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<編集部からのコメント>
10月になりました。日が陰ると意外とひんやりする日が増えてきていますね。今年は猛烈な残暑もなくこのまま秋、そして冬へと進むのでしょうか?
振り返ってみればお盆まで強烈な猛暑だったのが、8月の後半からデジタル的に気温が下がり過ごしやすくなった気がします。結局、この夏は暑かったのでしょうか?それとも涼しかったのでしょうか?平均気温を取ればそれほど高くなかったような気がします。もちろん場所によっていろいろでしょうけれど。
今年の冬が過ごしやすいものとなることを願いたいと思います。
さて季節のあいさつはそれくらいにして今月の住宅ローン金利は正直、予想外の展開となりました。具体的に今月=10月の住宅ローン金利動向がどうなっているかと言うと上記記事の通りメガバンク5行の主力の10年固定金利はこのようになったということですね。
・引き上げ : 2行
・据え置き : 2行
・引き下げ : 1行
つまり「上げ下げバラバラになった」ということです。金融市場が発達した現在、基準となる金利というのはどの銀行も完全に同じですから、このように対応が分かれるというのは非常に珍しいことだと言えます。特に日本の銀行は横並び意識が徹底されていますので尚更です。
これまで住宅ローン金利は8月・9月と2ヶ月連続の低下となってきたわけですが、今月は総括するのが難しいですね。間をとって「概ね据え置き」ということですかねぇ。
しかし記者が何より予想外だったのはそのように各銀行の金利が上げ下げバラバラになったというその結果ではなく、住宅ローンの基準となる長期金利=10年もの国債金利が順調に低下していた中で金利を引き上げる銀行が出てきた、というその金利環境にあります。
ここでいつものように実際の長期金利=10年もの金利の推移をチェックするとこうなっています。
■長期金利グラフ(グラフ期間:1年)
1月後半からなぜか上昇傾向が出ていた長期金利ですが、5月から6月にかけてのピークアウトし、その後じりじりと低下してきていることが分かります。特に8月下旬以降の世界的な株安を受けてそうした低下傾向がより鮮明となっているのが実態です。こうした金利動向を受けて「10月の住宅ローン金利を引き上げる銀行が出てくる」と予想した方はどれくらいいたでしょうか?いやぁ、全く謎の動きです。各金融機関の金利決定担当者に知り合いがいればぜひ聞いてみたいものです。
そうした戸惑いはメディアも同じようで、上記引用した記事では「長期金利の指標である新発10年債の利回りは、最近は0.3%台と低下傾向にあるなか、大手行で判断が分かれました。」と程よくスパイスの効いたコメントでまとめられています。「低下傾向」にあるわけですから本来なら判断が分かれることはありません。
なお先日のこちらのコラムでは「10月の住宅ローン金利は全体的に3ヶ月連続の引き下げとなり、固定金利は−0.05%程度の引き下げとなる可能性が高い」と予想しましたが、残念ながら「ハズレ」ということですね。読者の皆様には深くお詫びしたいと思います。
>>>[2015年10月の住宅ローン金利予想]住宅ローン3ヶ月連続下げへ
とは言いつつただお詫びするだけでは芸がありませんのでもう少し掘り下げると、これまで判断の基準にしてきた国債の平均金利を8月全体と9月全体とで比較するとこのようになっています。
◆8月と9月の国債の平均金利の比較
・1年 : 0.01% → 0.01% (変わらず)
・10年 : 0.39% → 0.36% (−0.03%低下)
・20年 : 1.17% → 1.14% (−0.03%低下)
・30年 : 1.43% → 1.40% (−0.03%低下)
やっぱり下がっていますねぇ。最も一般的な金利指標である国債金利から、今月の利上げの根拠を見つけ出すのは難しそうです。
もしかすると、国債金利にかかわらず銀行間で取引する金利が上昇したのかも?と思い金融機関間での取引の金利指標であるスワップレートの10年もの金利の推移をチェックするとこのようになっています。
やっぱり下がっていますね・・・。
