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<編集部からのコメント>
これまでなぜかあまりご縁がなく取り上げてこなかった総務省の家計調査ですが、内容が結構充実していることに加え、他にはない調査結果も含まれていますので、今回はしっかり取り上げてみたいと思います。
この家計調査の住宅ローン関連の項目を見てみると、まず目に付くのが「勤労者世帯の持ち家率」と「勤労者世帯にしめる住宅ローン借り入れ世帯の割合」です。
前者については賃貸派が増えているという話も聞きますし、後者についてはこれまで不動産業界を引っ張ってきた団塊ジュニアが40歳を越え、そろそろマイホーム需要が一段落してもおかしくありません。
つまりはどちらも横ばいか、多少下がっていても驚かないわけですが、実際の推移はこのようになっています。
つまり・・・「持ち家率」も「住宅ローン借り入れ率」もどちらも右肩上がりで上昇しているのですね!特に2012年と2013年に大きく伸びたことになります。
具体的には勤労者世帯(2人以上)の中の持ち家率は約77%ということで、8割近い世帯が「持ち家」ということですね。残りの2割についても、これからマイホームを購入しようとする若い世帯が多く含まれているとすれば、100%とまではいわないまでも実質的には持ち家率は9割を超えてくるのでしょうね。
日本の「持ち家信仰」は健在どころか、さらに強化されている、ということになります。
記者自身は主体的に「賃貸派」を選ぶ方々の、その合理的な判断に多少のシンパシーを感じてしまうわけですが、あくまでそうした方々は少数派−それもかなりの少数派ということですね。
都心部以外ではそもそも、賃貸はあまり現実的ではない、という状況があるのかもしれませんが。
そうした持ち家率の上昇を背景に住宅ローンを借りている世帯も増加傾向にあり、2013年における住宅ローン返済世帯の割合は39.6%と4割達成まであと少し、という水準まで上昇しています。
5世帯中2世帯が住宅ローンを借りているわけですから、30代〜40代の「マイホーム適齢期」の世帯ではほとんどの家で住宅ローンを借りている、ということになりそうですね。日本ではお金の話は基本的にタブーなわけですが、腹を割って話せば住宅ローンに関する話題で盛り上がるケースもありそうです。
ちなみに原文を読むと、この「39.6%」という割合は、1979年に集計を開始して以来最高とのことですね!金融機関の間で住宅ローン競争が過熱するのも当然と言えるのかもしれません。
このように持ち家率や住宅ローン利用率が伸びた背景には、住宅ローン金利の低下に加え、住宅ローン減税縮小や消費税増税に対する駆け込み需要がかなりあったものと推測されます。
特に2013年の上昇には駆け込み需要が相当影響しているのではないかと思います。
裏返せば、ここからその「反動」が来る可能性は十分ありますね。山高ければ谷深し、ということです。果たしてどうなるのでしょうか・・・。
話を先に進めて、この総務省の調査結果からはもう1つ興味深いデータがあります。それは何かというと、「可処分所得の中の住宅ローン返済額の割合」ですね。
可処分所得≒手取り収入が月平均48万5,331円なのに対して、住宅ローンの返済額は月99,867円ということですね!10万円をほんの少し下回っているところがなかなかリアリティがありますが、つまりは住宅ローン返済額は手取り収入の20.6%。つまり約2割ということになります。
これなら多少収入が減っても十分やりくりしていくことはできそうです。当然といえば当然ですが、なかなか堅実と言えるのではないでしょうか。
逆にこれより住宅ローン返済の負担が大きい人や、そのような返済計画を検討されている方は十分ご注意ください。
10年前と比較すれば、毎月の住宅ローン返済額がほとんど変わらない一方で、可処分所得は2万5千円減少しているわけで、ここまでの不景気を実感してしまいますが、ただこれには単に給与の低下傾向だけでなく、持ち家率の上昇に伴い、相対的に低所得の方も住宅ローンを利用するようになったと考えれば、前向きに捉えることもできそうです。
いずれにしても繰り返しになりますが、全体的に見れば皆さん、堅実な返済計画のもとに住宅ローンを利用しており、こうした実態を参考にしていただければと思います。
ちなみに可処分所得≒手取り収入が月平均48万5,331円とご案内しましたが、「額面」では月平均60万1,951円ということのようです。つまり年収ベースにすれば700万円を越えてくるわけで、「ややゆとりのある家計」が平均値となっている点はお含みおきください。
その収入の内訳ですが、こういうことのようですね。
・世帯主 : 月48万4,941円(額面)
・配偶者 : 月 7万7,419円(額面)
・その他 : 月 2万8,972円(額面)
つまり世帯主だけでなく、配偶者の方も家計収入に対して一定の貢献をしている、ということですね。
こうした点も参考になさってください。