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5月となりました。1月末に発表された「マイナス金利政策」の影響で住宅ローン市場、特に住宅ローン借り換え市場は大盛り上がりだったわけですが、4月以降はさすがにスローダウンしてきた気がします。
例年、3月までがピークの住宅市場が一服したことに加え、それに合わせてメガバンク各行が金利優遇キャンペーンを一旦、縮小した影響も大きそうです。ここまで金利が下がってくれば市場金利の動きよりも金利優遇幅の変化の影響の方が大きいということですね。
さらにこれまで借換申し込みが通常の3〜4倍になったようですから、さすがにマイナス金利政策発表から数ヶ月経ってその反動が来たという面はありそうです。
加えて銀行の方でも住宅ローン殺到により申し込みの在庫がかなりたくさんあるでしょうから、それがさばけるまでは獲得ペースを少し落としたいという思惑もあるのではないかと思っております。
住宅ローンビジネスはおそらくかなり労働集約型でしょうからね。申込みが4倍になったからといってすぐに処理能力を4倍にできるわけではありません。とすると後1〜2ヶ月は「処理優先」となってもおかしくないような気がしますが、実情はどうなのでしょうか?
そうしたわけで、しばらく銀行の住宅ローンの金利設定は二極化しそうです。つまり積極的に金利を引き下げる銀行とそうではない銀行が出てくるということですね。
もちろん住宅ローン利用者からすれば前者の銀行を選ぶことが大切ですし、本当に住宅ローンの申し込みが減っているのであれば「かえってチャンス」と言うことになりますが、では気になる5月の住宅ローン金利はと言うと・・・三菱UFJ銀行、みずほ銀行、三井住友銀行、りそな銀行といった大手銀行=メガバンクはこのような結果となっています。
・変動金利 : 据え置き
・10年固定金利 : 据え置き〜引き下げ
・20年固定金利 : 据え置き〜引き下げ
・30年固定金利 : 引き下げ
横並びが信条のメガバンクにしては珍しく据え置き〜引き下げと対応が分かれていますね!
とは言いつつさすがに「引き上げ」はないわけで、何だかんだ言っても住宅ローンの超低金利が維持されているのに変わりはありません。住宅ローンを利用しようとされている方は、ぜひこのチャンスをしっかり活かしていただければと思います。
ここでいつものように住宅ローン金利のベースとなる長期金利=10年もの金利の推移をチェックするとこうなっています。
■長期金利グラフ(グラフ期間:1年)
全体的には1月末のマイナス金利政策発表からドスンとデジタル的に金利低下しているわけですが、足元では−0.085%ということで引き続きマイナス水準を維持しています。市場金利もついに「異次元の世界」に足を踏み入れた、ということですね。
先月のこの時期は−0.070%だったわけで、わずかながら低下しているということです。
なお4月末の日銀の金融政策決定会合では市場が期待していた「追加緩和」はなく、その失望から円高株安が大きく進んでいるほか、長期金利も少し上昇しておりますが、市場から督促される形で緩和を行っても効果がないのは1月のマイナス金利政策で証明された格好となっておりますので必然の結果だったという気もします。
逆にみんなが追加緩和への期待を失ったころにいよいよ緩和のチャンスが訪れることになります。それがいつになるかはわかりませんが、更なる金利低下を期待してのんびり待ちたいと思います。
ちなみに先日の当サイトのコラムでは「5月の住宅ローン金利は10年固定金利は据え置き、20年・30年固定金利は0.1%〜0.2%程度引下げ」と予想しましたが・・・「遠からずとも当たらず」と言った感じでしょうか?予測精度を上げていきたいと思います・・・。
>>>[5月の住宅ローン金利予想]10年固定は据置、20年・30年固定は引き下げへ
さて世界の金利動向をチェックしてみるとアメリカの金利はこのようになっています。
アメリカは堅調な景気回復を背景に、昨年12月に一足早く政策金利の引き上げ=「利上げ」に踏み切ったわけですが、その後の世界的な株価下落や景気減速の動きを受けて足元ではむしろ低下傾向ですね。
今は日本国内のみならず、海外でも金利低下圧力が強まっていると言うことですね。もちろん住宅ローン利用者にとっては追い風です。
[2016年5月の住宅ローン金利]
上記ご案内したように、5月の住宅ローン金利は4月の金利から「据え置きor引き下げで判断が分かれた動き」と言うことですね。ただ金利水準としては概ね史上最低水準を維持しており、住宅ローン利用者からすれば誠にありがたい状況が続いています。
>>>今月の住宅ローン金利比較はこちら
具体的な金利をチェックしていくと、まずフラット住宅ローンについてはメイン商品のフラット35の金利が4月と比較して0.11%の引き下げとなっています。
より期間の短いフラット20の金利は0.06%の引き下げですね。
>>>最新のフラット35の金利はこちら(楽天銀行)
なお、先日のフラット35の金利予測では
・フラット20金利 : −0.02%低下
・フラット35金利 : −0.14%低下
と予想しましたが、こちらも「遠からずとも当たらず」でしたね・・・失礼しました。
>>>[2016年5月のフラット35金利予想]前月比−0.14% フラット35表面金利1.05%?
