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6月となりました。1月末に発表された「マイナス金利政策」の影響で住宅ローン市場、特に住宅ローン借り換え市場は大盛り上がりだったわけですが、4月以降はメガバンクが金利優遇を少し縮小したこともありスローダウンしてきた気がします。
マイナス金利政策が拡大すればするほど運用は難しくなるわけで、銀行からすれば今こそ住宅ローン獲得に注力すべきなところ一旦戦線を縮小した背景としては・・・もちろん期末までのピークが終わったというのもあるのでしょうけれど、それに加えて申し込みが殺到してさばききれなくなった、というのもあるような気がします。
だとすれば4月・5月と2ヶ月経って、そろそろ在庫の山が片付いてきてもおかしくないと思いますし、おりしもサラリーマン世帯・公務員世帯にとって6月・7月は夏のボーナスがあります。ボーナスをキッカケに住宅や住宅ローンへの関心が高まるのだとすれば・・・これをチャンスと見て積極攻勢に出てくる銀行もありそうです。
要するに今月は再び金利を引き下げてくる銀行が出てくることを期待したいわけですが、気になる6月の住宅ローン金利はと言うと・・・三菱UFJ銀行、みずほ銀行、三井住友銀行、りそな銀行の大手銀行=メガバンクはこのような結果となっています。
・変動金利 : 据え置き
・10年固定金利 : 据え置き〜引き下げ
・20年固定金利 : 据え置き
・30年固定金利 : 据え置き
市場金利の動きからすれば下げていいはずの20年固定金利や30年固定金利は据え置きとする一方で、より銀行の住宅ローン獲得姿勢を象徴する10年固定金利は据え置きor引き下げということですから、結論はやや複雑ですが、少なくとも10年固定金利を引き下げた銀行というのは、「積極姿勢を見せ始めた」と考えて良さそうです。
そこで具体的にこの10年固定金利についてメガバンクの先月からの金利の動きをまとめてみるとこういうことですね。
・三菱UFJ銀行 : −0.05%
・みずほ銀行 : 据え置き
・三井住友銀行 : −0.05%
・りそな銀行 : −0.05%
金利低下幅はわずか0.05%ですが、それでも4メガバンク中、3行が金利を引き下げてきたわけですから、やはりメガバンクの貸し出し姿勢が再び積極化し始めているのは間違いなさそうですね。
ちなみにこう並べると、みずほ銀行のみが消極的に見えますが、そのみずほ銀行は5月に10年固定金利を引き下げていますので、むしろ一足早く積極的になっていたと言えそうです。
消費税が延期になったことは少なくとも住宅市場には短期的に逆風ですが、それでも住宅ローンの金利競争が激しくなってくることを住宅ローン利用者としては期待したいと思います。
ここでいつものように住宅ローン金利のベースとなる長期金利=10年もの金利の推移をチェックするとこうなっています。
■長期金利グラフ(グラフ期間:1年)
全体的には1月末のマイナス金利政策発表からドスンと金利低下しているわけですが、足元では−0.115%ということで引き続きマイナス水準を維持しています。市場金利もついに「異次元の世界」に足を踏み入れた、ということですね。
ちなみにグラフを見る限り、この1ヶ月は−0.1%近辺をウロウロしており金利低下はやや落ち着いてきた印象を受けます。そうした中でのメガバンクの10年固定金利の引き下げですので・・・やはり、市場環境よりも住宅ローンの獲得姿勢の変化の影響が大きそうです。このまま積極姿勢を維持していってほしいものでね。
なお4月末の日銀の金融政策決定会合では市場が期待していた「追加緩和」はなかったわけですが、この6月は・・・結構、ありそうですね!長期金利が−0.1%を下回っているのもそうした期待の現れではないかと思います。
為替相場も再び円安傾向が出始めており、金融緩和を発表するには良いタイミングですね。金融緩和が発表されれば金利がさらに低下するのは間違いありませんので・・・こちらも期待しておきたいと思います。
ちなみに先日の当サイトのコラムでは「6月の住宅ローン金利は銀行によって、金利据え置きか引き下げかで分かれてくる」と予想しましたが・・・今回は概ね当たっていたと言えそうです。2週間前の予想なので大きく外す方が難しいわけですが。
>>>[6月の住宅ローン金利予想]増税延期で低金利は2020年まで続く!?
