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4月も半ばとなりました。住宅ローン市場は1月末に発表されたマイナス金利政策の影響で激動の日々を送ってきたわけですが、そうした動きも4月に入りやや落ち着きつつあるように感じます。その理由としては大きく3つでしょうか。
1つ目はそもそも住宅ローン市場と表裏一体の住宅市場の売買のピークが3月末だからですね。3月末は期末であり、不動産業界にとっては駆け込み販売ニーズが高まることに加え、消費者にとっても新年度を前に就学や就職、異動などのイベントによって引っ越しニーズが高まる時期でもあります。とすれば住宅市場が盛り上がるのは当然ですね。
そしてピークが来ればその後に「谷」が来るのは必然であり、4月は季節的な「谷」が来た、というわけです。
2つ目は今回実施されたマイナス金利政策の政策金利(言葉遊びではありません)は「−0.1%」に設定されているわけですが、上記の通り長期金利は−0.09%とその近辺まで低下してきており、合理的に考えればこれ以上下がることはありません。
銀行からすれば、マイナス金利が設定された日銀の当座預金が嫌でマイナス金利の国債を渋々買っているということだと思いますが、仮にその国債の金利が−0.1%より低くなれば日銀の当座預金の方が条件が良くなるわけで、「であれば当座預金のままでいい」ということになります。
つまりは、今後マイナス金利政策がどんどん拡大される、といった思惑がなければ、−0.1%以下の国債を買う必要がないのですね。とすると国債の金利=長期金利は「−0.1%より下がることはない」ということになります。
長期金利が下がらないとすれば住宅ローン金利も下がらないわけで、住宅ローン金利はそろそろどこかで下げ止まってくる可能性が高いです。住宅ローン金利が下げ止まれば住宅ローン市場も当然、落ちつくことになります。
3つ目は意外とこれが住宅ローン金利を予測する上で手ごわいのですが、銀行の「住宅ローン金利優遇キャンペーンのタイミング」です。思い起こせば昨年11月の住宅ローン金利は市場金利の低下に関わらず意外に「据え置き」で記者は予測を外したわけですが、これは結局、12月というキャンペーン時期に思い切って金利を引き下げるためにあえて11月は据え置きで通した、ということだったかと思います。
そしてこの4月も市場金利が下がる中で記者は住宅ローン金利の低下を予測したわけですが、特に10年固定金利は「引き上げ」となり予測を外してしまいました。これは逆にハイシーズンの終了と共に銀行が一斉に金利優遇を縮小したからですね。
つまりここまで住宅ローン金利が下がってくると、市場金利の動向よりも銀行の金利優遇姿勢の方がより出来上がりの住宅ローン金利に影響する、ということですね。上記の通り何かと取り上げられる10年固定金利はその象徴と言えるかもしれません。
実際、この4月も全体の金利としてはこういう動きになりました。
・変動金利 : 変わらず
・10年固定 : 引き上げ
・20年固定 : 引き下げ
・30年固定 : 引き下げ
つまり10年固定金利だけ上昇するという不自然な動きになったのですね!
