※当サイトには広告リンクが含まれています。
<編集部からのコメント>
最近の住宅市場に関する大きな外部環境の変化としては、もちろん空前絶後の住宅ローン金利低下というのもありますが、やはりそれ以上にインパクトが大きそうなのが「消費税増税の延期」です。
と言うのもこれまで「今、住宅が買い時」と答える方の多くがこの増税を理由に挙げていたからですね。
買い時理由の比率としては「増税」よりも「住宅ローン金利低下」の方が多いとは思いますが、ただ住宅ローン金利はこれまでも十分低かったことを考えれば増税延期は突然の大きな政策変更であり、直近のインパクトという点ではやはり増税延期の方が影響が大きそうです。
さてそうした消費者心理の変化を占う上で格好の調査を野村不動産アーバンネットが実施しています。調査時期は2015年1月6日(火)〜1月13日(火)ということでタイミングもバッチリです。
早速、それぞれの回答結果をチェックしてみると、まず「今、不動産は買い時だと思いますか」という質問に対してこのような回答結果になっています。
「不動産は買い時だと思う」と答えた方は意外にも53.5%で、何と前回より0.1%とわずかではありますが増加しているのですね!しかもより積極的な「買い時だと思う」は11.6%→14.0%へと2.4%も上昇しています。
ただ一方で「買い時だと思わない」という方も20.2%→23.8%へと3.6%増加しており、この矛盾した動きを解釈しようとすれば、同じ増税延期でも、「2年後に増税されることに違いはない」と冷静に捉えるか、多少の余裕ができたと前向きに感じるかで評価が分かれた、ということかもしれませんね。
実際、「買い時」と答えた方の回答内容はこのように変化しているようです。
「今後の消費税増税」を理由に挙げている方は前回の40.9%から41.5%へむしろ上昇しており、やはりこのグループは「1年以内であろうと、2年後であろうと増税されることには変わりはない」と認識しているということですね。
それより動きがあったのはハイライトされている通りですが、「不動産価格上昇懸念」と「住宅ローン金利上昇懸念」が大きく後退する一方で、「住宅ローン金利低下」が大きく伸びています。消費者の考え方もだんだんインフレ期待からデフレマインドへと切り替わりつつあるということでしょうか・・・実際にはマンション価格は都心を中心に上昇中ではありますが。
その不動産価格の見通しについてはこれまでこのような推移となっています。やはり不動産の上昇懸念(期待?)は1年くらい前にピークアウトしているようです。
住宅ローン金利の上昇懸念についても同様ですね。2013年半ばにはピークアウトしています。
その2013年ごろ、しきりに「今後、住宅ローン金利は上昇する」と喧伝されていた専門家の方々は深く反省してほしいものです。その言葉を信じ固定金利にされた方は今、割高な利息を払わされているわけですからね。いくら「保険料のようなもの」とはいえ、今となってはそうした金利上昇シナリオに合理的な根拠があったのかまことに疑わしいです。
そうしたわけで希望する住宅ローン金利タイプも、2013年半ばから変動金利タイプの人気が復権していることが分かりますね。特にこの1年は「固定→変動」という嗜好の変化が鮮明です。
低迷する物価を背景に金融緩和がますます拡大していくのは確実ですからね。つまり金利上昇の機運はますます遠のいているわけで、こうした動きは当然のような気がします。
なお。
結果だけを見れば増税延期によるネガティブなインパクト=住宅市場への逆風はほとんど見られないわけですが、ただこのアンケートが野村不動産アーバンネットが運営する不動産情報サイトで募集された点は割り引く必要があります。
つまり、「増税は延期になったし、マイホーム探しも延期しよう」と考えた方はそもそもこれらの回答者の中からいなくなっている可能性が高いということになります。そして人数的にはもしかするとそちらの方が多数派=マジョリティであることも考えられます。
したがって消費者全体の動きを把握するためにはそうした「不動産に興味がなくなった人」も含めた、全体調査が必要ですね。1月に入り当サイトのトラフィックも大きく増えており、実感的には「増税延期」が消費者心理を冷ませているようには感じられませんが、新たな調査結果に期待したいと思います。
参考になさってください。