さて世界の金利動向をチェックしてみるとアメリカの金利はこのようになっています。
アメリカは堅調な景気回復を背景に、昨年12月に一足早く政策金利の引き上げ=「利上げ」に踏み切ったわけですが、その後の世界的な株価下落や景気減速の動きを受けて足元ではむしろ低下傾向ですね。
アメリカでは再び利上げ懸念が高まっているわけですが、少なくとも市場金利は全く反応していません。今は日本国内のみならず、海外でも金利は低下基調ということですね。もちろん住宅ローン利用者にとっては追い風です。
[2016年6月の住宅ローン金利]
上記ご案内したように、6月の住宅ローン金利は5月の金利から「銀行によって、金利据え置きか引き下げかで分かれる動き」となったわけですが、ただ全体の流れとしては再び金利引き下げ傾向が出てきたと言っていいと思います。こうした動きがさらに拡大していくことを期待したいと思います。住宅ローン利用者からすれば誠にありがたい状況ですね。
>>>今月の住宅ローン金利比較はこちら
具体的な金利をチェックしていくと、意外だったのはフラット住宅ローンのメイン商品であるフラット35の金利が5月と比較して+0.02%の引き上げとなった点ですね。より期間の短いフラット20の金利も+0.03%の引き上げです!
金利引き上げも驚きでしたが、もっと驚きだったのは、より期間の短いフラット20の方が金利上昇幅が大きかったことですね。今までこういった動きをすることはなかったと思います。フラット20よりフラット35を販売したい、といった意図でもあるのでしょうか?
>>>最新のフラット35の金利はこちら(楽天銀行)
なお、先日のフラット35の金利予測では
・フラット20金利 : +0.01%上昇
・フラット35金利 : +0.02%上昇
と予想しましたが、フラット35はピタリ賞だった一方、フラット20は外してしまいました。次こそ気持ちよく全問正解といきたいものです。
>>>[2016年6月のフラット35金利予想]前月比+0.02% フラット35表面金利1.10%?
次に民間の住宅ローンをチェックすると、いつものように当サイトで人気の住信SBIネット銀行と、日本最大のメガバンクである三菱UFJ銀行の、5月と6月の住宅ローン金利の推移はこのようになっています。
◆住信SBIネット銀行(ネット専用住宅ローン)
・変動金利 : 0.568% → 0.568% (据え置き)
・10年固定 : 0.670% → 0.600% (−0.070%)
・20年固定 : 1.010% → 0.960% (−0.050%)
・30年固定 : 1.320% → 1.220% (−0.100%)
>>>最新の金利はこちら
◆三菱UFJ銀行(保証料を加えた実質金利)
・変動金利 : 1.075% → 1.075% (据え置き)
・10年固定 : 1.100% → 1.050% (−0.050%)
・20年固定 : 2.800% → 2.800% (据え置き)
・30年固定 : 1.290% → 1.290% (据え置き)
>>>最新の金利はこちら
比べてみると、絶対金利としても、金利低下幅としても、住信SBIネット銀行の積極姿勢が浮き彫りになってきます。
やはり上記の通り、「申し込みの在庫」がだいぶ処理できてきた、ということなのでしょうか。
なお注目なのが住信SBIネット銀行の借換キャンペーン金利ですね。今月は以下のようになっています。
◆住信SBIネット銀行(ネット専用住宅ローン)
・変動金利(借り換え) : 0.497% → 0.497% (据え置き)
>>>最新の金利はこちら
残念ながら据え置きですが、それでもトップクラスの低金利であるのは間違いありません。
さて、その住信SBIネット銀行は「ネット専用住宅ローン」の販売に注力しています。これは契約相手が住信SBIネット銀行ではなく、親会社である三井住友信託銀行となるもので、より安心感を感じる方は少なくなさそうです。
引き続きこうした「低金利+安心安全」な住宅ローンを積極的に提供していってほしいものです。
さて当サイトで人気の新生銀行の6月の住宅ローン金利はと言うと以下の通りです。
◆新生銀行
・変動金利 : 0.600% → 0.550% (−0.050%)
・10年固定 : 1.050% → 0.900% (−0.150%)
