※当サイトには広告リンクが含まれています。
先月と同じ書き出しとなりますが、市場金利の低下はとどまるところを知らないですね。足元では−0.110%まで低下しています。日銀が当座預金に設定したマイナス金利は「−0.1%」ですので、合理的に考えれば長期金利がそれ以下に下がることはないわけですが、それを下回っているということは・・・日銀による新たな金融緩和を多少なりとも期待している、ということなのでしょうね。
4月下旬に開催された日銀の金融政策決定会合では、まさかの「ゼロ回答」だったわけですが、金融市場はまったくめげていない、ということですね。確かに4月の消費者物価指数は驚きのマイナスでしたし、金融緩和を拡大させるべき理由は数多くあります。
>>>[速報!2016年4月の消費者物価指数]インフレ率は驚きの結果に 今後の住宅ローン金利動向は?
ただ一方で、そのように督促されて緩和を行ってもあまり良い効果を生まないのはこれまでの金融緩和の歴史が物語っております。しばらくは「様子見」、つまりゼロ回答が続くと思うのですがいかがでしょうか?
ちなみに次の金融政策決定会合は6月15日と16日に予定されているようですね!思ったよりはすぐです。当面の市場金利は、会合前に期待から下がり、会合後に失望から上がる、を繰り返すのかもしれません。と言っても足元の金利と同様に上がる下がると言ってもあくまで「マイナス0.1%近辺の動き」であり、マイナス金利からプラス金利に戻るような反発力はないものと思います。
その点では住宅ローン金利が今のような超・低金利を維持するのは間違いなく、住宅ローンを検討されている方は安心してお取組みいただければと思います。
さて、すでに6月の住宅ローン金利の全体的な予測については以下の通りご案内しております。
>>>[6月の住宅ローン金利予想]増税延期で低金利は2020年まで続く!?
予想としては「6月の住宅ローン金利は、銀行によって金利据え置きか引き下げか分かれてくる」としました。
歯切れが悪くて申し訳ないですが、市場金利は低下しているものの、その低下幅はわずかであり、判断が分かれてくると思われたからですね。もちろん積極的に金利を下げてくる銀行が出てくることを期待したいと思います。
そして。
先週末に全期間固定金利で有名なフラット35住宅ローンの金利のベースとなる住宅金融支援機構の「機構債」の条件が発表されておりますので、そこから今度は6月のフラット35住宅ローンの金利を予想してみたいと思います。
ちなみにフラット35住宅ローンの金利は概ね以下のような金利の積み上げで決定されているようです。
1.ベース金利=機構債金利
+
2.住宅金融支援機構のフラット35事業運営コスト
+
3.販売金融機関のマージン
残念ながら上記2や3の詳細な内訳は分かりませんが、しかしこれらがほとんど変動しないとすれば、上記1、つまり機構債の条件の変化がそのまま出来上がりのフラット35金利の変化となります。
では具体的に5月発行の機構債の条件はと言うと、前月4月と比較してこのように変化しています。
◆前月と今月の住宅金融支援機構債の発行条件
・0.34% → 0.36% (+0.02%上昇)
何と前月比でプラス0.02%の上昇ということですね!6月のフラット35住宅ローンの金利は久しぶりに上昇することになりそうです。仮に本当に上昇するとすれば昨年10月以来、8か月ぶり、となります。
これは・・・予想外ですね!
