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<編集部からのコメント>
当サイト開設からこれまでさまざまな記事をご提供してきましたが、一度も更新の機会がなかったのがこちらの記事です。チャンスがあれば更新したいと思いつつ、意外にこうした「住宅ローンはいくらまで借りてもよいのか?」という疑問に真正面から答えるネタがなく、そのままとなっておりました。
>>>年収の何倍まで借りられるの?住宅ローン借入限度額について
もちろん記者がそうしたネタを見落とし続けてきた可能性は大いにありますが、いくつかの金融機関では住宅ローン利用可能額のシミュレーションを提供していますので、それを利用すれば事足りるという利用者側の事情もあるのかもしれません。
加えて、「住宅ローンを最後までキッチリ返済できないと困る」という点では住宅ローン利用者も銀行も利害が一致しており、銀行のアドバイスもしくは審査基準に従えば、現実的な借入額に収斂する、という考え方もありそうです。
ただし「銀行が貸してくれる金額」=「余裕を持って返済できる金額」というわけでは当然ありません。
また、そもそもこれから住宅ローンの検討を始める方には住宅ローン審査に踏み出す前に一定の目安が必要となってきます。
そんなわけで、数年ぶりにこの「住宅ローンはいくらまで借りてもよいのか?」という点を検討したいと思います。
まず検証の第1歩として冒頭ご案内したように銀行の提供するシミュレーションで試算すると、年収500万円の場合、こうなります。
・新生銀行 : 3,500万円(年収の7倍) ※シミュレーションはこちらから
・三菱UFJ銀行 : 4,000万円(年収の8倍) ※シミュレーションはこちらから
新生銀行の場合、年収の7倍、三菱UFJ銀行の場合、年収8倍ということですね。もちろんこのまま審査に通るわけではありませんが、一般的には6倍前後といわれている点からすれば、かなり多めに設定されているのは間違いなさそうですね。
では専門家はどう指摘しているのでしょうか?
まず上記引用したコラムでは借り入れ可能額は「住宅ローンの年間返済額が総収入に対して35%〜40%以内」ということで、具体的にはこういった金額になるということですね。
・専門家試算 : 3,200万円〜3,700万円(年収の6.4倍〜7.4倍)
「8倍」よりはかなり現実味があるものの、やはり年収に比べれば「多め」であるのは間違いありません。
それもそのはずで、これはあくまで「借り入れ可能額」であり、「最大限、借りるなら」ということですから、適正水準からは相当上ブレているはずです。実際、こちらのコラムを読み進めてみると「年収に対する返済比率は2〜2.5%の固定金利で20〜25%程度で抑えるのが望ましい」となっています。
これを年収500万円で「翻訳」するとこういうことですね。
・専門家アドバイス1 : 2,237万円〜3,018万円(年収の4.5倍〜6倍)
金利を2%にするのか2.5%にするのか、返済比率を20%にするのか25%にするのかで800万円近い差が出るのはご愛嬌ですが、真ん中は「年収の5.3倍」ということでかなり堅い数字となるわけですね。
いずれにしても8倍/4,000万円というのは幻想であるのは間違いなさそうです・・・。
ちなみにこの試算のポイントとしては、金利を実際に借りる水準ではなく2〜2.5%という比較的堅い水準で計算する点ですね。もちろん実際に借りる金利水準はもっと低いと思いますが、こうしておけば多少、金利が上昇しても大丈夫、ということになります。
では冒頭ご案内したように当サイトの過去記事ではどうなっていたかと言うとこういうことですね。
・専門家アドバイス2 : 1,884万円(年収の3.8倍)
激減しますね・・・。こちらの記事でも年間返済額を収入の25%に設定しているわけですが、収入を額面ではなく、「手取り」としているのがミソです。
ご存知のとおり、いくら額面が多くても税金や社会保障費などが天引きされて手取り収入は概ね7〜8割となります。こちらの金額を利用すれば、借入額が激減するのは当然です。
「正解」があるようなものではありませんが、年収の3.8倍というのはさすがに安全すぎる一方で、年収の8倍はありえないとすれば、やはり「年収の5〜6倍」といった水準が現実的なのかもしれませんね。
つまりは返済比率=住宅ローン総返済負担率が「20〜25%」という水準ということになります。
では最後に実際の返済比率=総返済負担率がどうなっているかと言うと、先日発表された2013年度の「フラット35利用者調査」によるとこうなっています。
・総返済負担率20〜25% : 26.1%
・総返済負担率25〜30% : 24.2%
・総返済負担率15〜20% : 23.8%
・総返済負担率10〜15% : 13.9%
・総返済負担率30%以上 : 7.2%
・総返済負担率10%未満 : 4.9%
ものの見事に、適正水準と言えそうな「20%以上25%未満」のレンジが最も多いという結果ですね!
加えてそのプラスマイナス5%、つまり「15%以上30%未満」のレンジに約74%の方が収まっており、やはりこの水準が「平均像」からみても程よい水準であるのは間違いなさそうです。
また、別の見方をすれば、住宅ローンの総返済負担率が30%以上という方は極めて少数であり、「少なくとも総返済負担率は30%未満が目安」とも言えそうですね。
参考になさってください。
なお、「年収の○倍」というのは計算も容易ですが、「総返済負担率」から借入額を逆算するのは素人には困難です。そうした場合に便利なのが住信SBIネット銀行のシミュレーションです。こちらは毎月の返済額と年収、金利、期間を入力すれば借入可能額が算出されますので参考にしてみてください。
>>>住信SBIネット銀行の住宅ローンシミュレーションはこちらから