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5月も半ばとなりました。さてこれまで何度かご案内しているように今、住宅市場をドライブさせている要因は主に以下3つではないかと思います。
1.住宅ローン減税+すまい給付金+贈与枠拡充などの手厚い公的支援
2.史上最低となった住宅ローンの低金利
3.来年4月に迫った消費税の再増税
先日ご案内した、消費者の「今が買い時」と感じる理由もこのようになっております(住宅金融支援機構調べ)。
「一般消費者」の欄を見てみるとこうなっていいます。
1位:消費税率引き上げ前
2位:住宅ローン金利の低水準
3位:住まい給付金等
4位:景気の回復
やはり、上位3つは言い方こそ違えど当方の認識と全く同じです。
ちなみに。
問題となってくるのはこの1位の「消費税率引き上げ前」ですね。先日、当サイトでもご案内したようにこの消費税に関しては、実は先送りされる可能性が結構高いのです。
>>>消費税は2017年4月に本当に再増税となる?住宅購入予定者には頭の痛い状況
と、思っていたらこの週末に、日経新聞が「安倍総理がすでに消費税延期の意向を関係者に伝えた」とすっぱ抜いております。政府も与党も何もコメントしておりませんが、この報道によって既成事実化していくのでしょうね。
そうしたわけで、今後の住宅購入検討にあたっては、「増税が延期される」ことを前提に検討を進めていただければと思います。税負担の増加が当面避けられることに加え、駆け込みの騒ぎがなくなるということでしょうから、消費者にとっては良いことだと言えそうですね。
財政危機に直面する国の一国民としては懸念を感じなくもないですが・・・。
そのように住宅ローン市場については「場外」が騒がしくなってきておりますが、ここで、いつものように上記長期金利の推移をチェックしてみると、1ヶ月前は−0.090%で、今月は−0.110%ということですので、1ヶ月でじわじわ低下していることになります。
ちなみに−0.110%と聞いて違和感を感じる方はなかなかの金利通ですが、何が違和感かと言えば、今日銀が設定しているマイナス金利の水準が−0.1%であるにも関わらずそれを下回っている、という点です。
多くの銀行は、日銀に新たに資金を預けてもマイナス金利で手数料を取られてしまうのでやむなくマイナス金利の国債を買っている、ということではないかと思いますが、もし国債の金利が−0.1%を下回っているなら、むしろ日銀に預けた方がマシですね。
つまり国債の金利=長期金利は基本的には−0.1%を下回らないはずですが、それが下回っているということは・・・おそらく日銀が近々、新たな追加緩和を実施し、「金利がさらに下がる」と読んでいるからでしょうね。−0.1%の国債でも、その後金利が−0.2%となれば、それはそれで利益が出ます。
言い換えれば長期金利が−0.1%より上がるか下がるかで、金融市場が新たな追加緩和をどれくらい期待し織り込んでいるかが分かると言うことですね。
いずれにしても長期金利が下がっているのであれば、6月の住宅ローン金利もさらなる低下が期待できるわけですが、先月もご案内したように予想を難しくしているのが、銀行の「住宅ローン金利優遇キャンペーンのタイミング」です。
思い起こせば昨年11月の住宅ローン金利は市場金利の低下に関わらず意外に「据え置き」で記者は予測を外したわけですが、これは結局、12月というキャンペーン時期に思い切って金利を引き下げるためにあえて11月は据え置きで通した、ということだったかと思います。
そしてこの4月も市場金利が下がる中で記者は住宅ローン金利の低下を予測したわけですが、特に10年固定金利は「引き上げ」となり予測を外してしまいました。これは逆にハイシーズンの終了と共に銀行が一斉に金利優遇を縮小したからですね。
つまりここまで住宅ローン金利が下がってくると、市場金利の動向よりも銀行の金利優遇姿勢の方がより出来上がりの住宅ローン金利に影響する、ということですね。今度の住宅ローン金利を占う上では、この「住宅ローン金利優遇キャンペーンのタイミング」を推測するのが重要だと言えます。
考えられるのは、ハイシーズンである「12月〜3月」は鉄板として、「6月〜9月」の夏のボーナス時期や半期末のタイミングですね。加えて、「住宅市場はゴールデンウィーク明けから盛り上がる」という話も聞きますので、銀行側も徐々に住宅ローンの勧誘をヒートアップさせてくる可能性があります。