そうした住宅ローン金利の動きを受けてメディアなどでは皆さんもよくご存じの通り「4月の住宅ローン金利引き上げ」と盛んに報じられましたので、住宅ローン顧客の印象・心象としても盛り下がるのは当然と言えそうです。
逆に言えば今度の住宅ローン金利を占う上では、この「住宅ローン金利優遇キャンペーンのタイミング」を推測するのが重要だと言えます。
考えられるのは、上記の通り「12月〜3月」は鉄板として、「6月〜9月」の夏のボーナス時期や半期末のタイミングですね。
加えて、「住宅市場はゴールデンウィーク明けから盛り上がる」という話も聞きますし、ややグレーになってきましたが来年4月の消費税再増税に向けて駆け込み需要が始まるとすれば、銀行側も徐々にヒートアップしてくる可能性があります。
そうした点では4月は一旦、小休止となった感がある住宅ローン市場ですが、来月以降のどこかで10年固定金利を中心に銀行の積極的な金利優遇が再開し、再び盛り上がってくることは間違いなさそうですが、いかがでしょうか。
さてここで、いつものように上記長期金利の推移をチェックしてみると、1ヶ月前は−0.040%でしたので、それでも絶対水準としては相応に低下していますね。
今月の日銀の金融政策決定会合でも金融緩和が維持されるのは当然として、さらに強化される可能性もゼロではなく、長期金利はこのままマイナス水準を維持しそうです。
次に世界の金利をチェックしておくと、まずドイツの金利はこのようになっています。これまで「歴史的」と言っていいくらい見事な右肩下がりで下がってきたドイツ金利ですが、なぜか昨年4月にドンと上昇しました。
こうした動きが昨年前半の日本の長期金利上昇の引き金になったのではないかと思いますが、 ただその後は日本と同じく再び大きく低下していますね。ヨーロッパの中央銀行であるECBが金融緩和を拡大し、マイナス金利の強化を続けていますので当然かもしれません。
そして世界経済の中心であるアメリカの長期金利はこのように推移しています。
こちらもやはり低下傾向ですね。アメリカは昨年12月に政策金利引き上げ=利上げを開始したわけですが、今のところその影響は皆無です。
このように世界の金利も低下傾向にあることは、日本の住宅ローン金利には良い材料ですね。
なお、日本の金利は中長期的に見ても上昇する機運は全くありません。2%のインフレ目標達成に向けて死にもの狂いの日銀が、どこかで次の追加金融緩和策を発表するのは間違いないからですね。
特に今後、消費税増税が近づき、世界経済もよたよたしてくれば金融緩和のニーズはさらに高まることになります。
日本の金利はこうした日銀の金融緩和姿勢が睨みをきかせている間は大きく上昇することはありえません。つまり住宅ローン金利に追い風が吹き続ける可能性が高く、住宅ローンをこれから借りようとされている方や、今後借り換えをしようとされている方は、多少の金利変動に戸惑うことなく、着実に検討を進めていただければと思います。
気になるのはこの「異次元の低金利」がいつまで、どれくらい続くのか、という点ですが、少なくとも金融緩和は次の消費税増税のタイミングである2017年4月までは続く可能性が高く、だとすれば金利もそれまでは本格的に上昇することはなさそうです。
「プライマリーバランス黒字化」や「GDP600兆円達成」に向けて、それぞれの目標時期である2020年まで続くという読みも最近よく目にするようになってきました。
つまりかなり長い間継続する可能性があるということですね。参考にしてみてください。
ちなみに2000年からの長期金利の推移を振り返るとこのようになっています。
マイナス水準にあるわけですから当たり前ですが、長期金利は「歴史的な低水準」にあることがよくわかります。これまで最も低い時期でも0.5%前後だったわけで、今は「空前の低金利」ということですね。繰り返しになりますが、ぜひこのチャンスを生かして、毎月の住宅ローン返済額を大いに削減していただければと思います。
一方で。
あえて注意点を挙げるとすれば、前回の景気回復局面である2003年〜2006年ごろの金利推移を見てみると、2003年には長期金利が0.5%前後という当時の過去最低水準まで下がったのち、その後1.5%近くまで跳ね上がっていることが分かります。
たかが1.5%ではあるのですが、されど1.5%と言えます。今の長期金利はマイナスですからね!仮にそうなれば住宅ローン金利も当然、相応に上昇することになります。
2003年当時、世界経済の見通しが大きく好転したことや、小泉政権への期待、りそな銀行への公的資金注入により金融不安が大幅に後退したことに加え、「VaR」と呼ばれるリスク管理手法に起因する「VaRショック」と名づけられた「国債の投げ売り」が金利上昇を加速させたと言われてますが、そもそも金利のバイオリズムとして、「好景気の前が最も金利が低い」のだとすると、長期的に見れば、これから金利が上昇する可能性というのはゼロではありません。
繰り返しになりますがこれは「長期的に見れば」ということであり、上記の通りマイナス金利政策が実行された上にさらなる金融緩和が予想され、デフレに戻りつつあるように見える現状では金利が極めて上がりにくいこと自体は変わりません。
しかしそれでも今の歴史的な低水準からすれば、いつかは上昇する運命にあります。それが「かなり先」だとしてもです。
焦る必要は全くありませんが、そうした点からも今が住宅ローンの借り入れ・借り換えの絶好の機会であることは間違いありません。多少の金利変動に左右されることなく、ぜひこの低金利を上手に活用してもらいたいと思います。
さて2016年5月の住宅ローン金利を占う上で、いつものように早めに来月の金利を発表しているソニー銀行の住宅ローン金利をチェックすると・・・まだ発表されていませんね!
