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<編集部からの異論・反論・意見>
いよいよ2016年を迎えようとしているわけですが、今年=2015年の住宅ローン金利見通しについて当サイトでは昨年このように予想しました。
・2014年と同様2015年も住宅ローン金利は低位安定が続くほか、「追加金融緩和第2弾」が放たれ金利がさらに低下する可能性も十分あります。
>>>本音の2015年住宅ローン金利動向予測・見通し
実際、住宅ローン金利が低位安定していたのは皆さんご存知の通りですが、加えて12月18日には黒田日銀が「追加緩和発表」と報道されて、これが「追加金融緩和第2弾」となることから、予想は100点満点だったかなと思ったものでした。
「思ったものでした」と過去形で結んだのは、残念ながら18日の発表はあくまで「金融緩和の補完措置」であって、「追加金融緩和ではない」と明確に否定されたからですね。
その結果、株価は下落し為替は円高と逆効果もはなはだしかったわけですが、面白いのは金利は素直に低下したままその水準を維持しているということですね。今回は空振りだったにせよ、市場は金融緩和の威力をまざまざと実感した、ということなのかもしれません。
そんなわけでいつものように最も一般的な金利指標である長期金利の推移をチェックしてみるとこうなっています。
金利は足元ではついに0.2%台ですね。もちろん史上最低水準です。
ただ一方で1年のグラフで見ると5月から6月にかけて0.5%程度まで上昇したことが気になるかもしれません。つまり「いやいや上昇していたのではないか?」ということですね。
もちろん相対的に上昇したのは事実ですが、しかしもう少し長い尺度で見ると印象は変わってくると思います。これまたいつものように2000年からの長期金利の推移をチェックするとこのようになっています。
0.5%と言えども過去最低水準であることに変わりはないということですね。その時期に住宅ローンを借りられた方も十分、低金利のメリットを得られているかと思いますのでご安心ください。
このような金利環境を背景にすれば、当然のことながら住宅ローンの金利タイプは変動金利が人気であることは容易に想像がつきます。金利が最も低い上に当面は金利上昇リスクはほとんどないからですね。
ちなみに当サイトでは2016年の金利も予想しておりますので参考になさってください。結論は今年と全く変わりませんが・・・。
>>>本音の2016年住宅ローン金利予測と見通し
そうしたわけで具体的にデータをチェックしてみると、最も信頼できるのは国土交通省のデータで、住宅ローン貸出残高の推移はこのようになっています。
これまでの金利低下を受けて変動金利タイプのシェアが徐々に上昇しているわけですね。
さらに住宅生産団体連合会の調査ではこのようになっています。
こちらも、2015年3月末時点で変動金利タイプが6割と高水準で推移していることが分かります。
ところが。
いつも批判ばかりで恐縮ですが、それと真っ向から反対するアンケート結果を発表し続けているのが住宅金融支援機構です。その「金利タイプ別利用状況調査」の最新の結果はこのようになっています。
これまで変動金利タイプの割合が40%前後という結果を発表し続けてきたのですね。特に2015年は30%台ということで、よくもまぁ、こんなデタラメな結果を発表できるものだなぁと感心させられたものでした。
実際、この数値がデタラメであることはその住宅金融支援機構自体が認めています。と言うのも同機構の別の調査ではこのように発表しているからですね。
2013年度の数値≒「2014年3・4月期の数値」ということになると思いますが、見比べればこういうことですね。
・変動金利 : 58.2% → 40.5%
・固定期間選択型 : 36.2% → 32.1%
・全期間固定型 : 5.6% → 27.4%
何を削って何を増やしているかは一目瞭然ですね。そして住宅金融支援機構と言えば全期間固定金利の代表的な商品であるフラット35の元締めであり、こうした調査結果を発表する背景というのは・・・推して図るべし、というものです。
ただそんな恣意にまみれたこの「金利タイプ別利用状況調査」ですが、最新の調査結果=2015年9月〜10月期を見てみると上記の通り
・変動金利 : 51.2%
・固定期間選択型 : 20.7%
・全期間固定型 : 28.1%
とかなりマトモな結果になっているのですね!今年最後のサプライズ!と言えば言い過ぎかもしれませんが。
それでも全期間固定金利の割合が高い気がするのはご愛嬌ですが、しかしかなり実態に近くなっているのではないでしょうか?改心し、公共機関の本分に立ち戻り、より正確な情報を提供しようとし始めているのであれば、歓迎したいと思います。
正確でありさえすれば、速報性など有用なデータであるのは間違いないからですね。
とは言いつつ。
三つ子の魂、百まで。人間そう簡単に改心しないものだとすれば、この軌道修正には裏があることになります。
例えば、政治は早くも2016年の参議院選挙に向けて、食品や新聞の軽減税率など完全にバラマキモードに入っているわけですが、もしかするとこういうデータを使って「フラット35の売り上げが芳しくありません。ぜひ再度金利優遇の予算を!」などと陳情しているのかも・・・しれません。
その点では、次の調査結果がどうなるのか、そして自民党の参院選の公約がどうなるかにも、個人的には注目したいと思います。
もちろんバラマキには反対ですが、どうせバラまくのであれば、一部の人しか利用しないフラット35のみを優遇するのではなく、住宅ローン全体、特に変動金利タイプを含めた形でバラまいてほしいものです。
住宅ローン利用者としてだけでなく、有権者としても考えておきたい問題ですね。
参考になさってください。