・20年固定 : 1.250% → 1.100% (−0.150%)
・30年固定 : 1.800% → 1.750% (−0.050%)
>>>最新の金利はこちら
全般的に金利を引き下げているわけですね!特に変動金利を引き下げている点も印象的です。やはり着実に住宅ローン金利引き下げの動きは広がっている、ということなのでしょう。
また新生銀行は、万が一の時の保障や返済停止機能を組み合わせた「安心パック」を付加するなど、金利競争以外のサービス拡充にも注力しています。住宅ローンの金利や手数料だけでなく、そうした付加価値についても目を向けてみると、また違った住宅ローン選びができるかもしれませんね。ちなみにこのサービスは日経新聞が選定した新商品・新サービスの中で、最優秀賞を受賞したようです。
[2016年7月以降の住宅ローン金利の動向]
気になる今後の住宅ローン金利の動向ですが、既にご案内したように足元では「マイナス金利」の影響もあって市場金利が大きく低下しており、当面は今のような低金利が続くものと思います。
さらなる追加緩和への期待も徐々に高まっておりますしね。
ただ住宅ローン金利がマイナスになるとは考えにくいとすればいよいよ限界値が近づきつつあります。
そうしたわけで本格的な金利上昇については全く心配に及びませんが、住宅ローン金利が「これ以上大きく下がりにくい」という点を踏まえれば逆に0.1%や0.2%といったレベルの金利上昇というのは十分あり得ると思います。
ちなみに。
あえて今後の本格的な金利上昇の可能性を考えると、カギとなるのは物価です。政府や日銀は、物価上昇=インフレの状態にするためにあらゆる金融政策を取っているわけですが、景気回復と相まっていよいよ本当にインフレになってくれば、頼みの綱である「異次元の金融緩和」も縮小に向かいますので、実需と金融政策の両面から金利上昇の機運が高まることになります。
では足元の物価動向はと言うと、これまでの原油安・資源安・円高の影響もあって上昇の勢いが弱まっており、金融緩和を縮小・終了させるにはまだまだ力不足です。そもそも少子化が続く日本で本当にインフレとなるのか疑問を感じなくもありません。足元の物価動向は以下の通りです。
政府や日銀が目指すように日本経済が本格的なインフレ経済に変貌するとしても、時期としてはかなり先のことであるのは間違いなさそうですね。
ここでいつものように長期金利の2000年からの推移を振り返ってみたいと思います。
■長期金利グラフ
前回の景気回復が始まった2003年には、長期金利は0.435%の最低金利をつけた後に急速に上昇し、1.5%前後にまで、実に1%近く上がったことが分かります。
仮に今後、景気回復が順調に進むのであれば、金利についても同じ様に+1.0%程度上昇する可能性がある、ということを示唆しております。
今のところ、慌てたり、焦ったりする必要は全くありませんし、逆に低金利が常態化した日本では「金利が上昇したとしてもその程度」とも言えるわけでむしろ安心しても良いという気すらしますが、とは言いつつ住宅ローン金利が低いのに越したことはありません。
住宅ローンをご検討の方は、そうした将来的な金利上昇リスクを頭の「片隅の片隅」に入れて、相対的に金利が低い間に着実にご検討を進めていただければと思います。
その点では今月=6月というのは住宅ローン金利が先月から低下傾向にあるということからも、住宅ローンを検討するのにベストなタイミングと言えそうですね。
[今月の住宅ローン金利レンジ]
最後に、今月の具体的な住宅ローン金利のレンジをチェックするとこのようになっています。
■2016年6月の住宅ローン金利状況(実質金利)
・変動金利 :0.497%〜2.675%
・10年固定:0.600%〜3.650%
・20年固定:0.960%〜2.800%
>>>今月の住宅ローン金利比較はこちら
やはりこうして見ると、今までは考えられないような、極めて魅力的な金利水準ですね!
繰り返しになりますが、長期金利も住宅ローン金利も「史上最低水準」にあるのは間違いありません。多少の金利変動に一喜一憂せず、着実に超低金利のメリットを享受いただければと思います。
参考になさってください。
<日本住宅ローンプランニング編集部>