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<解説・異論・反論>
言わずもがなですが、住宅ローン金利は長期的にも中期的にも短期的にも低下を続けています。これは日銀が金融緩和を続けていることが要因です。
金融緩和とは日銀が主に金融市場から国債などを大量に購入することによって金融市場にマネーを供給する金融政策ですが、国債価格が上昇することに加え、マネーが過剰になることの両面から金利が低下することになります。
しかも2013年に「異次元の金融緩和」が実施され、2014年10月には「追加金融緩和」が実施されましたので金利が大きく低下するのも当然かもしれません。いつもご案内しているように2000年からの長期金利の推移はこのようになっています。
ちなみに時期はともかくとして、さらなる追加的な金融緩和も予想されており金利の低下傾向はまだまだ続きそうです。
そうした金利環境によって強く追い風を受けるのが住宅ローンということになります。金利が低下しますので住宅ローン需要が広がるのは当然ですが、こうした恩恵は何も新規借り入れ客ばかりではないですね。すでに住宅ローンを借りている方々にとってもメリットは大きいです。
住宅ローンの変動金利タイプや当初固定金利タイプなど、金利が途中で変更になる方々は当然として、金利が最後まで変わらない長期固定金利・全期間固定金利で借りている方々にとってもそうした金利低下メリットを実現させることは可能です。
と言うのも「借り換え」をしてしまえばよいからですね。借り換えとは別の銀行から住宅ローンを借り直すことですが、その際には当然、足元の住宅ローン金利が適用されることになりますので場合によっては金利を大きく引き下げることが可能です。
では具体的に最初に借りてからどれくらいの期間で「借り換え」を行っているかと言うと、先日住宅金融支援機構が発表した「2014年度民間住宅ローン借換の実態調査」
によるとこうなっています。
合計の分布をみるとこういうことですね。
・3年以内 : 28.0%
・5年以内 : 12.7%
・10年以内 : 33.5%
・15年以内 : 13.4%
・15年超 : 9.1%
・不詳 : 3.3%
借りてから「5年以内」が40.7%もおられるわけで、これはそもそも最初の住宅ローンの選択が失敗だったと言えそうですね。借り換えには登記費用などで数十万円かかりますので、借り換えしなくて済むのであればそれに越したことはありません。
これから住宅ローンを借りようとされる方は少なくともこのように5年以内で借り換えしなくてすむよう、事前に入念に住宅ローンの比較・検討を進めていただければと思います。
さらに「10年以内」まで含めるとシェアは74.2%にまで増大します。平均値は公表されていないようですが、推測すると借り換えのタイミングは「借りてから6〜7年後」という感じになるのでしょうか?やはりイメージよりは相当早めですね。
ただそのように早め早めに借り換えをすることは決してマイナスばかりではありません。むしろ借り換えメリットという点では早ければ早いほど効果が増加することになります。金利が後から下がるよりは早めに下がる方がメリットが大きくなるのは当然ではありますが。
そんなわけで「最初の住宅ローンは失敗だったかも」と思われた方は早めに借り換えをされることをオススメします。もちろん住宅ローン金利が歴史的な水準にまで低下し、今後下がるとしても劇的に下がることはない状態まで来ていることもポイントですね。
ではそのように借り換えを実施した方々はどれくらい金利の削減に成功したかと言うと同調査ではこのようになっています。
抜き出すとこういうことですね。
・2.0%超低くなった : 11.1%
・1.5%〜2.0%低くなった : 7.4%
・1.0%〜1.5%低くなった : 16.3%
・0.5%〜1.0%低くなった : 28.2%
・0.3%〜0.5%低くなった : 13.3%
・0.1%〜0.3%低くなった : 11.5%
・0.0%〜0.1%低くなった : 5.4%
・変わらない : 3.5%
・高くなった : 3.3%
上記グラフを見ても分かるように、1.0%以下という比較的金利削減幅が少ないケースでも積極的に借り換えが行われることが分かります。「1.0%以下」は全体で58.4%と6割近くを占めるのですね!
もちろん、それだけ金利削減幅が少なくても借り換えメリットが出てくる理由というのは「住宅ローンの残っている元本が大きいから」ということでしょうね。元本が多ければ多いほど、金利引き下げによる借り換えメリットが大きくなるわけですが、上記の通り多くの方が10年以内・5年以内といった比較的短い期間で借り換えを行っていますので、元本も2,000万円近くある場合が多そうですね。
ここで思い出されるのがほうぼうで吹聴されている住宅ローン借り換えルールですね。住宅ローンの借り換えでメリットが出る「条件」としてこうなっています。
・残高1,000万円以上
・残存期間10年以上
・金利引き下げ幅1%以上
実際には3つ目の「金利引き下げ幅1%以上」 というのは今や全く実態にそぐわない条件になっているということですね。その点では借り換えルールとしては3つ目を削除してこういい直した方がいいのかもしれません。
・残高1,000万円以上
・残存期間10年以上
参考になさってください。
ちなみに借り換えによって金利が高くなったという方が3.3%もおられるのは驚きですが、変動金利から固定金利への借り換えだったり、繰上返済など、それ以外のコスト削減を狙って、ということなのですかね?気になるところです・・・。