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<解説・異論・反論>
リーマンショックや震災により住宅価格、特に関東湾岸のマンション価格は大きく下落し、記者も当時の社会情勢からすればやや不謹慎ながら、「お、こんなに下がっている!」「もう少し下がれば買おうかな?」と思うこともしばしばでした。もちろん、あくまで狸の皮算用であり、無い袖は振れなかったわけですが・・・。
しかし相場の変化というのは恐ろしいもので、今やその関東湾岸のマンションが先頭となって都市部の住宅価格が大きく上昇しているのですね!積極的に情報収集しているわけではないもののたまに見かける不動産情報を見ると本当に数年前と真逆で「お、こんなに上がっている!」「もう完全に手が届かなくなったな。」と思うことがしばしばです。坪600万円とか800万円と言ったニュースを見るともはや計算不可能です。
特に以前の価格を知っている物件を見ると溜息しか出ない今日この頃です・・・。
消費者からすればもちろん値下がりを希望するわけですが、一方で住宅購入の大半は「実需」、つまり生活の必要性から来ているわけで、高かろうが安かろうが買わなければいけない時には買わなければいけないわけですね。
加えて、2020年の東京オリンピックまでは地価も堅調に推移するのではないかという漠然とした期待もあります。そうした中で、目をつぶって黙って買う、という人も少なくなさそうです。新たな増税のタイミングも徐々に迫っていますからね。
焦って買う必要はありませんが、今後さらに値上がりするのかそうでもないのか誰にもわからない以上、いつもご案内しているように、より本質的な「一生住みたいと思える家かどうか」といった自分や家族に対する精神的な価値に注目して物件選びを進めるしかなさそうですね。それが安い買い物となるのか高い買い物となるのかは神のみぞ知る、ということです・・・。
さてこのように特に東京の湾岸エリアは住宅市場が活況を呈しているわけですが、では全国的にはどうなっているかと言うと、それを占うのが定期的にご案内している国土交通省の「主要都市の高度利用地地価動向報告」=地価LOOKレポートですね。今回は2015年第1四半期=2015年1月〜2015年3月のデータが発表されています。
毎回ご案内しているように、この調査では対象地区が
・東京圏65地区
・大阪圏39地区
・名古屋圏14地区
・地方中心都市等32地区
と全国にバランスよく配分されているのが特徴です。そのため3大都市圏のみならず、全国の動向が把握できることに加え、「1年に1回」が多い他の主要な地価調査と違って、3ヶ月に1回実施されているのが利点ということになります。
ただし・・・今回の調査では微妙に対象地域が減っていますね!発表資料ではこのようになっています。
・東京圏43地区
・大阪圏25地区
・名古屋圏9地区
・地方中心都市等23地区
全体のバランスを変えないまま調査地点だけ減らした、ということでしょうか。この変化により全体で対象地区が150地区から100地区に減少しています。微妙どころではない減少ですね!
割合を把握する上では100地区というのは計算しやすくていいものの、正確性・信憑性という点では一歩後退したことになります。なぜ連続性が求められるこうした調査で調査対象地点を減らしたのでしょうね?国土交通省のサイトで何の説明がないのも少し不満です。
それはともかくとして話を先に進めると、今回の「100地区換算」では値上がり・値下がりの分布は3ヶ月前の前回調査と比較してこのようになっています。
・上昇地区 : 84→84
・横ばい : 16→16
・下落地区 : 0→ 0
つまりは前回と全く変わらないわけで、引き続き84%の地区が上昇する一方で下落地点はゼロということですね!以前の下落地点の方が多かった時期を知る者としては驚くしかない活況です。
加えてこの調査が全国の主要都市で行われていることからも分かるように、こうした強気相場は東京にとどまるものではない、ということになります。
さて、ここまで相場が強気になってくるのであれば、そのうち「すべての地区が上昇」という状況も起こりえそうですが、そのカギを握るのが「横ばい地区」ということになります。具体的な地名としてはこういうことですね。
・盛岡市/盛岡駅周辺
・千葉市中央区/千葉駅前
・千葉市美浜区/海浜幕張
・浦安市/新浦安
・柏市/柏の葉
・長野市/長野駅前
・新潟市中央区/新潟駅南
・富山市/西町・総曲輪
・岐阜市/岐阜駅北口
・草津市/南草津駅周辺
・京都市中京区/二条
・京都市左京区/下鴨
・京都市西京区/桂
・高松市/丸亀町周辺
・熊本市中央区/下通周辺
・鹿児島市/鹿児島中央駅
どこもそのエリアの中核地域であり、いつ上昇に転じてもおかしくない気がしますが、今後こうした「横ばい地区」が増えるのか減るのか注目ですね。
消費者からすれば繰り返しになりますが、地価も住宅価格も上昇するよりはむしろ下落する方がありがたいのですけれど、こればっかりは相場のことなので思い通りにはなりません。
せめて給与が住宅価格や地価以上に上昇することを期待したいと思います・・・。
参考になさってください。