次に民間の住宅ローンをチェックすると、いつものように当サイトで人気の住信SBIネット銀行と、日本最大のメガバンクである三菱UFJ銀行の、4月と5月の住宅ローン金利の推移はこのようになっています。
◆住信SBIネット銀行(ネット専用住宅ローン)
・変動金利 : 0.568% → 0.568% (据え置き)
・10年固定 : 0.640% → 0.670% (+0.030%)
・20年固定 : 0.980% → 1.010% (+0.030%)
・30年固定 : 1.320% → 1.320% (据え置き)
>>>最新の金利はこちら
◆三菱UFJ銀行(保証料を加えた実質金利)
・変動金利 : 1.075% → 1.075% (据え置き)
・10年固定 : 1.100% → 1.100% (据え置き)
・20年固定 : 2.900% → 2.800% (−0.100%)
・30年固定 : 1.400% → 1.290% (−0.110%)
>>>最新の金利はこちら
何と住信SBIネット銀行はわずかながら引き上げとなっておりますね!
市場金利を見る限り金利を引き上げる必要性はありません。とすると・・・申し込みが増えすぎたので獲得ペースを少し調整したい、ということなのでしょうか。
他方、住信SBIネット銀行の借換キャンペーン金利は以下のように変更になっています。
◆住信SBIネット銀行(ネット専用住宅ローン)
・変動金利(借り換え) : 0.566% → 0.497% (−0.069%)
>>>最新の金利はこちら
思いっきり下がっておりますね。
だとすると・・・やはりなぜこのタイミングで10年もの・20年もの金利を引き上げたのかよく分かりませんね。来月=6月に金利を大きく引き下げるための前フリなのでしょうか?
あるいは「少し下げ過ぎた」と反省したのでしょうか?それでも断トツの低水準ですからね。
真相は分かりませんが、都合のいいように解釈しておきたいと思います・・・。
さて、この2つの実質的な金利水準を見れば当然、住信SBIネット銀行が金利面で魅力的なわけですが、その住信SBIネット銀行は「ネット専用住宅ローン」の販売に注力しています。これは契約相手が住信SBIネット銀行ではなく、上記の通り親会社である三井住友信託銀行となるもので、より安心感を感じる方は少なくなさそうです。
引き続きこうした「低金利+安心安全」な住宅ローンを積極的に提供していってほしいものです。
さて当サイトで人気の新生銀行の5月の住宅ローン金利はと言うと以下の通りです。
◆新生銀行
・変動金利 : 0.600% → 0.600% (据え置き)
・10年固定 : 1.100% → 1.050% (−0.050%)
・20年固定 : 1.250% → 1.250% (据え置き)
・30年固定 : 1.800% → 1.800% (据え置き)
>>>最新の金利はこちら
こちらは10年固定金利が引き下げとなっていますね。なお今月は事務取扱手数料が無料となるキャンペーンが実施されているようです。
>>>新生銀行の住宅ローン事務手数料無料キャンペーンについて詳しくはこちら
また新生銀行は、万が一の時の保障や返済停止機能を組み合わせた「安心パック」を付加するなど、金利競争以外のサービス拡充にも注力しています。住宅ローンの金利や手数料だけでなく、そうした付加価値についても目を向けてみると、また違った住宅ローン選びができるかもしれませんね。ちなみにこのサービスは日経新聞が選定した新商品・新サービスの中で、最優秀賞を受賞したようです。
[2016年6月以降の住宅ローン金利の動向]
気になる今後の住宅ローン金利の動向ですが、既にご案内したように足元では「マイナス金利」の影響もあって市場金利が大きく低下しており、当面は今のような低金利が続くものと思います。