恐らく明日(15日)くらいには発表されるかと思いますのでご興味がある方はチェックしてみてください。
気を取り直して、これまたいつものように今月の国債の平均金利と、先月のこの時期の国債の平均金利の差をチェックするとこのようになります。
◆4月14日現在の今月の国債の平均金利と、先月中旬までの国債の平均金利
・1年 : −0.17% → −0.19% (−0.20%低下)
・10年 : −0.04% → −0.08% (−0.04%低下)
・20年 : 0.48% → 0.34% (−0.15%低下)
・30年 : 0.76% → 0.43% (−0.33%低下)
全体的にはやはり順当に低下しています。−0.04%から−0.3%の範囲内で低下しているということですね!
上記の通り特に10年固定金利については銀行のキャンペーン時期に大きく影響されることに加え、金利低下幅もそれほどではないことを踏まえれば「据え置き」予想が妥当でしょうか。
他方、金利低下が鮮明なのが20年固定金利と30年固定金利ですね!こちらは節目である0.1%を超える低下です。
そうしたわけで、5月の住宅ローン金利は「10年固定金利は据え置き、20年・30年固定金利は0.1%〜0.2%程度引下げ」としておきたいと思います。
最後に住宅ローン「変動」金利について。
人気の住宅ローン金利タイプと言えば変動金利ですが、この変動金利タイプのベースとなるのは長期金利ではなく「短期金利」です。
そしてこの短期金利については日銀の「ゼロ金利政策」によって一足早く金利ゼロに到達したことに加え、日銀が完全にコントロールしているために上がることも下がることもなくずっと「超・低金利」を維持してきたのですね。
では4月14日現在の代表的な短期金利である「無担保コール翌日物」金利は「−0.010%」とこちらもついにマイナス水準ですね!1ヶ月前の金利は「−0.001%」でしたから、じわじわ低下しているわけです。
とすると「これまであまり変動してこなかった変動金利」についても徐々に更なる金利引き下げの余地が広がっていると言えそうですね。期待しておきたいと思います。
なお日銀のこうしたゼロ金利政=短期金利の引き下げ政策もまた、日銀自身が明言しているように十分なインフレ状態となるまで続けられますから、「相当の長期間」継続されるのは間違いありません。
そしてそのように短期金利の低下がまだまだ続くとすれば、それはつまり、住宅ローン変動金利タイプもまだまだ低金利が続くことを意味します。
そもそも少子高齢化が進む日本では、円安や増税などの一時的な要因を除けば、「十分なインフレなど永遠に起こらない」かもしれませんしね。
住宅ローン金利が上昇した、低下した、と言ってもそれはあくまで10年固定や20年固定といった「固定金利タイプ」の話であり、「変動金利タイプ」は基本的にはゼロ金利政策が復活した2008年12月以降の7年間全く上昇していません。
住宅ローンの変動金利タイプをご検討の方は、長期金利の変動に一喜一憂する必要は全くない、ということですね。
参考になさってください。
みなさんが来月も最高の住宅ローンに出逢えることを祈っております。
<日本住宅ローンプランニング編集部>