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<編集部からのコメント>
アベノミクスによる景気回復に伴い、株価やインフレ率が上昇するといった変化が起きていますが、それに加えて住宅ローン利用者にとって他人事ではないのが不動産価格の上昇傾向です。
増税前の駆け込み需要も終了し、4月以降、不動産価格も多少落ち着くかなと思いましたが、今のところそうした気配はないですね。
不動産価格はもちろん、土地と建物の代金に分解されるわけですが、インフレになるということは「モノの値段が上昇する」ということですので、どちらの価格も上昇圧力を受けることになります。
加えて建物の方はよく言われるように、震災復興によってそもそも人手不足の上に景気回復が重なり、人件費も上昇傾向にあるわけですね。そうした状況を踏まえれば不動産価格が上昇するのも当然と言えるかもしれません。
さてそれに関連して先日、当サイトで定点的にチェックしている、国土交通省の2014年第1四半期=1月〜3月の主要都市地価動向報告「地価LOOKレポート」が発表となりましたのでその内容をチェックしたいと思います。
毎回ご案内しているように、この調査では対象地区が
・東京圏65地区
・大阪圏39地区
・名古屋圏14地区
・地方中心都市等32地区
と全国にバランスよく配分されているのが特徴です。そのため3大都市圏のみならず、全国の動向が把握できることに加え、「1年に1回」が多い他の地価調査と違って、3ヶ月に1回なので概ねリアルタイムで地価の状況をつかめるのが利点です。
その調査結果ですが、前回=2月発表の結果からの推移はこのようになっています。
・上昇地区 : 122地区 → 119地区
・横ばい地区 : 22地区 → 27地区
・下落地区 : 6地区 → 4地区
引き続き、全体=150地区のうち、ほとんどの地区で上昇している状況にあります。119÷150ですから・・・79%のエリアで上昇しているわけですね!
ただ一方で、前回調査と比較すれば上昇地区が3地区減っており、これはなかなか興味深い動きです。
では下落地区が減っているかと言えばそんなことはなく、こちらは6地区から4地区に順調に減少しています。
こうした動きをどう解釈するかは人それぞれでしょうし、変動数は少なく「誤差の範囲」で片付けてもよいと思いますが、あえて意味付けするとすれば
「全体的に上昇傾向が続くなか、上昇が飽和状態になる地区が出始めた」
と言った感じになるのでしょうか。つまり地価上昇の「終わりの始まり」が始まった、という考え方ですね。
しかし繰り返しになりますが、全体的にはまだまだ上昇地区が圧倒的に多い上に下落地区も減少しています。今回の「上昇地区の減少」が何を意味するのかはもう少し推移を見守ってから判断した方が良さそうです。
次に個別の地区をチェックしたいと思いますが、根強く残る下落地点は具体的に、このようになっています。
<商業地区>
・千葉市中央区千葉駅前
・長野市長野駅前
・高松市丸亀町周辺
<住宅地区>
・千葉市千葉港
地方エリアかと連想しがちですが、実際にはそのうち2地区は千葉市ですね。利便性も悪くなさそうですが、なぜでしょう・・・。
一方で今回、「上昇から横ばいに低下した地区」をチェックしてみるとこうなります。
<商業地区>
・さいたま市浦和駅周辺
・豊島区池袋西口
<住宅地区>
・さいたま市新都心
・横浜市都筑区センター南
・草津市南草津駅周辺
・京都市桂
差分は3地区ですが、実際に書き出すと6地区となりますね。つまり別の3地区が「横ばいから上昇になった」ということです。
そう考えると地価の動向は細かいところで変遷があり、今回、上昇地区が減ったのも「たまたま」というのが正しいのかもしれませんね。実際、上記6地区はこれまたいずれも概ね利便性の高い立地であり、地価が落ち着く要因はあまり見当たりません。
いずれにしても全体的に見れば引き続き上昇傾向にあるのは間違いなく、4月の増税後に多少不動産価格が低下するかも、と思われていた方には「当てが外れた」形ですね。記者も正直、多少下がってもおかしくないと思っていましたが・・・。
もちろん上昇するといっても年数%という穏やかなペースであり、慌てて住宅購入する必要は全くありませんが、これからマイホームの購入計画を立てようとされる方はそうした地価の上昇傾向を織り込んだ上で、慎重なプランニングをお勧めしたいと思います。
ちなみにこうした地価の動向が消費者にどのような影響を与えているかというと、アトラクターズ・ラボ社が4月3日から9日の間に実施した「マンション購入検討者の定例意識調査」ではこのような結果となったようです。
現在のマンション価格についてこのような結果となった、ということですね。
・どちらでもない 46.3%
・購入をためらうほど高い 39.8%
・購入をあきらめるほど高い 9.3%
・購入を後押しするほど安い 4.6%
つまりは「高い」と感じている方が全体の半分近くおられる、ということです。前回=2014年1月の調査では約35%だったわけですから、今回大きく上昇したことが分かりますね。
ただ4年間の調査期間を通じて「高い」と回答されている方が概ね3割程度おられることを踏まえると、「相対的に今が高い」という趣旨の回答だけでなく「そもそも高い」という趣旨の回答も含まれていると考えられ、その点は割り引いておく必要がありそうです。
また1月から4月にかけて、物件価格が大きくジャンプアップしたということはありませんので、やはり消費税増税の心理的な影響がかなり反映されているのは間違いなさそうです。そうした影響を推測する上でも、次回以降の調査結果に注目ですね。
ちなみに、下記の通り1年後のマンション価格については8割近い方が上昇すると回答しており、消費者の不動産価格上昇期待(=懸念)はかなり強いことが分かります。
だとすると・・・いくら今の不動産価格が高いと感じても、消費者の購入意欲がそう簡単に冷めることはなさそうですね。
この調査はあくまでマンション価格に対するものですが、おそらく戸建てであっても意識はそれほど変わらないと思います。
住宅購入者にとって、このように地価や不動産価格が上昇する局面というのはメリットもデメリットもあるわけですが・・・やはり上昇するにしても緩やかな上昇を期待したいものですね。なかなかそう期待通りに動いていくれないのが相場というものですが・・・。
せめて住宅ローン金利についてはもうしばらく低位安定が続くことを祈りたいと思います。
参考になさってください。