※当サイトには広告リンクが含まれています。
<編集部からのコメント>
11月になりました。気が付けばもう2015年も最終コーナーですね!今年も早いです・・・年末にバタバタしないよう早め早めに今年中にしないといけないことを済ましたいものです。
さて本題に入りますが、先月=10月の住宅ローン金利は正直、予想外の展開となりました。振り返ってみるとメガバンク5行の主力の10年固定金利はこのようになったということですね。
・引き上げ : 2行
・据え置き : 2行
・引き下げ : 1行
つまり「上げ下げバラバラになった」ということです。基準となる金利というのはどの銀行も完全に同じですから、このように対応が分かれるというのは非常に珍しいことだと言えます。しかし記者が何より予想外だったのは、住宅ローンの基準となる長期金利=10年もの国債金利が順調に低下していた中で金利を引き上げる銀行が出てきた、という点ですね。
ここでいつものように実際の長期金利=10年もの金利の推移をチェックするとこうなっています。
■長期金利グラフ(グラフ期間:1年)
1月後半からなぜか上昇傾向が出ていた長期金利ですが、5月から6月にかけてのピークアウトし、その後じりじりと低下してきていることが分かります。特に8月下旬以降の世界的な株安を受けてそうした低下傾向がより鮮明となっています。
そうした中での一部の銀行の金利引き上げでしたので、正直記者は、いよいよここで「採算確保」に舵を切る銀行が出始めた、ということかと思いました。もしそうだとすれば今後、割高になる住宅ローンがあり、それらを慎重に避ける必要性が出てくるということですね。
そうした点からも今月=11月の住宅ローン金利が注目されたわけですが、その結果はと言うとメガバンク5行の主力の10年固定金利はこのようになっています。
・据え置き : 2行
・引き下げ : 3行
つまり先月突如おこった金利引き上げの動きはあっさり終息し、今月はいつものように、そして長期金利に歩調を合わせるように金利を引き下げてきているわけですね。先月金利を引き上げた三菱UFJ銀行も三井住友銀行も今月は金利を下げています。対照的な動きを見せていた三菱UFJ銀行とりそな銀行の金利の変遷を見るとこのようになっています(10年固定実質金利)。
三菱UFJ銀行 : 1.40% → 1.45% → 1.30%
りそな銀行 : 1.35% → 1.35% → 1.30%
どちらも最終的には1.30%となっているのが興味深いですが、結局これは三菱UFJ銀行が、今月=11月の金利引き下げをより印象づけるためにあえて10月の住宅ローン金利を引き上げた、ということではないですかね?だとすれば長期金利が順調に低下する中、先月、三菱UFJ銀行が利上げを敢行したことに納得いきます。
10月に三菱UFJ銀行から住宅ローンを借りざるを得なかった方からすれば釈然としないでしょうけれど・・・。
なお先日のこちらのコラムでは「11月の住宅ローン金利は全体的に4ヶ月連続の引き下げとなり、固定金利は−0.05%程度の引き下げとなる可能性が高い」と予想しましたが、概ね及第点と言えそうです。半月前の予測ですので外す方が難しいわけですが。
>>>[2015年11月の住宅ローン金利予想]市場に逆らい利上げする銀行は?
ここで世界の金利動向をチェックしてみるとアメリカの金利はこのようになっています。
こちらは相変わらず日本の長期金利とほぼ同じ動きをしていますね。足元では少し上昇しており多少乖離し始めてはいますが。
次に世界のもう1極であるドイツの金利はこのようになっています。
歴史的な金利下落を見せつけた後、急激な金利上昇となったドイツ金利ですが、こちらも足元では徐々に低下してきていることが分かります。1月後半からの日本の長期金利の上昇がこうした海外要因だったということなのであれば、海外情勢が落ち着いて来る中で低下するのは当然と考えて良さそうです。
ちなみに本日の長期金利は0.315%ですが、先月のこの時期は0.325%でしたので、やはり相応に低下しているということですね。
住宅ローンに再び強い追い風が吹き始めたととらえて良さそうです。
[2015年11月の住宅ローン金利]
すでに上記ご案内しているように、11月の住宅ローン金利は10月の金利から「全般的に引き下げ」と言う状態ですね。
>>>今月の住宅ローン金利比較はこちら
具体的な金利をチェックしていくと、まずフラット住宅ローンについてはメイン商品のフラット35の金利が10月と比較して−0.04%低下しています。こちらも先月はなぜか金利上昇したわけですが、今月は順当に低下しました。
より期間の短いフラット20の金利も同様に−0.04%低下となっています。
>>>最新のフラット35の金利はこちら(楽天銀行)
次に民間の住宅ローンをチェックすると、いつものように当サイトで人気の住信SBIネット銀行と、日本最大のメガバンクである三菱UFJ銀行の、10月と11月の住宅ローン金利の推移はこのようになっています。
◆住信SBIネット銀行(住宅ローンWEB申込コース)
・変動金利 : 0.588% → 0.588% (変わらず)
・10年固定 : 0.860% → 0.840% (−0.020%)
・20年固定 : 1.370% → 1.340% (−0.030%)
・30年固定 : 1.710% → 1.680% (−0.030%)
>>>最新の金利はこちら
◆三菱UFJ銀行(保証料を加えた実質金利)
・変動金利 : 1.175% → 1.175% (変わらず)
・10年固定 : 1.450% → 1.300% (−0.150%)
・20年固定 : 3.450% → 3.400% (−0.050%)
・30年固定 : 1.970% → 1.870% (−0.100%)
>>>最新の金利はこちら
固定金利タイプはどれも低下しており、やはり今月は住宅ローンに追い風が吹いていますね!ありがたいことです。