残る仮説としては2つでしょうか。1つ目は「10月の住宅ローン金利を判定する日にたまたま先月より金利が高かった」。ということです。具体的にチェックしてみると・・・そうした「たまたま8月より9月の方が金利が高かった日」というのはこと10年もの金利に限って言えばゼロでした!真面目に並べて比較しましたので間違いありません。
とすると記者が思いつくのは1つしかありません。残る2つ目はつまり「赤字疑惑」が長らくささやかれてきた昨今の住宅ローン金利の低下ですが、いよいよここで「採算確保」に舵を切る銀行が出始めた、ということです。
もしそうだとすれば住宅ローン利用者からすれば由々しき事態ですが、とは言いつつ今月順当に金利を引き下げてきた銀行もあるわけで、その点では救いがありますね。要するに今後、割高になる住宅ローンがあり、それらを慎重に避ける必要性が出てくる可能性があるということになります。
とは言いつつ、この10月の住宅ローン金利だけを見て銀行の変心を疑うのはやや拙速かもしれません。単に9月末という期末に向けての「バーゲン金利」を一部縮小した、ということかもしれませんしね。その点では気が早いですが11月の住宅ローン金利に注目、というのが結論ですかね。
ここで世界の金利動向をチェックしてみるとアメリカの金利はこのようになっています。
こちらは相変わらず日本の長期金利とほぼ同じ動きをしており、足元の金利低下傾向も同じですね。
次に世界のもう1極であるドイツの金利はこのようになっています。
歴史的な金利下落を見せつけた後、これまた急激な金利上昇となったドイツ金利ですが、こちらも足元では徐々に低下してきていることが分かります。今春以降の日本の長期金利の上昇がこうした海外要因だったということなのであれば、海外情勢が落ち着いて来る中で低下するのは当然と考えて良さそうです。
ちなみに本日の長期金利は0.325%ですが、先月のこの時期は0.365%でしたので、やはり相応に低下しているということですね。
とすると話がもとに戻りますが、やはり今月の一部の住宅ローン金利上昇の動きは不可解ですね。住宅ローンをご利用の方やこれから利用しようとされている方は、こうした動きに注意し、金利を引き上げ始めている銀行は避けておくのが賢明です。
[2015年10月の住宅ローン金利]
すでに上記ご案内しているように、10月の住宅ローン金利は9月の金利から「上げ下げバラバラ」と言う状態ですね。
>>>今月の住宅ローン金利比較はこちら
具体的な金利をチェックしていくと、まずフラット住宅ローンについては、メイン商品のフラット35の金利が9月と比較して+0.05%上昇しています。こちらも長期金利が下がる中、なぜか金利上昇ですね・・・金融庁のご指導でもあったのでしょうか。
より期間の短いフラット20の金利も同様に+0.01%上昇となっています。
>>>最新のフラット35の金利はこちら(楽天銀行)
次に民間の住宅ローンをチェックすると、いつものように当サイトで人気の住信SBIネット銀行と、日本最大のメガバンクである三菱UFJ銀行の、9月と10月の住宅ローン金利の推移はこのようになっています。
◆住信SBIネット銀行(ネット専用住宅ローン)
・変動金利 : 0.650% → 0.588% (−0.062%)
・10年固定 : 0.910% → 0.860% (−0.050%)
・20年固定 : 1.440% → 1.370% (−0.070%)
・30年固定 : 1.780% → 1.710% (−0.070%)
>>>最新の金利はこちら
◆三菱UFJ銀行(保証料を加えた実質金利)
・変動金利 : 1.175% → 1.175% (変わらず)
・10年固定 : 1.400% → 1.450% (+0.050%)
・20年固定 : 3.450% → 3.450% (変わらず)
・30年固定 : 1.970% → 1.970% (変わらず)
>>>最新の金利はこちら
市場金利の動きからすれば順当のような気もしますが、住信SBIネット銀行がどの期間も引き下げとなっているのはやはり魅力を感じますね。特に今月、「一部の銀行の住宅ローン金利引き上げ」と同じく、個人的にサプライズとなったのは変動金利を引き下げてきた点です!
