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<編集部からのコメント>
3月末は消費税の増税前ということで相応の駆け込み需要があったようですね。
新築マンションや注文住宅の実質的な締め切りは2013年9月末でしたし、中古物件には基本的には消費税はかかりません。そうした点を考えれば3月末で実際に駆け込めたのは完成済みの新築マンションや建売・分譲住宅のみで、駆け込みの「実需」はそれほど多くなかったのだと思いますが、それなりに駆け込み需要が発生したということであれば、心理的な効果の方が大きかったのでしょうね。
あるいは販売会社の方でも、「本当はもう8%対象の取引なのですが、せっかくですし3%分は値引きさせていただきます」といったセールストークが展開されたかもしれません。
人気物件ならまだしも在庫物件であればほうっておいても値引きしなくてはいけなくなりますし、4月以降に「反動減」で売り上げが落ち込むならなおさらですね。そのような人為的な需要が売り上げを押し上げた可能性はゼロではなさそうです。
ただ山高ければ谷深し、なわけで駆け込み需要で盛り上がった分だけ、増税後は売り上げが落ち込むことになります。増税をキッカケに潜在需要が顕在化し、パイそのものが膨らむ部分は多少はあるでしょうけれど、全体に影響を与えるほどではないと思います。
「増税前がオトクだから」と思っても、一般的には家を2軒も3軒も買う余裕もなければ必要もないからですね。
だとすると一時的に増えた分だけ、確実にどこかで落ち込むことになります。住宅業界にとってはなかなか悩ましいところです。抜本的に売り上げを伸ばそうと思えば業界としては、セカンドカー、サードカーならぬセカンドハウス、サードハウスの文化を広げるしかないですね。少子高齢化が進む中で、相続の過程で自然と2軒体制、3軒体制になる世帯は少なくなさそうですが。
それはともかくとして4月以降、住宅市場が多少なりともスローダウンしているのは間違いないわけですが、上記コラムでは住宅購入について「あと1年以内がチャンスでは」と指摘しています。つまり2014年4月〜2015年3月までが「買い時」というわけですね。
記者自身は概ねこの意見に賛同する立場ですが、コラム内で指摘されている根拠を列挙するとこうなります。
・増税額より住宅ローン減税額の方が大きい場合がある。
・中長期的に見ると住宅価格や住宅ローン金利も上昇すると見込まれる。
・消費税10%になってもこれ以上の減税措置は実施されない見込み。
・増税前に駆け込み需要が起き住宅価格がさらに上昇する。
いかがでしょう?
まず最初に記者が意見を異にする部分を指摘するとすれば、「住宅ローン金利が上昇見込み」という点でしょうか。住宅ローン金利が上昇するためには、金利の足かせとなっている金融緩和を終了させる必要がありますが、金融緩和を終了させるに足るほどのインフレが起こるかどうか、というのは非常に疑問です。
確かに足元では物価は上昇傾向にありますが、それも円安や増税の影響が指摘されており、仮に円高となったり、増税に伴う価格転嫁が概ね終了すれば、再度デフレ状態に戻る可能性は十分あります。
加えて、インフレ傾向が定着したかどうか見極めるためにはそれなりの期間、物価を観察する必要があると思いますが、そうこうしている間に次の金融・経済危機がなんらかのキッカケにより起こる可能性もまた十分ありますね。リーマンショックからもう6年近くが経ちます。仮に景気がさらに悪くなれば当然、金融緩和を終了させることはできなくなりますので、今の低金利が長期化することになります。
ただし意見が異なるのはそれくらいで、他の部分は記者も概ね同じ意見です。
あえて付け加えるとすれば2点ありまして、1つ目は「すまい給付金の創設」です。 すまい給付金とは住宅を購入した際に支給される補助金ですが、その枠組みはこういうことですね。
>>>新しい「住宅ローン減税+給付金」の枠組みが固まる
年収によって、2014年4月から2015年9月までは10万円から30万円が支給されます。また消費税が10%になる2015年10月から2017年12月までは10万円から50万円が支給される、というものです。
上記コラムでは、 4,000万円の住宅を購入した場合に2014年4月以降の増税額は約60万円である一方で、減税額は約157万円であり、増税後に購入した方が差し引き約97万円もトクだと指摘しているわけですが、仮に年収が510万円以下であればそこにこの「すまい給付金」も加わりますので、オトク度はさらに高まることになります。
実際、何度もご紹介しているように、消費税増税前より増税後に購入した方がトクだ、とする試算も発表されていますね。
>>>「住宅ローン減税+すまい給付金」vs「消費税増税」 どっちが得?
つまり、この「すまい給付金」のおかげで増税後の住宅購入の方がオトクになるケースが大きく増加した、ということです。
付け加えたい2つ目は、「買い時期間はもう少し短いのでは」という点です。上記の通り今回の8%増税時には、契約から引渡しまで時間がかかるマンションや注文住宅については、実質的な締め切りが2013年9月末と本当の増税のタイミングから半年前に設定されたのですね。
そして次回も同じような措置が行われるのであれば、2015年9月末の半年前、つまり2015年3月末に10%増税前の駆け込み需要のピークを迎えることになります。
3月末といえば引越しシーズンや決算期末とも重なり、ただでさえ住宅市場が盛り上がるわけですが、そこに駆け込み需要が重なれば市場が大規模に過熱する可能性は高そうです。もちろんそれは消費者からすれば高くてマズイものを買わされる可能性が高まることを意味します。
やはり・・・もし「買い時」を明記するとすれば、2014年4月から2014年12月までなど、終わりをもっと前倒しにしないとダメそうです。
いずれにしても、5%→8%への増税時にはさまざまな緩和措置により「増税後の方がオトク」というウソみたいな本当の話が起きえたわけですが、今度の8%→10%の増税時には間違いなく「8%の方がオトク」です。
とするとこれまで以上の駆け込み需要が起こる可能性がありますので、十分ご注意いただければと思います。
参考になさってください。