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<解説・異論・反論>
安倍政権の最大の命題が「デフレ経済からの脱却」ですね。つまりインフレ経済=物価が上昇していく経済を目指しているわけですが、そうした経済政策に真っ先に反応したのが株価です。日経平均株価はついに2万円台間近ですからね。
政権発足当時は1万円前後だったわけですから何と2倍近くまで上昇していることになります。さすがにこれはちょっと上昇しすぎでしょうね。株価の源泉である企業収益が2倍になったということはないのでしょうから。
それはともかくとして、そうしたインフレ期待が次に表れたのが不動産ということになります。いつもご案内している国土交通省の「地価LOOKレポート」では、すでにマイナスの地点が1つもなくなっており、全地点の83%が上昇に転じています。この調査は主要都市部での調査となりますので、全国平均に比べれば数字が強く出るのは間違いないとは思いますが、とはいえ株価とともに地価もまた「デフレからの脱却」を進めているのは間違いありません。
>>>最新の全国主要地価調査 値上がり地区が83%に拡大!
最近は、デフレ脱却の「本丸」である賃上げについても景気のよい報道が増えてきていますしね。いよいよ本格的なインフレ経済が到来するのでしょうか?だとすると画期的ですし、バブル崩壊以降、25年近く続いているデフレ状況にすっかり慣れてしまった頭や習慣、考え方を本格的にアップデートする必要がありそうです。
そもそも20代以下は生まれてこの方、インフレを全く経験していないわけですからね。いやはや。
そうしたわけで住宅ローン利用者とすれば、とりわけ地価が今後どのように上昇していくのか気になるところですが、先日2015年の公示地価が発表されましたので早速チェックしてみるとこのようになっています。いずれも前年から比較してみます。
1.全用途
・全国平均 : −0.6% → −0.3%
・三大都市 : 0.7% → 0.7%
・地方平均 : −1.7% → −1.2%
・地方都市 : 1.6% → 1.8%
2.住宅地
・全国平均 : −0.6% → −0.4%
・三大都市 : 0.5% → 0.4%
・地方平均 : −1.5% → −1.1%
・地方都市 : 1.4% → 1.5%
3.商業地
・全国平均 : −0.5% → 0.0%
・三大都市 : 1.6% → 1.8%
・地方平均 : −2.1% → −1.4%
・地方都市 : 2.0% → 2.7%
全体的には当然ながらプラスのところはプラス幅が拡大し、マイナスのところはマイナス幅が縮小するといった形で地価の回復傾向がより鮮明となっていますね。
加えてまず商業地が先行していることや、地域的には三大都市圏が先行し、地方圏がそれを追う形になっていることも明らかですが、そうした中で実はより元気なのが地方都市=地方中枢都市ですね。政令指定都市や県庁所在地ということになると思いますが、これらの地域の地価上昇率は三大都市圏を上回っており、地方圏平均がまだマイナスに沈んでいることとも相まってよりその強さが際立っています。
これまで何度かご案内しておりますが、「格差問題」というとすぐに「東京vs地方」といった形で取り上げられるものの、現実的には「地方vs地方」という構造も存在しているということですね。
加えてそうした地方都市というのは人口集積地かと思いますので、実際に住宅購入者がマイホームを検討するエリアと重なってくるのではないでしょうか?つまり「三大都市圏+地方都市」が現実的なマイホーム検討エリアに近いのだとするのであれば、随分と見える風景が変わってくるということですね。それぞれの住宅地の上昇率は0.4%と1.5%ですから、すでに「地価インフレ」を実現しているということになります。
これからマイホームを購入しようとされる方は十分、ご留意ください。
さて今回の公示地価のハイライトは何と言ってもやはり、商業地については全国平均でも0.0%とプラスに転じてきたことですね!「0.0%」という数字は何とも微妙ですが、来年には確実にプラスに転じることでしょう。ちなみにこの値がマイナスを脱却するのは7年ぶりとのことです。
そうなってくると次の目標は、住宅地の全国平均がいつプラスになるのか、ということですね。昨年は−0.6%で、今年は−0.4%。今後も同様に0.2%ずつ改善していくとすると来年=2016年は−0.2%、そして2017年にようやく0.0%とマイナス圏を脱却していくことになります。