これらを見比べるとやはり、三菱UFJ銀行の10年固定金利の「−0.15%」という動きが極端であることが分かります。上記ご案内したように、10月はあえて利上げして今月の金利引き下げを強く印象づけるための宣伝広告的な動きを取った、というのは間違いなさそうです。それでどれくらいの宣伝効果があったのかはわかりませんが・・・。
さてこの2つの実質的な金利水準を見れば当然、住信SBIネット銀行が金利面で魅力的なわけですが、その住信SBIネット銀行は「ネット専用住宅ローン」の販売に注力しています。これは契約相手が住信SBIネット銀行ではなく、親会社である三井住友信託銀行となるもので、もちろん三井住友信託銀行は日本有数のメガバンクの一角ですから、より安心感を感じる方は少なくなさそうです。
引き続きこうした「低金利+安心安全」な住宅ローンを積極的に提供していってほしいものです。
さて当サイトで人気の新生銀行の11月の住宅ローン金利はと言うと以下の通りです。
◆新生銀行
・変動金利 : 0.880% → 0.680% (−0.200%)
・10年固定 : 1.350% → 1.300% (変わらず)
・20年固定 : 1.600% → 1.550% (変わらず)
・30年固定 : 2.250% → 2.200% (変わらず)
>>>最新の金利はこちら
こちらは何と変動金利タイプを引き下げてきましたね!変動金利タイプについては基準となる短期金利がすでに日銀の「ゼロ金利政策」によってほぼゼロ%となっており、安定しています。
そうした中で変動金利を引き下げたということは・・・要するに自行の利ざやを削った、ということですね。つまりはより魅力的になったわけで注目です。
なお、新生銀行は、万が一の時の保障や返済停止機能を組み合わせた「安心パック」を付加するなど、金利競争以外のサービス拡充にも注力しています。住宅ローンの金利や手数料だけでなく、そうした付加価値についても目を向けてみると、また違った住宅ローン選びができるかもしれませんね。ちなみにこのサービスは日経新聞が選定した新商品・新サービスの中で、最優秀賞を受賞したようです。
[2015年12月以降の住宅ローン金利の動向]
気になる今後の住宅ローン金利の動向ですが、短期的には「世界株価低迷」の動きに加え、「アメリカの利上げ後退観測」もあり、市場金利は低下トレンドを維持するのではないかと思います。
その点では来月=2015年12月以降の住宅ローン金利がさらに低下することを期待できます。
時期的にも来年3月の期末に向けて住宅ローン市場が過熱してくるのが通例ですので、このタイミングでの金利の低下は大歓迎ですね。
そもそも「異次元の金融緩和」が実施されている間は、多少日本の市場金利が上昇したとしても、絶対水準的には歴史的な低金利を維持し、住宅ローン金利も概ね魅力的な金利水準を維持していくのは間違いありません。
細かな金利変動に一喜一憂せず、冷静にご検討を進めていただければと思います。
なお、あえて今後の金利上昇の可能性を考えると、カギとなるのは物価です。政府や日銀は、物価上昇=インフレの状態にするためにあらゆる金融政策を取っているわけですが、景気回復と相まっていよいよ本当にインフレになってくれば、頼みの綱である「異次元の金融緩和」も縮小に向かいますので、実需と金融政策の両面から金利上昇の機運が高まることになります。
では足元の物価動向はと言うと、上昇の勢いが弱まっており、金融緩和を縮小・終了させるにはまだまだ力不足です。そもそも少子化が続く日本で本当にインフレとなるのか疑問を感じなくもないですが、とは言いつつ長期的なインフレ=金利上昇の可能性については、多少頭に入れておきたいところです。
仮にそのように日本経済が本格的なインフレ経済に変貌するとしても、時期としてはかなり先のことだと思いますが。
ここでいつものように長期金利の2000年からの推移を振り返ってみたいと思います。
■長期金利グラフ
前回の景気回復が始まった2003年には、長期金利は0.435%の最低金利をつけた後に急速に上昇し、1.5%前後にまで、実に1%近く上がったことが分かります。
仮に今後、景気回復が順調に進むのであれば、金利についても同じ様に+1.0%程度上昇する可能性がある、ということを示唆しております。
今のところ、慌てたり、焦ったりする必要は全くありませんし、逆に低金利が常態化した日本では「金利が上昇したとしてもその程度」とも言えるわけですが、とは言いつつ、住宅ローン金利が低いのに越したことはありません。
住宅ローンをご検討の方は、そうした将来的な金利上昇リスクを頭の「片隅の片隅」に入れて、相対的に金利が低い間に着実にご検討を進めていただければと思います。
その点では今月=11月というのはさらに金利低下の動きが見られたこともあり、住宅ローンを検討するのにベストなタイミングが続いていると言えそうですね。
そもそも一番人気の住宅ローン変動金利については、上記の通り日銀のゼロ金利政策により、史上最低水準に張り付いたまま全体的には今月も全く上昇していないわけですからね。変動金利の利用を検討されている方は、長期金利や住宅ローン固定金利の動きを気にする必要など全くない、ということです。
[今月の住宅ローン金利レンジ]
最後に、今月の具体的な住宅ローン金利のレンジをチェックするとこのようになっています。
■2015年11月の住宅ローン金利状況(実質金利)
・変動金利 :0.57%〜2.675%
・10年固定:0.84%〜3.90%
・20年固定:1.34%〜3.40%
>>>今月の住宅ローン金利比較はこちら
やはりこうして見ると、今までは考えられないような、極めて魅力的な金利水準ですね!
繰り返しになりますが、長期金利も住宅ローン金利も「史上最低水準」にあるのは間違いありません。多少の金利変動に一喜一憂せず、着実に超低金利のメリットを享受いただければと思います。
参考になさってください。