と言うのも長期金利と違って逆に変動金利のベースになる短期金利についてはすでに「ゼロ金利」が実現し、ほぼ変わらずゼロ金利近辺で推移しているからですね。
つまり住信SBIネット銀行が今月、変動金利を引き下げてきたというのは純粋に「自行の利ざやを削ってきた」ということになります。もちろん住宅ローン利用者としては歓迎すべき動きですね。こういう銀行こそ応援していきたいものです。
なお、意外に思えたメガバンクの金利引き上げですが、三菱UFJ銀行の金利を見る限り、引き上げてきたのは10年固定にとどまっています。とするとあまり騒ぐほどのことではないのかも・・・しれません。
さてこの2つの実質的な金利水準で見比べれば当然、住信SBIネット銀行が金利面で魅力的なわけですが、その住信SBIネット銀行は「ネット専用住宅ローン」の販売に注力しています。これは契約相手が住信SBIネット銀行ではなく、親会社である三井住友信託銀行となるもので、もちろん三井住友信託銀行は日本有数のメガバンクの一角ですから、より安心感を感じる方は少なくなさそうです。
引き続きこうした「低金利+安心安全」な住宅ローンを積極的に提供していってほしいものです。
さて当サイトで人気の新生銀行の10月の住宅ローン金利はと言うと以下の通りです。
◆新生銀行
・変動金利 : 0.880% → 0.880% (変わらず)
・10年固定 : 1.350% → 1.300% (変わらず)
・20年固定 : 1.600% → 1.550% (変わらず)
・30年固定 : 2.250% → 2.200% (変わらず)
>>>最新の金利はこちら
こちらは全期間据え置き、ということですね。
なお、新生銀行は、万が一の時の保障や返済停止機能を組み合わせた「安心パック」を付加するなど、金利競争以外のサービス拡充にも注力しています。住宅ローンの金利や手数料だけでなく、そうした付加価値についても目を向けてみると、また違った住宅ローン選びができるかもしれませんね。ちなみにこのサービスは日経新聞が選定した新商品・新サービスの中で、最優秀賞を受賞したようです。
[2015年11月以降の住宅ローン金利の動向]
気になる今後の住宅ローン金利の動向ですが、短期的には「世界株価同時下落」の動きに加え、「アメリカの利上げの後退観測」もあり、市場金利は低下トレンドを維持するのではないかと思います。
その点では来月=2015年11月以降の住宅ローン金利がさらに低下することを期待したいわけですが、ただ気になるのは繰り返しになりますが上記の通りそうした中で一部の銀行が金利を引き上げてきた点です。
しかし今月もしっかり金利を引き下げてきた銀行はあるわけですし、「異次元の金融緩和」が実施されている間は、多少日本の市場金利が上昇したとしても、絶対水準的には歴史的な低金利を維持し、住宅ローン金利も概ね魅力的な金利水準を維持していくのは間違いありません。
細かな金利変動に一喜一憂せず、冷静にご検討を進めていただければと思います。
なお、あえて今後の金利上昇の可能性を考えると、カギとなるのは物価です。政府や日銀は、物価上昇=インフレの状態にするためにあらゆる金融政策を取っているわけですが、景気回復と相まっていよいよ本当にインフレになってくれば、頼みの綱である「異次元の金融緩和」も縮小に向かいますので、実需と金融政策の両面から金利上昇の機運が高まることになります。
では足元の物価動向はと言うと、上昇の勢いが弱まっており、金融緩和を縮小・終了させるにはまだまだ力不足です。そもそも少子化が続く日本で本当にインフレとなるのか疑問を感じなくもないですが、とは言いつつ長期的なインフレ=金利上昇の可能性については、多少頭に入れておきたいところです。
仮にそのように日本経済が本格的なインフレ経済に変貌するとしても、時期としてはかなり先のことだと思いますが。
ここでいつものように長期金利の2000年からの推移を振り返ってみたいと思います。
■長期金利グラフ
前回の景気回復が始まった2003年には、長期金利は0.435%の最低金利をつけた後に急速に上昇し、1.5%前後にまで、実に1%近く上がったことが分かります。
仮に今後、景気回復が順調に進むのであれば、金利についても同じ様に+1.0%程度上昇する可能性がある、ということを示唆しております。
今のところ、慌てたり、焦ったりする必要は全くありませんし、逆に低金利が常態化した日本では「金利が上昇したとしてもその程度」とも言えるわけですが、とは言いつつ、住宅ローン金利が低いのに越したことはありません。
住宅ローンをご検討の方は、そうした将来的な金利上昇リスクを頭の「片隅の片隅」に入れて、相対的に金利が低い間に着実にご検討を進めていただければと思います。
その点では今月=10月というのは住宅ローンを検討するのにベストなタイミングが続いていると言えそうですね。
そもそも一番人気の住宅ローン変動金利については、上記の通り日銀のゼロ金利政策により、史上最低水準に張り付いたまま全体的には今月も全く上昇していないわけですからね。変動金利の利用を検討されている方は、上記のような長期金利の動きや住宅ローン固定金利の動きを気にする必要など全くない、ということです。
[今月の住宅ローン金利レンジ]
最後に、今月の具体的な住宅ローン金利のレンジをチェックするとこのようになっています。
■2015年10月の住宅ローン金利状況(実質金利)
・変動金利 :0.57%〜2.675%
・10年固定:0.86%〜3.90%
・20年固定:1.37%〜2.85%
>>>今月の住宅ローン金利比較はこちら
やはりこうして見ると、今までは考えられないような、極めて魅力的な金利水準ですね!
繰り返しになりますが、長期金利も住宅ローン金利も「史上最低水準」にあるのは間違いありません。多少の金利変動に一喜一憂せず、着実に超低金利のメリットを享受いただければと思います。
参考になさってください。