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<編集部からのコメント>
さて先日のコラムでは、住宅ローンの返済負担率についてとりあげました。返済負担率とは、年収に占める住宅ローン返済額の割合ですね。
>>>住宅ローンはいくらまで借りてもOK?返済負担率について
この値は当然、低ければ低いほど堅実で、高ければ高いほど危険、ということになります。 そして具体的な水準を2013年度の「フラット35利用者調査」から引用するとこうなっておりました。
・総返済負担率20〜25% : 26.1%
・総返済負担率25〜30% : 24.2%
・総返済負担率15〜20% : 23.8%
・総返済負担率10〜15% : 13.9%
・総返済負担率30%以上 : 7.2%
・総返済負担率10%未満 : 4.9%
適正水準と言えそうな「20%以上25%未満」のレンジが最も多いという結果となったわけですね。
今回は、この2013年度「フラット35利用者調査」をもう少し深堀して、住宅ローンを借りている人の平均像を調べていきたいと思います。
ちなみに・・・全データの平均値があれば話が早いのですが、データが概ね以下5つの世帯別に分かれています。
・注文住宅
・建売住宅
・マンション
・中古戸建
・中古マンション
したがってそれぞれこの5つの属性の平均値をご案内していきたいと思います。ただこうしたデータにご興味がある方は単純平均よりも、こうして属性別に分かれているほうがむしろ有用かもしれませんね。
では具体的な数値に進みますが、まず住宅ローンの平均借入額はこのようになっています。
・マンション : 2,816万円
・建売住宅 : 2,599万円
・注文住宅 : 2,329万円
・中古マンション : 1,996万円
・中古戸建 : 1,822万円
何と!ということはありませんが、実はマンションが一番、平均借入額が大きいのですね。中古戸建てと比較すれば1,000万円近い差となっています。戸建てよりマンションの方が高級、ということはもちろんありませんが、戸建てについてはかなり価格がバラつきがあり(つまりお安い物件があるということです)、それが平均値を押し下げた面はあるのでしょうね。
いずれにせよ、借入額は概ね1,800万円〜2,800万円くらいが相場、ということになります。
次に自己資金ですがこうなっています。
・マンション : 748万円
・中古マンション : 599万円
・注文住宅 : 585万円
・建売住宅 : 577万円
・中古戸建 : 522万円
やはり借入額が多い分、(新築)マンションが段違いに自己資金が多いですね。自己資金は概ね500万円〜700万円が相場、ということになりますが、これはつまり「平均して2割程度の自己資金を用意している」ということになります。
自己資金が2割を超えるかどうかで金利が変わる場合も多いですし、それはつまり審査の通りやすさもこの「2割」というのが大きな節目となる、ということですね。ぜひ参考になさってください。
次に毎月の住宅ローン返済額ですが、このようになっています。
・マンション : 11万2千円
・建売住宅 : 9万8千円
・注文住宅 : 9万1千円
・中古マンション : 8万円
・中古戸建 : 7万2千円
こちらもやはりマンションが段違いに多いわけですが、ただ金額感としては結構・・・どれも現実感のある水準となっていますね。賃貸の場合の賃料と毎月の住宅ローン返済額は平均的には大きく変わることはなさそうです。
ただもちろんこうした金額は年収によって負担感が大きく異なってきます。そこでそれぞれの平均年収をチェックするとこうなっています。
・マンション : 850万円
・注文住宅 : 655万円
・建売住宅 : 543万円
・中古マンション : 455万円
・中古戸建 : 337万円
こちらは「世帯年収」ですので、夫婦共働きの場合は大きく上昇するわけですが、しかしマンション世帯の850万円は段違いですね!中古戸建て世帯の2倍以上の年収となっています。これまでのマンション世帯のイメージと大きく異なるように感じているのは記者だけでしょうか?
それはともかくとしてより重要なのは、この年収から逆算される住宅ローンの総返済負担率=年収に占める住宅ローン返済額の割合ですね。冒頭ご案内した通り全体的にはそのほとんどが15%〜30%に収まったわけですが、平均値はこのようになっています。
・建売住宅 : 21.9%
・マンション : 20.4%
・注文住宅 : 20.2%
・中古戸建 : 18.0%
・中古マンション : 17.6%
概ね20%という、堅実かつ現実的な水準となっていますね!またマンション世帯の場合、年収が相対的に高いこともあり20.4%と、建売住宅世帯の21.9%を下回っているのが印象的です。
ちなみにこの総返済負担率が今ひとつピンと来ない、という方も多いと思いますので、年収倍率=住宅が年収の何倍か、住宅ローンが年収の何倍かをチェックするとこうなります。
まず住宅価格はこう。
・建売住宅 : 6.3倍
・マンション : 6.2倍
・注文住宅 : 5.8倍
・中古マンション : 4.9倍
・中古戸建 : 4.8倍
概ね住宅価格は年収の5倍〜6倍になっているということですね。
そして自己資金が概ね2割用意されていますので、住宅ローンの年収倍率はこう計算されます。
・中古戸建 : 5.4倍
・中古マンション : 4.4倍
・建売住宅 : 4.0倍
・注文住宅 : 3.6倍
・マンション : 3.3倍
こうしてみると・・・世帯年収の差が大きく影響して、住宅ローンの年収倍率は3.3倍〜5.4倍とかなり開きが出ましたね!
もちろん中古戸建ての5.4倍でもそれほど多すぎるわけではなく、常識的なレベルですが、それ以外が軒並み4倍以下である点を踏まえるとやはり相対的には「借りすぎ」の面があります。
特にマンション世帯に至っては3.3倍という低水準ですからね!ぜひ参考にしていただいて、一抹の不安を覚える方はしっかり自己資金=頭金をご準備いただければと思います。
最後に平均年齢はと言うとこのようになっています。
・中古戸建 : 41.6歳
・中古マンション : 41.6歳
・注文住宅 : 41.5歳
・マンション : 41.1歳
・建売住宅 : 38.7歳
他が見事に41歳代に集中しているのに対して、建売住宅だけ唯一の30代となっています。平均年齢のイメージから言うと・・・ちょっと高めですかね?新規利用者だけでなく、借り換え利用者もそれなりにいて、平均年齢を引き上げているのかもしれません。
さてここまでフラット35利用者の平均値をまとめてきたわけですが、これらの中で特に重要なのはといえば・・・やはり5番目の「住宅ローンの総返済負担率」
と、6番目・7番目の「年収倍率」ですね。
みなさんのお考えになっている住宅ローンの資金計画がこれらの値を概ねクリアしていれば審査にも通りやすいと思われますが、大きく乖離している場合は黄色信号・赤信号ですね。
これから住宅ローンの借入・借り換えを検討されている方はぜひ事前にチェックしてみてください。