さらに、日銀のマイナス金利政策発表以降、劇的に増加した住宅ローン申し込みの在庫もかなりさばけてきたとするなら、そろそろシフトチェンジしてきてもおかしくありません。
一方でネガティブ材料となるのが上記「消費税再増税の延期発表」です(ちなみにまだ正式発表はされておりません)。
なかなか複雑な方程式ですが・・・複雑ということは判断が分かれる可能性があり、結果的には「金利据え置きとする銀行と、金利引き下げとする銀行に分かれる」気がしますが、いかがでしょうか。
実際にはどうなるでしょうか・・・ただ、少なくともこの金利環境で金利を引き上げてくる銀行はないものと思います。その点ではまだまだ絶好の「借り時」は続くということですね。
ここで世界の金利をチェックしておくと、まずドイツの金利はこのようになっています。これまで「歴史的」と言っていいくらい見事な右肩下がりで下がってきたドイツ金利ですが、なぜか昨年4月にドンと上昇しました。
こうした動きが昨年前半の日本の長期金利上昇の引き金になったのではないかと思いますが、 ただその後は日本と同じく再び大きく低下していますね。ヨーロッパの中央銀行であるECBが金融緩和を拡大し、マイナス金利の強化を続けていますので当然かもしれません。
そして世界経済の中心であるアメリカの長期金利はこのように推移しています。
こちらもやはり低下傾向ですね。アメリカは昨年12月に政策金利引き上げ=利上げを開始したわけですが、今のところその影響は皆無です。と言うより「利上げしてから金利が下がる」という奇妙な状態です。
このように世界の金利も低下傾向にあることは、日本の住宅ローン金利には良い材料ですね。
なお、日本の金利は中長期的に見ても上昇する機運は全くありません。2%のインフレ目標達成に向けて死にもの狂いの日銀が、上記の通りどこかで次の追加金融緩和策を発表するのは間違いないからですね。
日本の金利はこうした日銀の金融緩和姿勢が睨みをきかせている間は大きく上昇することはありえません。つまり住宅ローン金利に追い風が吹き続ける可能性が高く、住宅ローンをこれから借りようとされている方や、今後借り換えをしようとされている方は、多少の金利変動に戸惑うことなく、着実に検討を進めていただければと思います。
気になるのはこの「異次元の低金利」がいつまで、どれくらい続くのか、という点ですが、これまでは「次の消費税増税のタイミングである2017年4月までは続く可能性が高い」とご案内してきました。
しかし今般、本当に増税延期となれば1年〜3年程度延期される可能性が高く、そうだとすれば「2018年〜2020年までは異次元の低金利が続く」ということになります。
「プライマリーバランス黒字化」や「GDP600兆円達成」などの政策目標を考慮すれば実際には2020年代半ばまで続くということですかね?もちろん永遠に続く可能性すらあります。
つまり我々が想像する以上に長い間、低金利が継続する可能性があるということですね。参考にしてみてください。
ちなみに2000年からの長期金利の推移を振り返るとこのようになっています。
マイナス水準にあるわけですから当たり前ですが、長期金利は「歴史的な低水準」にあることがよくわかります。これまで最も低い時期でも0.5%前後だったわけで、今は「空前の低金利」ということですね。繰り返しになりますが、ぜひこのチャンスを生かして、毎月の住宅ローン返済額を大いに削減していただければと思います。
一方で。
あえて注意点を挙げるとすれば、前回の景気回復局面である2003年〜2006年ごろの金利推移を見てみると、2003年には長期金利が0.5%前後という当時の過去最低水準まで下がったのち、その後1.5%近くまで跳ね上がっていることが分かります。
たかが1.5%ではあるのですが、されど1.5%と言えます。今の長期金利はマイナスですからね!仮にそうなれば住宅ローン金利も当然、相応に上昇することになります。
2003年当時、世界経済の見通しが大きく好転したことや、小泉政権への期待、りそな銀行への公的資金注入により金融不安が大幅に後退したことに加え、「VaR」と呼ばれるリスク管理手法に起因する「VaRショック」と名づけられた「国債の投げ売り」が金利上昇を加速させたと言われてますが、そもそも金利のバイオリズムとして、「好景気の前が最も金利が低い」のだとすると、長期的に見れば、これから金利が上昇する可能性というのはゼロではありません。