あと2年、この地価上昇傾向が続くのでしょうか?もちろん景気も地価も永遠に上昇することはなく、そう遠くない将来、再び世界的な景気後退局面が訪れるとは思いますが、あと2年くらいなら・・・何とか持ちそうな気がします。
実はこの住宅地はなかなかの鬼門で、全国平均ではバブル崩壊以降、一度もプラスとなったことがないのですね!そうしたわけでここまでくれば全国の住宅地もぜひ一度くらいはプラスに転じ、「デフレからの脱却」を実感したいと思います。ちなみにいわゆる物価=消費者物価にはこうした土地の値段は含まれないわけではありますが。
ただし繰り返しになりますが、いくら住宅地の全国平均がマイナスとはいえ、読者のみなさんが実際に住宅購入を検討するエリアというのはすでにプラスに転じている可能性が高いですね。その点はお含みおきいただければと思います。
最後に、都道府県別の住宅地の上昇率の、2014年実績、2015年実績、そして同じ改善が続くとしての2016年予想を掲載しておきたいと思います。
都道府県 : 2014年実績 → 2015年実績 → 2016年予想
福島 : 1.2 → 2.9
→ 4.6
宮城 : 2.5 → 2.3
→ 2.1
東京 : 1.4 → 1.3
→ 1.2
愛知 : 1.1 → 0.8
→ 0.5
沖縄 : 0.1 → 0.6
→ 1.1
神奈川 : 0.6 → 0.4
→ 0.2
千葉 : 0.0 → 0.1
→ 0.2
福岡 : -0.3 → 0.1 → 0.5
埼玉 : 0.3 → 0.0
→ -0.3
大阪 : -0.2 → -0.1 → 0.0
富山 : -0.7 → -0.2 → 0.3
京都 : -0.6 → -0.3 → 0.0
兵庫 : -0.4 → -0.3 → -0.2
奈良 : -0.5 → -0.3 → -0.1
岩手 : -0.9 → -0.4 → 0.1
滋賀 : -0.3 → -0.4 → -0.5
熊本 : -0.6 → -0.4 → -0.2
静岡 : -1.1 → -0.9 → -0.7
北海道 : -1.0 → -1.0 → -1.0
岡山 : -1.3 → -1.0 → -0.7
岐阜 : -1.4 → -1.2 → -1.0
広島 : -1.9 → -1.2 → -0.5
大分 : -1.8 → -1.2 → -0.6
宮崎 : -1.5 → -1.2 → -0.9
石川 : -1.9 → -1.3 → -0.7
山形 : -1.9 → -1.4 → -0.9
長崎 : -2.0 → -1.5 → -1.0
茨城 : -2.5 → -1.6 → -0.7
群馬 : -2.8 → -1.6 → -0.4
三重 : -1.7 → -1.6 → -1.5
徳島 : -3.2 → -1.6 → 0.0
栃木 : -2.5 → -1.7 → -0.9
新潟 : -2.0 → -1.7 → -1.4
長野 : -2.3 → -1.8 → -1.3
山口 : -2.7 → -1.9 → -1.1
高知 : -3.0 → -1.9 → -0.8
福井 : -2.6 → -2.0 → -1.4
島根 : -2.7 → -2.1 → -1.5
香川 : -3.4 → -2.1 → -0.8
愛媛 : -2.4 → -2.2 → -2.0
山梨 : -2.7 → -2.3 → -1.9
佐賀 : -3.4 → -2.5 → -1.6
和歌山 : -3.5 → -2.6 → -1.7
鳥取 : -3.7 → -2.8 → -1.9
鹿児島 : -3.1 → -2.8 → -2.5
青森 : -4.0 → -2.9 → -1.8
秋田 : -4.7 → -4.2 → -3.7
3つ目の数字はあくまでオマケで信憑性は全くありません。ご注意ください。
しかしこうしてみると・・・あくまで住宅地の話ではありますが、実は都道府県レベルで見てもほとんどのところでまだマイナスなのですね!並べてみると随分と印象が変わってきます。
ただし繰り返しになりますが、地方でも中枢都市は上昇しています。そう考えると「東京vs地方」「地方vs地方」という対立構造だけでなく「県内vs県内」という格差構造もあるのかもしれませんね。
いずれにしてもこうした数字の印象にかかわらず、みなさんが購入を検討されているエリアは上昇している可能性が高いと思われますので事前にしっかりチェックしていただければと思います。
参考になさってください。