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今後の住宅ローン金利を断言できる銀行員の考え方とは?

このページでは、住宅ローンに関する各種ニュースや情報をご紹介します。今回取り上げるニュースはこちら。
2014年5月15日

マイナビニュース

住宅ローン金利動向を断言できた銀行員さんと成功する情報のとらえ方




※抜粋

<編集部からのコメント>

これから住宅ローンを借りる方にとっても、すでに住宅ローンを借りている方にとっても最大の関心事はやはり、今後の住宅ローン金利の動向ではないでしょうか?

全期間固定金利を選べば今後の金利動向に影響されることはなくなりますが、そうした固定金利は他の変動金利タイプや当初固定金利タイプと比較して金利水準がかなり高いため、あくまで少数派ですね。

大多数のみなさんは一定の金利リスクを許容した上で低金利メリットを享受しているのではないかと思います。投資に関してはリスクとリターンが相関していることは有名ですが、住宅ローン金利に関してもそれは言えるのかもしれませんね。つまり、金利変動リスクが高ければ高いほど低金利リターンが増えていく、ということです。

結果として、これから住宅ローンを借りる人だけでなく、すでに借りている方も住宅ローンの金利動向に一定の注意を払う必要があるということですね。

また、これから住宅ローンを借りる人の中でも特に新築マンションを購入される方は、申し込んでから実際に住宅ローンを借りるまでに相応のインターバルがあるのが通例ですので、余計に今後の金利動向に敏感なのではないかと思います。

「将来の金利が正確にわかればいいのに・・・」とついつい感じてしまう方も少なくないかもしれません。

では将来の住宅ローン金利を正確に予測できる人はいるのでしょうか?

結論から言えばそんな人はいません。金利を決める要因としては私見ですが主にこういったものではないかと思います。

1.景気 : 景気がよくなれば金利上昇
2.金融政策 : 金融緩和が実施されれば金利低下
3.国の信用力 : 国家財政への懸念が高まれば金利上昇

たとえば1年後に景気が良いのか悪いのか正確に予測できる人などいませんよね?経済危機はいつも突然やってきます。「突然」ということは要するに誰も予想できない、ということです。

もちろん金融政策も国の信用力についても、景気ほど突然風向きが変わることはないにせよ、将来の動きについて正確に予測することはできません。

とすると、現実的には

・歴史的な金利動向や現在の金利環境から最も確率が高そうな金利シナリオを想定しつつ、外れた場合にも困らないよう対策を立てておく

というのが堅実な「住宅ローン戦略」ではないかと思います。

ところが。

上記引用させていただいたコラムでは「住宅ローン金利動向を断言できた銀行員さん」の話が紹介されております。 2年前のセミナーで「2012年、これから金利は上がらない。」と断言された、とのことですね。

結果としては概ね当たっていたわけですが、気になるのはその論拠・根拠です。景気動向でしょうか?金融政策でしょうか?コラムの続きを読むとその銀行員さんの回答は

「毎日毎日、銀行員としての仕事をしていて、肌で感じていたのです。銀行で使われていた言葉、連絡事項、指示系統など。圧倒的に金利を下げるための圧力が多かった。金利を上げる圧力はなかった。」

とのことだったようです。

・・・はい?

ナンデスカ、「肌で感じていた」って・・・(苦笑)。

いや、百歩譲って金利動向を肌で感じることがあるかもしれませんが、それは主にマーケットの情報などから感じるものであって、「銀行で使われていた言葉」、「連絡事項」、「指示系統」などから読み取るものではないですよね。

さらによく分からないのが「金利を下げるための圧力が多かった」、「金利を上げる圧力はなかった」というくだりです。

ナンデスカ、「金利を下げる・上げる圧力」って・・・。

銀行にとって金利とは株価と同様に、ほぼ完全にgivenなものであり、金融政策の影響を受けるとしても基本的にはマーケットで自律的に決まっていくものであって、自社がコントロールできる余地は全くありません。

この銀行員の方が日銀の方、ということであればまだそうした主体的な考え方も許されるのかもしれませんが、「銀行融資セミナー」で発言しているところを見れば、そんなわけはありませんね。そもそも日銀の職員であれば絶対にそうした将来の金利動向についてコメントしないでしょうし。

もしかすると、市場金利とは別のところで、銀行の利ざやを拡大させ貸し出し金利を引き上げろ、という圧力であればあるのかもしれませんが、だとすればあるのは「金利を上げる圧力」のみで「金利を下げる圧力」などあるはずもありません。わざわざ自行の利ざやを縮小せよ、という命令を出す本部などあるわけないですからね。

というわけでタイトルから期待されていた読者の方には、ここまで引っ張ってしまって申し訳ないですが、今回は完全な「釣り」でございました・・・スミマセン。

ということで、念のため上記でご案内した

・歴史的な金利動向や現在の金利環境から最も確率が高そうな金利シナリオを想定しつつ、外れた場合にも困らないよう対策を立てておく

という考え方をもう少し掘り下げておくと、歴史的な金利動向というのは、80年代末のバブル崩壊以降、日本の金利はずっと低下し続けているという点で、それはアベノミクス以降も揺るぎはありません。

また現在の金利環境を見渡せば、異次元の金融緩和が実施されている上に、さらなる追加緩和の実施も噂されており、金利が上昇する余地はほとんどありません。

つまりその「銀行員氏」ではないですが、記者ももしセミナーで発言する機会があれば「金利はこれから当面上がらない」と述べると思います。

では外れる場合=金利が上昇する場合というのはどういうケースかということですが、2%を超えるような金利上昇が起こるとすれば・・・やはり国の信用力が低下する時なのでしょうね。

つまりギリシャ危機のような場合です。

ただそうした場合は悪性のインフレになっているでしょうから、家の値段が上がる一方、住宅ローンの金額は変わらないわけで、乱暴に言えば債務者に有利に働く可能性が高そうです。

とは言いつつ、より堅実な「金利上昇対策」としては、なるべく固定金利で借りる・・・のではなく、変動金利タイプなどを積極的に活用して支払い利息を低くし、今の超・低金利が続いている間に積極的に繰り上げ返済を進めていく、ということでしょうね。

元本が減れば減るほど金利上昇リスクは少なくなるわけですからね。

この考え方はそれほど間違っていないと思います・・・参考になさってください。



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