ただ住宅ローン金利がマイナスになるとは考えにくいとすればいよいよ限界値が近づきつつあります。
さらに現状のマイナス金利の設定水準が−0.1%である点を踏まえれば長期金利がそれ以下になることは考えにくく、現状の−0.085%という水準もまた「ほぼ限界値」と言えます。
そうしたわけで本格的な金利上昇については全く心配に及びませんが、長期金利も住宅ローン金利も「これ以上大きく下がりにくい」という点を踏まえれば逆に0.1%や0.2%といったレベルの金利上昇というのは十分あり得ると思います。
しかし。
そのように多少金利が上昇することがあったとしても、絶対水準的には長期金利は歴史的な低金利を維持し、住宅ローン金利もまた概ね魅力的な金利水準を維持していくのは間違いありません。細かな金利変動に一喜一憂せず、冷静にご検討を進めていただければと思います。
ちなみに。
あえて今後の本格的な金利上昇の可能性を考えると、カギとなるのは物価です。政府や日銀は、物価上昇=インフレの状態にするためにあらゆる金融政策を取っているわけですが、景気回復と相まっていよいよ本当にインフレになってくれば、頼みの綱である「異次元の金融緩和」も縮小に向かいますので、実需と金融政策の両面から金利上昇の機運が高まることになります。
では足元の物価動向はと言うと、原油安・資源安・円高の影響もあって上昇の勢いが弱まっており、金融緩和を縮小・終了させるにはまだまだ力不足です。そもそも少子化が続く日本で本当にインフレとなるのか疑問を感じなくもありません。足元の物価動向は以下の通りです。
政府や日銀が目指すように日本経済が本格的なインフレ経済に変貌するとしても、時期としてはかなり先のことであるのは間違いなさそうですね。
ここでいつものように長期金利の2000年からの推移を振り返ってみたいと思います。
■長期金利グラフ
前回の景気回復が始まった2003年には、長期金利は0.435%の最低金利をつけた後に急速に上昇し、1.5%前後にまで、実に1%近く上がったことが分かります。
仮に今後、景気回復が順調に進むのであれば、金利についても同じ様に+1.0%程度上昇する可能性がある、ということを示唆しております。
今のところ、慌てたり、焦ったりする必要は全くありませんし、逆に低金利が常態化した日本では「金利が上昇したとしてもその程度」とも言えるわけでむしろ安心しても良いという気すらしますが、とは言いつつ住宅ローン金利が低いのに越したことはありません。
住宅ローンをご検討の方は、そうした将来的な金利上昇リスクを頭の「片隅の片隅」に入れて、相対的に金利が低い間に着実にご検討を進めていただければと思います。
その点では今月=5月というのは住宅ローン金利が史上最低水準を維持しているということからも、住宅ローンを検討するのにベストなタイミングと言えそうですね。
申し込み殺到により、今から申し込んでも住宅ローン審査の承認が下りるまでには結構時間がかかりそうですから、尚更早い方が良いのではないでしょうか。
[今月の住宅ローン金利レンジ]
最後に、今月の具体的な住宅ローン金利のレンジをチェックするとこのようになっています。
■2016年4月の住宅ローン金利状況(実質金利)
・変動金利 :0.497%〜2.675%
・10年固定:0.670%〜3.650%
・20年固定:1.010%〜2.800%
>>>今月の住宅ローン金利比較はこちら
やはりこうして見ると、今までは考えられないような、極めて魅力的な金利水準ですね!
繰り返しになりますが、長期金利も住宅ローン金利も「史上最低水準」にあるのは間違いありません。多少の金利変動に一喜一憂せず、着実に超低金利のメリットを享受いただければと思います。
参考になさってください。
<日本住宅ローンプランニング編集部>