金利は年明けから下落傾向がハッキリしていることに加え、日本の株価もそうですが、世界の株式相場が新興国経済への懸念やアメリカの弱い経済指標の影響を受けて軟調に推移しており、当面は市場金利も住宅ローン金利もさらに低下していくのは間違いなさそうです。
年が変わって金利環境が一変したわけですね・・・。
さらに足元ではウクライナ問題が急浮上してきました。ウクライナの政変に対抗するためにロシア軍がクリミア半島を実効支配してしまったのですね。クリミア半島の住民からすれば歓迎すべき部分があるのかもしれませんが、独立国家であるウクライナに対する侵略・侵攻ですし、国際法違反でもあります。
仮に武力衝突でも起これば世界経済のみならず世界秩序に大きな打撃となります。もちろんこうしたリスクは円高・国債高につながっていきますので(日本円も国債も安全資産だからです)、結果的に株安・金利安が予想されます。
地政学リスクによる金利安というのはあまり気分がいいものではありませんし、実際のところ大規模な武力衝突が起こる可能性は低そうですが、当面は金利低下圧力が続きそうだということですね。
ただし中長期的に見れば、より金利に強い影響を与えそうなのが、「国内景気の回復」と「アメリカ金利の上昇」です。どちらもアメリカの金融緩和縮小という金融政策の方針転換を背景にしており、短期的にはともかくとして、息長く継続する可能性が高いです。
そうした金利上昇パワーの一方で、現在実施中の「異次元の金融緩和」に加え、消費税増税後の景気低下を避けるため、日銀がさらなる追加金融緩和を実施する可能性が高く、金利低下パワーもかなり強力です。
と言うことは、同じことが言えば2013年に引き続き、2014年も一年を通せば金利が上がったり下がったりを繰り返す可能性が高い、ということです。
では気になるその金利上限はどういったレベルか、ということですが、長期金利で言うと、1つの目安が昨年5月末の最高値である0.90%前後という水準です。
先日の日経新聞で掲載されていた、市場関係者へのアンケートに基づく今年の金利上限は「平均0.925%」となっており、やはり昨年来高値の0.90%前後という水準が強く意識されていることが分かります。
今の長期金利の金利水準からすれば+0.3%前後ということですが、びっくりするほどの金利上昇かといわれればそうではありません。実際、長期金利がピークをつけた昨年の5月や6月の住宅ローン金利がとても高かったかと言われると決してそんなことはありませんでしたしね。
やはり、「異次元の金融緩和」が実施されている間は、多少、市場金利が上昇したとしても、絶対水準的には歴史的な低水準を維持し、住宅ローン金利も魅力的な金利水準を維持していくのは間違いないと思います。多少の金利変動に一喜一憂せず、冷静にご検討いただければと思います。
ちなみに。
将来的な金利上昇の可能性を考えると、カギとなるのは物価です。政府や日銀は、物価上昇=インフレの状態にするためにあらゆる金融政策を取っているわけですが、景気回復と相まっていよいよ本当にインフレになってくれば、頼みの綱である「異次元の金融緩和」も縮小に向かいますので、実需と金融政策の両面から金利上昇圧力になってきます。
足元の物価は若干プラスになった程度ですので本格的な金利上昇にはまだまだ力不足ですし、このプラスも結局のところ円安に伴うもので、個人的には少子化が続く日本で本当にインフレとなるのか、疑問を感じなくもないですが、中長期的なインフレ=金利上昇の可能性については頭に入れておきたいところです。
ここでいつものように長期金利の2000年からの推移を振り返ってみたいと思います。
■長期金利グラフ(グラフ期間:10年)
前回の景気回復が始まった2003年には、長期金利は0.435%の最低金利をつけた後に急速に上昇し、1.5%前後にまで、実に1%近く上がったことが分かります。
仮に今後、景気回復が順調に進むのであれば、金利についても同じ様に+1.0%程度上昇する可能性がある、ということを示唆しております。
今のところ、慌てたり、焦ったりする必要は全くありませんし、逆に低金利が常態化した日本では「金利が上昇したとしてもその程度」とも言えるわけですが、とは言いつつ、住宅ローン金利が低いのに越したことはありません。
住宅ローンをご検討の方は繰り返しになりますが、そうした将来的な金利上昇リスクを頭の「片隅の片隅」に入れて、相対的に金利が低い間に着実にご検討を進めていただければと思います。
その点では引き続き魅力的な金利水準を維持した今月=3月というのは、やはり住宅ローンを検討するのにベストなタイミングが続いていると言えそうですね。
[今月の住宅ローン金利レンジ]
最後に、今月の具体的な住宅ローン金利のレンジをチェックするとこのようになっています。
■2014年3月の住宅ローン金利状況(実質金利)
・変動金利 :0.650%〜2.675%
・10年固定:1.20%〜4.00%
・20年固定:1.92%〜3.65%
>>>今月の住宅ローン金利比較はこちら
やはりこうして見ると、今までは考えられないような、極めて魅力的な金利水準ですね!
繰り返しになりますが、長期金利も住宅ローン金利も引き続き「史上最低水準」であるのは間違いありません。多少の金利変動に一喜一憂せず、着実に超低金利のメリットを享受いただければと思います。
参考になさってください。