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<編集部からのコメント>
言わずと知れたことですが、日本には人口構成的に2つの大きな市場があります。1つ目はもう70歳近くになっているのですかね?終戦直後に生まれた「団塊の世代」です。
そして2つ目がその団塊世代の子供たちである「団塊ジュニア世代」ですね。こちらはアラフォーというより「40過ぎ」となってきました。つまり30代の団塊ジュニアはいなくなってきたわけですね。
団塊ジュニアより下は少子化が進み、年齢別の人口がどんどん減っていきますから、こうした「ボリュームゾーン」は当面(おそらく永遠に)、生まれてこないことになります。
翻ってマイホームを購入する「適齢期」は一般的なイメージは、結婚して2人目の子供が生まれたり成長していく中で、学区が固定され、家が手狭になってきたとき、というものです。年齢でいえば30代が中心ですね。つまり2000年代以降のマンションブームや土地のミニバブルは、この2つ目の「団塊ジュニア世代」がマイホーム適齢期に入ってきたことも要因として大きいのではないかと思います。
逆に言うと、その頼みの綱である「団塊ジュニア世代」が40代に上がったということはそうしたファミリー需要が今後、大きく減少していくことを意味しますね。住宅業界にとってみれば頭の痛い問題と言えるのかもしれません。
もちろん、それでも住宅需要が消えることは永遠にありませんし、団塊世代がいよいよ介護段階に入ってくれば利便性の高い都心回帰の動きが生まれてくると思われます。また、団塊ジュニアにも「住み替えニーズ」が出てくるでしょうから、商売のネタも別の形で出てくるのでしょうけれど、いずれにせよそうした人口動態の変化がこれから顕著になってくると思いますので注目ですね。
そうした「高齢化」の動きはすでに住宅ローン分野にも表れてきているようで、先日発表された住宅金融支援機構による、2014年度上半期の「フラット35利用者調査」結果では、利用者の年齢についてこのようになっています。
ここ数年で順調に上昇し、ついに2013年の下半期から平均値が40歳を超えているのですね!足元では40.4歳ということになっています。
こうした年齢上昇傾向はグラフを見てわかるとおり、かなりクリアに出ていますので、団塊ジュニア世代の住宅ローンニーズが縮小するまでは上昇を続ける、ということなのでしょう。
しかしそのように住宅ローン利用者の平均年齢が上昇しているということは・・・今までなんとなく住宅ローン=35年といったイメージがありましたが、これからは期間25年あたりがボリュームゾーンになってくるということでしょう。40歳で35年ローンを組むと完済時期が75歳となりますからね!全く現実的ではありません。
フラット住宅ローンも最長35年のフラット35と、最長20年のフラット20が用意されていますが、今後は後者の販売シェアが増えていくことになりそうです。
加えて、そもそもそのように返済期間が短くなっていけば、フラット住宅ローンのような「全期間固定金利」のニーズも縮小していくでしょうね。返済期間が短くなれば相対的に金利上昇リスクも減っていきますので、より金利の低い変動金利タイプの人気が高まるのではないかと思います。
いずれにしても40代でこれから住宅ローンを利用しようとされている方は、気後れすることなく、堂々と金利交渉・条件交渉に臨んでいただければと思います。
ちなみに上記グラフで気になるのはその住宅ローン利用者の平均年齢が、リーマンショック後の2009年から2010年まで大きく低下している点ですね。はっきりと「上がって下がって上がって」という動きが見て取れますので何か明確な理由があったのだと思いますが、全く思いつきません。
リーマンショックは30代以下よりも40代以上のフトコロを直撃したということでしょうか?だとすると上記のような人口動態以外にも「好景気には住宅ローン利用者の平均年齢が上昇し、不景気には平均年齢が低下する」というバイオリズムがあるのかもしれませんね。確証は全くありませんが・・・。
さてそうした年齢以外で、参考になりそうな調査結果をピックアップしてみると、まず平均家族数はこのようになっています。
平均値は「3人ちょっと」ということで、「2人目の子供が生まれてから」というよりも「1人目の子供と2人目の子供の間」というのが多いのかもしれませんね。実際にシェアで見れば僅差ですが「3人」が最も多くなっています。
次に気になる世帯年収ですがこのようになっています。
こちらは興味深いことに足元では591万円と初めて500万円台に低下したことが分かります。相対的に低い年収の方でも住宅ローンを組めるようになっているということであれば、歓迎すべきことだと思いますが、ただ上記の通り、住宅ローン利用者の平均年齢が上昇する中で年収が低下するというのは違和感があります。
と言うのも一般的にはやはり年齢が高いほど給料が高いからですね。それ以前は600万円前半で概ね安定していた点を踏まえると、今回の下落は「たまたま」という可能性が高そうです。次の調査結果に注目ですね。
最後に世帯月収に占める住宅ローン返済額の割合を計算した「総返済負担率」はこのようになっています。
こちらはなぜか全体の平均値やこれまでの推移が発表されておらず、記者としては不満ですが、チェックすべきなのは一番右の「全体」ですね。
住宅ローン返済額を月収の30%未満としている方が90%を超えていることが分かります。加えて最も多いのは「20%〜25%」のゾーンであり、「多すぎず少なすぎず」という感じでしょうか。
世帯年収が600万円とすると、月収は38万円くらいですかね?そうすると手取りは30万円〜34万円くらいでしょうか。返済負担率ごとに具体的な返済額を計算するとこうなります。
30% : 11.4万円
25% : 9.5万円
20% : 7.6万円
15% : 5.7万円
いかがでしょう?実際には30%以上の方は少数派ですので、このケースであれば概ね月10万円以下に抑えていることになり、結構、堅実な返済額の設定ではないかと思います。
もちろん、いくら毎月の返済額が抑えられていたとしても、金利や返済期間によってそのリスクは大きく異なってきます。仮に上記でも触れましたが完済時期が75歳になっていたとしたら「老後破産」の可能性は相対的にかなり高まることになります。
やはり今回の調査の一番大切なポイントは、住宅ローン利用者の平均年齢が徐々に上がってきており、利用者本人も、住宅ローンを販売する側も、なるべくリタイア前に完済できる期間設定を意識する重要性が増している、という点ですね。
参考になさってください。