フラット35の金利としては最低水準にある楽天銀行をベースにするとこのように変化することになります。
◆楽天銀行のフラット35金利と来月の金利予測(単純計算)
・フラット20金利 : 0.96% → 0.98% (+0.02%上昇)
・フラット35金利 : 1.08% → 1.10% (+0.02%上昇)
とは言いつつ毎回、微妙に予測を外しておりますのでもう少し精度を高めるべく、過去4ヶ月の機構債の金利変動と、楽天銀行のフラット20、フラット35の金利変動をチェックするとこうなっています。
・2016年1月の機構債金利変動 : 0.85%→0.79%(−0.06%低下)
2月のフラット20金利 : 1.27% → 1.21% (−0.06%低下)
2月のフラット35金利 : 1.54% → 1.48% (−0.06%低下)
・2016年2月の機構債金利変動 : 0.79%→0.54%(−0.25%低下)
3月のフラット20金利 : 1.21% → 1.02% (−0.19%低下)
3月のフラット35金利 : 1.48% → 1.25% (−0.23%低下)
・2016年3月の機構債金利変動 : 0.54%→0.48%(−0.06%低下)
4月のフラット20金利 : 1.02% → 1.02% (変わらず)
4月のフラット35金利 : 1.25% → 1.19% (−0.06%低下)
・2016年4月の機構債金利変動 : 0.48%→0.34%(−0.14%低下)
5月のフラット20金利 : 1.02% → 0.96% (−0.06%低下)
5月のフラット35金利 : 1.19% → 1.08% (−0.11%低下)
こうしてみると、より期間の長いフラット35の金利はほぼ機構債の金利変動幅に追随していることが分かります。
他方でちょっと複雑な動きなのがフラット20ですね。特に4月は機構債の金利もフラット35の金利も0.06%低下したにも関わらず据え置きとなり、徐々に金利低下ペースが鈍っているのが鮮明です。
数多くの申し込みが来ていてこれ以上殺到すると事務が回らないといった現実的な判断もあるのかもしれませんが、もしそうしたことが「金利低下鈍化」の理由なのだとすると、金利上昇には素直に反応しそうですね。
念のため最後に金利が上昇した昨年10月の状況をチェックしてみるとこうなっています。
・2015年9月の機構債金利変動 : 0.84%→0.89%(+0.05%上昇)
10月のフラット20金利 : 1.31% → 1.32% (+0.01%上昇)
10月のフラット35金利 : 1.54% → 1.59% (+0.05%上昇)
確かに機構債の金利上昇を受けてフラット20、フラット35の金利はどちらも共に上昇しているわけですが、ただフラット20の動きは絶対金利の差も影響してか、上昇する場合もよりマイルドになっているようです。
そうしたわけで、当サイトでの6月のフラット35金利予測は最終的にこう結論づけたいと思います。
◆楽天銀行のフラット35金利と来月の金利予測(最終結論)
・フラット20金利 : 0.96% → 0.97% (+0.01%上昇)
・フラット35金利 : 1.08% → 1.10% (+0.02%上昇)
当たるでしょうか?
なおこの予測に楽天銀行の金利を利用しているのは、楽天銀行のフラット35は、金利+手数料のトータルコストが最低水準だからですが、それでもこれはあくまで「表面金利」であり、取扱い手数料や、団体信用保険のコストなどを加味すると「実質金利」は概ねこのようになります。
◆楽天銀行のフラット35金利と来月の金利予測(最終結論:実質金利)
・フラット20金利 : 1.40% → 1.41% (+0.01%上昇)
・フラット35金利 : 1.52% → 1.54% (+0.02%上昇)
表面金利からすれば魅力は低下してしまいますが、それでも「全期間固定金利」という点を踏まえれば、多少金利が上昇したとしてもかなり魅力的と言えます。
新規貸出実績などのデータを見ればフラット35の人気は高まっているようですが、そうした人気が6月も維持されるでしょうか?注目です。
ただし上記金利はあくまで「予測」ですので、実際の金利は来月1日以降に正式発表されてからご確認いただければと思います。
>>>フラット35の最新金利について詳しくはこちら
ちなみにこのフラット35、フラット20、そして機構債の金利推移をグラフにするとこのような感じになります。
過去5年間の平均値を見る限り、フラット35・フラット20の金利変動と、機構債の金利変動に差はほぼありません。つまり連動してきたということですね。
しかしながら最近は上記の通り少しズレも目立ち始めています。グラフを見てもその不自然さは鮮明ですね。果たして6月のフラット35の金利はどうなるのでしょうか?
ただ繰り返しになりますが、多少上がったとしても「空前の低金利」であることに変わりありません。その点では「引き続き超低金利を維持している」と前向きにとらえてもいいかもしれませんね。
参考になさってください。
みなさんが来月も最高の住宅ローンに出逢えることを祈っております。
<日本住宅ローンプランニング編集部>