繰り返しになりますがこれは「長期的に見れば」ということであり、上記の通りマイナス金利政策が実行された上にさらなる金融緩和が予想され、デフレに戻りつつあるように見える現状では金利が極めて上がりにくいこと自体は変わりません。
しかしそれでも今の歴史的な低水準からすれば、いつかは「多少なりとも」上昇する運命にあります。それが「かなり先」だとしてもです。
焦る必要は全くありませんが、そうした点からも今が住宅ローンの借り入れ・借り換えの絶好の機会であることは間違いありません。多少の金利変動に左右されることなく、ぜひこの低金利を上手に活用してもらいたいと思います。
さて2016年6月の住宅ローン金利を占う上で、いつものように早めに来月の金利を発表しているソニー銀行の住宅ローン金利をチェックするとこのようになっています。
◆ソニー銀行住宅ローン金利
・変動金利 : 0.849% → 0.849% (据え置き)
・10年固定 : 0.940% → 0.940% (据え置き)
・20年固定 : 1.262% → 1.247% (−0.015%低下)
・30年固定 : 1.342% → 1.339% (−0.003%低下)
変動金利・10年固定は据え置きである一方、20年・30年固定は引き下げということで「5月の金利動向と同じ動き」ということですね。
次に、これまたいつものように今月の国債の平均金利と、先月のこの時期の国債の平均金利の差をチェックするとこのようになります。
◆5月16日現在の今月の国債の平均金利と、先月中旬までの国債の平均金利
・1年 : −0.19% → −0.26% (−0.07%低下)
・10年 : −0.08% → −0.11% (−0.03%低下)
・20年 : 0.34% → 0.26% (−0.08%低下)
・30年 : 0.43% → 0.32% (−0.11%低下)
こちらはやはり、全体的に、順当に、低下しています。−0.03%から−0.11%の範囲で低下しているということです。
ただ・・・これまた下げるのか据え置きなのか微妙な下落幅ですね。
そうしたわけで上記キャンペーン時期の認識の違いも相まって、6月の住宅ローン金利は「銀行によって、金利据え置きか引き下げかで分かれてくる」としておきたいと思います。
積極的な銀行が出てきてほしいという期待も多少込めております・・・。
最後に住宅ローン「変動」金利について。
人気の住宅ローン金利タイプと言えば変動金利ですが、この変動金利タイプのベースとなるのは長期金利ではなく「短期金利」です。
そしてこの短期金利については日銀の「ゼロ金利政策」によって一足早く金利ゼロに到達したことに加え、日銀が完全にコントロールしているために上がることも下がることもなくずっと「超・低金利」を維持してきました。
では5月16日現在の代表的な短期金利である「無担保コール翌日物」金利は「−0.055%」とこちらもマイナス水準ですね!1ヶ月前の金利は「−0.010%」でしたから、じわじわ低下しているわけです。
とすると「これまであまり変動してこなかった変動金利」についても徐々に更なる金利引き下げの余地が広がっていると言えそうですね。期待しておきたいと思います。
なお日銀のこうしたゼロ金利政=短期金利の引き下げ政策もまた、日銀自身が明言しているように十分なインフレ状態となるまで続けられますから、「相当の長期間」継続されるのは間違いありません。
そしてそのように短期金利の低下がまだまだ続くとすれば、それはつまり、住宅ローン変動金利タイプもまだまだ低金利が続くことを意味します。
そもそも少子高齢化が進む日本では、円安や増税などの一時的な要因を除けば、「十分なインフレなど永遠に起こらない」かもしれませんしね。
住宅ローン金利が上昇した、低下した、と言ってもそれはあくまで10年固定や20年固定といった「固定金利タイプ」の話であり、「変動金利タイプ」は基本的にはゼロ金利政策が復活した2008年12月以降の7年間全く上昇していません。
住宅ローンの変動金利タイプをご検討の方は、長期金利の変動に一喜一憂する必要は全くない、ということですね。
参考になさってください。
みなさんが来月も最高の住宅ローンに出逢えることを祈っております。
<日本住宅ローンプランニング編集部>