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持ち家が良いのか、借家が良いのか、という議論はなかなか深遠である一方で、とてもシンプルな話でもあります。
深遠である、というのは実際のところよくよく計算してみると、持ち家であろうと借家であろうとその居住コストはたとえば30年といった期間ではほとんど変わらないという点です。
少なくとも住宅ローンを返済している期間ではその差はあまりありません。
多くの住宅購入者が「家賃は損だ」という理由からマイホームを検討されているわけですが、これは完全な誤解だということですね。
また、住宅産業にかかわる多くの方が「家賃は損ですよ」とささやくわけですが、これは無知によるものか、あるいは悪意にもとづくものか、はたまたその両方か、ということですからぜひご注意いただければと思います。
その「持ち家と賃貸とではあまり差はない」と考える根拠についてはこちらで紹介しておりますので参考にしてみてください。
>>>賃貸と持ち家(購入)。どっちがお得?
そうしたわけで持ち家と借家=賃貸とでコストに大きな差がない以上、「経済合理性」から持ち家や住宅ローンの有利性を説いても全く意味がないわけですが、ただこれを「どちらを選んでもよい」とポジティブにとらえれば話はとてもシンプルになります。
つまり、マイホームが欲しければ住宅ローンを組めばよいし、賃貸が良ければそのまま住み続ければよい、ということですね。Let it be、Let
it go、ありのままで良いわけです。
では実際のところ、どれくらいの方々が持ち家を希望しているかと言えば国土交通省の調査によればこうなっております。全国の20歳以上の方1,604名から回答を得たということですので、分母としては十分です。
過去10年の推移ですが、まず圧倒的多数派なのが「土地・建物については両方とも所有したい」という方々で、要するに「持ち家派」ですね。
その推移ですが、2011年くらいまでは8割を維持していた一方で、その後は70%台となっていることから少しずつ低下していることが分かります。タイミングとしては未曾有の被害となった東日本大震災が影響した可能性が高そうですね。
ただし低下したと言ってもおそらく2、3%であり、全体的にはむしろ「持ち家派は8割前後でほとんど変換していない」と理解した方が正しいかもしれません。実際、平成18年(84.5%)の5年前の平成13年の持ち家派の割合は83.0%、平成8年は88.1%、そしてこの調査で最も古い平成5年が83.3%ですからやはり長年にわたり80%前後をウロウロしていることが分かります。
安定的ですね!
こうした高い「マイホーム志向」には、損得を超えた「生まれつきの欲求」があるのでしょうね・・・おそらく。定期的に引っ越しができる賃貸生活も悪くないとは思いますが、「理屈抜きに持ち家が好き!」ということであればそれはそれで正しい、ということになります。
なお、この国土交通省の調査においてもう1つとても興味深いのが「土地は有利な資産かどうか」という質問です。それだけ持ち家を支持しているのであれば当然、土地に対する思い入れも強いものと思いますが、その結果はこうなっています。
平成5年=1993年と言えばバブル崩壊真っただ中ですが、その時代には6割を超える方々が「土地は有利な資産である」と感じていた一方で、その後は大きく減少し、足元では「土地が有利な資産」と考えている方はわずか3割ということですね!
今や「土地は有利な資産とは思わない」という方が4割おられてそちらの方が割合が多いくらいです。
バブル崩壊以降、地価は下がり続け、そしてまだ多くの地域では現在進行形で下がっておりますので、「土地は決して有利な資産ではない」という冷静な見方は現実に即したものだと思います。
言い換えれば多くの方が「土地は有利な資産ではないけれど、それでもやはり土地と建物は所有したい」と考えているわけで、それこそ本物の「愛情」と言えるのかもしれませんね・・・。
上記の通り、持ち家と賃貸(借家)とでコストに大きな差がなく、大切なのは「理屈ではなく気持ち」なのだとすれば、こうした土地に対するスタンスはむしろ望ましいと言えそうです。
ちなみに冒頭の「賃貸か持ち家か」の議論で、「持ち家派」がコスト的に勝つ可能性が高まる方法が2つあり、1つは「持ち家に30年以上住むこと」であり、もう1つは「中古物件を購入すること」です。
後者の「新築か中古か」という点では、回答はこのようになっているようです。
こちらは過去5年のデータしかないようですが、安定的に6割の方が「新築住宅がよい」と回答していて、持ち家派の大部分の方々が「新築派」であることが分かります。
それでも合理性を求めてしまう記者からすれば少し残念な結果のように感じてしまいますが、しかしこれまでの流れと同じように「理屈抜きに新築が好き!」というスタンスなのであれば、それはそれで首尾一貫していると言えそうです。
数千万円もする人生最大の買い物ですから、新築にこだわる気持ちも分かるような気もしますしね。住宅設備も日進月歩で進歩しておりますし・・・。
それでも記者はあえて言えば「中古派」ではありますが。
参考になさってください。